■サイト内検索


スポンサードリンク

ベンゾジアゼピン系睡眠薬 薬の飲み方

/

睡眠薬は、いつ飲んだら良いの?~筋弛緩作用、催眠効果の減弱、健忘症

回答:布団に入る直前に飲む

 睡眠薬は就寝直前、布団に入る直前に飲むのが基本です。

 特に、効き始めるのが早い短時間型の睡眠薬の場合、30分以内に効果が現れ始めるものもあります。薬を服用してから入浴したり、階段を昇り降りしていると、急な睡魔に襲われたり、足元がふらついたりして思わぬ事故を招きかねません。

 1日の活動を全て終えて、あとは眠るだけの状態になってから服用するようにしてください。

回答の根拠①:筋弛緩作用で足元がふらつく

 ベンゾジアゼピン系の薬は、「筋弛緩作用」も併せ持っています1)。
 そのため、眠気を感じていなくとも、筋肉があちこち緩んでいて、足元がふらつくことがあります。
ベンゾジアゼピン系の薬理作用~催眠と筋弛緩2
 1) ソラナックス錠 添付文書

 薬を服用したあと、眠気を感じてから寝室に向かう、という人も少なくありませんが、足元がふらついた状態での階段の昇り降りは非常に危険です。

 薬を服用した後は、布団に入ることをお勧めします。

筋弛緩作用の少ない『マイスリー』

 入眠障害に用いる『マイスリー(一般名:ゾルピデム)』は、筋弛緩作用が弱く2)、特に夜間に起きてトイレに行く機会が多い高齢者に対しては、転倒などのリスクを軽減できる薬として、広く使用されています。

 2) マイスリー錠 インタビューフォーム

回答の根拠②:睡眠薬の効果が弱まる

 睡眠薬は、あくまで睡眠を助けるためのものであって、いつでも強制的に眠れるようになるものではありません。
 たとえ睡眠薬を服用しても、その後ずっとパソコンやスマートホン等の明るい液晶画面を見続けていたりすると、脳はいつまでたっても睡眠モードに移行しません。
液晶画面の睡眠に与える影響
 睡眠薬を服用した後は、部屋を暗くし、布団に入って目を閉じていることをお勧めします。

光刺激による体内時計の調節

 『ロゼレム(一般名:ラメルテオン)』は、体内時計を司る「メラトニン」という物質の働きを助けることで、催眠効果を発揮する薬です
 この「メラトニン」は、眼から入ってくる光の刺激で分解されてしまうため、スマートホン等の液晶画面による悪影響はより大きいと言えます。

回答の根拠③:記憶が飛ぶことがある

 『ハルシオン(一般名:トリアゾラム)』などの短時間作用型ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使うと、薬が効き始めてから眠りにつくまでの出来事や、夜間に起きた際の出来事を記憶していないことがあります3)。

 3) ハルシオン錠 添付文書

 そのため、薬を服用してから何か用事をしたり、夜中に電話が鳴って受け答えをしたりしても、翌朝その記憶が残っていない可能性があります。

 こうした健忘症は稀で、しかも一時的なもので脳に障害の残るものでもありませんが、日常生活や仕事上に様々なトラブルを生む恐れがありますので、避けるに越したことはありません。

薬剤師としてのアドバイス:誤った生活習慣も、不眠の大きな原因になる

 不眠症が心身の健康に与える悪影響は極めて大きなものです。そのため、必要に応じて睡眠薬の力を借り、適切な睡眠時間を確保することは重要です。

 しかし、睡眠薬に頼り切りになり、誤った生活習慣を放置することは避けるべきです。

 起きたら雨戸やカーテンを開けて朝日を浴びる、昼寝をし過ぎない、適度に運動する、カフェインを摂り過ぎない、夜になってからパソコンやスマートホン等の明るい液晶画面を長時間見ない、寝る時には部屋を暗くする、必要以上に長時間布団の中で過ごさない・・・など、生活習慣を見直すことも大切です。

 特に慢性的な不眠症に対しては、睡眠薬をいたずらに増やすよりも、こうした「認知行動療法」を優先させようとする動きもあります。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

前のページ

次のページ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

■おすすめ記事

  1. 『ロキソニン』と『セレコックス』、同じ鎮痛薬の違いは?~速効…
  2. 『ナゾネックス』と『リボスチン』、同じ点鼻薬の違いは?~アレ…
  3. 『セララ』と『アルダクトン』、同じアルドステロン拮抗薬の違い…
  4. 『ノボラピッド』と『トレシーバ』、同じインスリン製剤の違いは…
  5. 『ミラペックス』と『ペルマックス』、同じパーキンソン病治療薬…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

PAGE TOP