いつまで睡眠薬を飲み続けないといけないの?~減薬・休薬を始める目安と、睡眠習慣の改善


回答:不眠や睡眠薬に対するこだわり・不安が無くなって4~8週間、が一つの目安

 睡眠薬は、あくまで眠れない症状を解消するための薬です。不眠の症状がなくなれば薬を飲まなくても問題ありません。
 しかし、睡眠薬を減らしたり止めたりする時は、正しい時期に正しい方法で行わなければ、不眠の症状をぶり返し、かえって薬をたくさん使わなければならないことになります。

 そのため、医師・薬剤師と相談し、その指示に従って減らしていくのが最も早くて確実な方法です。

 一般的に、睡眠薬を減らし始めるのは、不眠症や睡眠薬に対する「こだわり」・「不安」が無くなって4~8週間が経ってからが良いとされています1,2)。
睡眠薬の減薬や休薬を始めるタイミング
 1) 日本病院薬剤師会誌.50(7):833-840,(2014)
 2) 日本睡眠学会 「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」 (2013)

 このことから、「どうしても、今すぐにでも睡眠薬を減らしたい」と強くこだわっていたり、「睡眠薬が無かったら眠れないかもしれない」と不安に感じていたりする場合には、まだ薬を減らすべきではありません。



医師に伝えるべきこと

 睡眠薬を飲んでいるから眠れているのか、睡眠薬を減らしても眠れる状態を維持できるのか、その判断は医師が行います。
睡眠薬があるから眠れるのか、不眠症が治ってきたのか
 そのため、医師には自分の状態を正確に伝え、より正しい判断をしてもらうことが重要です。

 一般的に、睡眠の状態が改善しているかどうかは、以下の2点が大きな要素になります。この2点が自分でも達成できていると感じられている場合には、その旨をきちんと医師に伝えるようにしてください。

①寝付きが悪い、夜中や早朝に目が覚める、熟睡できないといった眠りのトラブルが無くなっていること
②眠りのトラブルが無くなったことで、日中に身も心も調子が良いこと

 ただし、この2点が達成されていれば薬を減らして良い、というわけではありません。薬のおかげで達成できている場合には、まだ薬が必要と判断される場合があります。



薬剤師としてのアドバイス:薬だけでなく、生活習慣の見直しも併せて行う

 長い時間、昼寝をしていると、夜は眠れなくなります。

 一見すると当たり前の話ですが、こうした当たり前の理由で眠れない状態を、「不眠症だ」と思い込んでいる人は少なくありません。こういった場合には睡眠薬を使うのではなく生活習慣を見直すのが先です。

 実際、慢性的な不眠症に対しては、睡眠薬よりもまず「認知行動療法」を行う方が良いとする報告が2015年に発表され、大きな話題になっています。

 誤った生活習慣を続けていては、いくら睡眠薬を使っていても根本的な解決にはなりません。自身の生活習慣の中で、不眠につながる悪習慣はないか、少しずつ改善していくことも必要です。


睡眠習慣の改善例

◆定期的な運動をする
 適度な有酸素運動を行うことで、その疲労感から眠りにつきやすくなります。また、眠りも深くなり、心身の疲労回復効果が高まります。

◆正しい食生活を心がける
 寝る前に炭水化物や脂質を摂ると、消化活動が活発になるため、睡眠の質は低下します。寝る前にどうしても何かを口にする際には、暖かい飲み物くらいで済ませてください。(※睡眠薬の中には、食べ物と一緒に飲んではいけないものもあります
 また、ダイエットでの空腹状態のまま眠っても、睡眠の質は低下します。ダイエットと不眠治療はまとめて行わず、まずは不眠治療を完了させてから、ダイエットに取り組むようにしてください。

◆寝室の環境を整える
 明るい照明、外の雑音、暑さや寒さなど、寝室の環境は睡眠の質に直結します。
 寝る時はできるだけ部屋を暗くする、雨戸を閉めて外の雑音が入って来ないようにする、適切にエアコンなどを使うなど、自身が快適に眠れる環境を整えるようにしてください。電気代は、不眠症の治療が終わってから気にしましょう。

◆カフェインの摂取を控える
 「カフェイン」には目を覚ます効果があり、寝付きを悪くしたり、眠りを浅くしたりします。日本茶、紅茶、コーヒー、コーラ、チョコレートなど、カフェインの入ったものはなるべく摂らないようにしてください。
 特に、いま不眠に悩んでいるのであれば、布団に入る4時間前からは「カフェイン」の摂取は控えるべきです。

◆布団の中では「眠るだけ」にする
 「布団=眠る場所」という認識を心がけてください。特に、布団に入ったままスマートホンなどを長時間操作していると、明るい光の刺激で脳が覚醒するだけでなく、「布団=眠る場所」という認識も薄れ、睡眠習慣はさらに乱れてしまいます。

◆お酒は眠りを浅くするもの、と認識する
 お酒を飲むと、確かに寝付きは良くなります。しかし、眠りが浅くなる上に、トイレも近くなるために、夜中に目が覚めやすくなります。
 不眠症でも特に「中途覚醒」に悩むのであれば、お酒は完全に逆効果のため控えるべきです。

◆タバコを控える
 ニコチンは精神を刺激するため、寝付きも悪く、眠りも浅くなる方向へ働きます。不眠症の治療には逆効果です。

◆だらだらと昼寝をしない
 当たり前の話ですが、睡眠が足りていると眠くはなりません。
 諸説ありますが、昼寝は遅くとも15時までの時間帯に、15~30分程度で行うのが適切とされています。また、起きた後は、身体を覚醒させるために太陽の光を浴び、身体を動かすようにしましょう。



 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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