『ロトリガ』と『エパデール』、同じEPA製剤の違いは?~EPAとDHAの含有量比較


回答:DHAも含む『ロトリガ』、EPA単独の『エパデール』

 『ロトリガ(一般名:ω-3脂肪酸エチル)』と『エパデール(一般名:イコサペント酸)』は、どちらも中性脂肪を下げる「不飽和脂肪酸」の薬です。

 『ロトリガ』は、「イコサペント酸(EPA)」と「ドコサヘキサエン酸(DHA)」を主成分とする、ω-3脂肪酸の薬です。
 『エパデール』は、純粋な「イコサペント酸(EPA)」単独の薬です。

 用法や適応症が少し異なりますが、「EPA」と「DHA」は作用にほとんど違いもなく、中性脂肪を下げる効果も同じなので、通常は厳密な使い分けが必要になることはありません。



回答の根拠①:含有量の違い

 『ロトリガ』と『エパデール』は、それぞれ含まれる不飽和脂肪酸の量が異なります1)。
ロトリガとエパデールの含有量
『ロトリガ』・・・通常の1日量2g中に、EPAを約930mg + DHAを約750mg
『エパデール』・・・通常の1日量1.8g中に、EPAを1,800mg

 1) じほう社 「調剤と情報」 Vol.19 No.6,(2013)

 『ロトリガ』の含有量が概算値(約~mg)になっているのは、「EPA」や「DHA」をはじめとする「ω-3脂肪酸」が成分だからです。
 


回答の根拠②:中性脂肪を下げる効果の違い

 通常の使い方(『ロトリガ』1日2g、『エパデール』1日1.8g)では、中性脂肪を下げる効果に差はありません2)。
ロトリガとエパデール~同じ効果
 2) ロトリガ粒状カプセル インタビューフォーム

 そのため、中性脂肪を下げる治療においては、特にどちらの薬であっても大きな違いはありません。


薬の量を増やした場合の効果と安全性

 『ロトリガ』や『エパデール』は、血液をサラサラにする作用があるため、出血しやすくなる副作用がしばしば問題になります。そのため、効かないからといって薬の量を安易に増やして良いものではありません。

 しかし、『ロトリガ』は通常の2倍量である1日4gまで増やしても、こうした副作用のリスクが増えないことが報告されています2)。
 一方、『エパデール』も1日2.7gが上限量として設定されています3)が、これは通常の1.5倍量です。
ロトリガとエパデールの上限量
 3) エパデールS 添付文書


『ロトリガ』と『エパデール』を比較した試験の内容~上限量 vs 通常量

 『ロトリガ』のインタビューフォーム等で公開されている比較データは、『ロトリガ』は上限量(1日4g)、『エパデール』は通常量(1日1.8g)で比較し、『ロトリガ』の効果が優れているというものです2)。


※通常量・上限量でのEPAとDHAの含有量
『ロトリガ』の通常量(1日2g)・・・EPA:930mg、DHA:750mg
『ロトリガ』の上限量(1日4g)・・・EPA:1,860mg、DHA:1,500mg
『エパデール』の通常量(1日1.8g)・・・EPA:1,800mg
『エパデール』の上限量(1日2.7g)・・・EPA:2,700mg
ロトリガとエパデール~上限量と通常量での比較
 『ロトリガ』の上限量(1日4g)と、『エパデール』の通常量(1日1.8g)の内容を比較すると、「EPA」の量はほとんど同じものの、「DHA」の量は『ロトリガ』が1,500mg多いことになります。
 つまり、『ロトリガ』の治療効果が高かったのは「DHA」が1,500mg多かったから、と考えるのが妥当です。

 両方の薬を上限量(『ロトリガ』1日4g、『エパデール』1日2.7g)で使用した場合、有効性と安全性にどういった差があるのか、といった検証データは未だありません。



薬剤師としてのアドバイス:用法・適応症や薬価から選ぶ

 現状、同じ成分量でEPAとDHAを比較するとどういった差が生まれるのか、明確に示されたデータはありません。そのため、単純に優劣をつけることはできません。

 服用回数の少ない『ロトリガ』の方が、服薬の負担が少ない薬と言えますが、『エパデール』の方が値段も安く、また適応症も広い薬です。
 そのため、厳密な薬理作用というより、使う人の生活環境や経済的な事情を考慮して使い分けることもあります。

※『ロトリガ』の利点
 一般的に、どんな薬でも1つの成分の量を増やしていくより、似た作用の成分を組み合わせる方が良いとされています。この一般論から、「EPA」単独である『エパデール』よりも、「EPA」や「DHA」を含む『ロトリガ』の方が良いという報告が出てくる可能性も考えられます。

 また、『ロトリガ』は通常1日1回の服用で良いため、飲み忘れの多い人でも安定した効果が期待できます。

※『エパデール』の利点
 通常量であれば薬価に大差ないものの、最大量で使用する際には『エパデール』の方が安価になります。
 また、閉塞性動脈硬化症の諸症状に対する適応は『エパデール』にしかありません。



添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆用量
ロトリガ   :1日2~4g
エパデール:1日1.8~2.7g

◆用法
ロトリガ   :1日1回、もしくは2回 食直後
エパデール:1日2回、もしくは3回 食直後

◆適応症
ロトリガ   :高脂血症
エパデール:高脂血症、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍・疼痛・冷感の改善

◆薬価
ロトリガ   :261.30(1日2g)、522.60(1日4g)
エパデール:244.80(1日1.8g)、356.10(1日2.7g)

◆製造販売元
ロトリガ   :武田薬品工業
エパデール:持田製薬

◆開発のきっかけ
ロトリガ   :Pronova BioPharma ASA(ノルウェー)
エパデール:日本水産、持田製薬(日本)



+αの情報①:「EPA」と「DHA」の薬理作用の違い

 「イコサペント酸(EPA)」と「ドコサヘキサエン酸(DHA)」は、どちらも「不飽和脂肪酸」の仲間で、ほとんど同じ生理作用を持ちます。

※「EPA」や「DHA」の薬理作用 4)
1. 中性脂肪(トリグリセライド[TG])を減らす
2. 抗炎症作用
3. 血小板凝集抑制作用
4. 抗不整脈作用
5. 認知機能低下抑制作用

 4) 武田薬品工業 「くすりの相談Q&A ロトリガ」

 現在のところ、EPAとDHAを同じ量で投与した比較試験はないため、どちらの方がどういった効果が強い・弱いと議論することはできません。

 強いて言えば、「DHA」は「EPA」よりも心臓や脳などの組織に移行しやすいとされています4)。



+αの情報②:空腹時に飲んでもほとんど吸収されない

 『ロトリガ』や『エパデール』は、食直後(食事が終わってから10分以内)に飲む必要があります。

 空腹時や、食事が終わってから時間が経過した時に飲んでも、ほとんど吸収されません。これは、薬が吸収されるためには、食事によって分泌される胆汁酸などが必要だからと考えられています5)。
エパデールの用法~食直後と10分以内
 5) エパデールS インタビューフォーム



~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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