■サイト内検索


スポンサードリンク

知っておくべきこと 栄養素

/

ビタミンは摂り過ぎても大丈夫?~脂溶性ビタミンの過剰症に注意

回答:脂溶性ビタミンの過量摂取は危険

 ビタミンには「水溶性」のものと「脂溶性」のものがあります。

 「水溶性」のビタミンは、多少摂り過ぎたところで尿として排泄されるため、身体に蓄積することはありません。
 「脂溶性」のビタミンは、身体に蓄積しやすいため、必要以上に摂取すると副作用を起こす恐れがあります。

 なにごとも”過ぎたるは及ばざるが如し”です。何かのビタミンが良いと聞いたからといってそればかり摂るような偏った食生活や、必要以上にサプリメント等で摂取するようなことは控えるようにしましょう。

 ただし大原則として、ビタミンは1日や2日過剰になったり不足したからといってすぐに大きな影響が出るものではありません。過剰状態や不足状態が長く続くと、過剰症や欠乏症を起こす恐れがある、というものです。

詳しい回答①:水溶性ビタミンは、こまめに摂取する必要がある

 「水溶性ビタミン」には以下のようなものがあります。

ビタミンC(アスコルビン酸):シナール配合錠(一般名:アスコルビン酸 + パントテン酸)
ビタミンB1(チアミン):『アリナミンF糖衣錠(一般名:フルスルチアミン)』
ビタミンB2(リボフラビン):『ハイボン(一般名:リボフラビン)』
ビタミンB3(ナイアシン)
ビタミンB5(パントテン酸):
『シナール配合錠(一般名:アスコルビン酸 + パントテン酸』
ビタミンB6(ピリドキサール):『ビタノイリン』や『ノイロビタン』に配合(後述)
ビタミンB7(ビオチン):『ビオチン散(一般名:ビオチン)』
ビタミンB9(葉酸):『フォリアミン(一般名:葉酸)』
ビタミンB12(シアノコバラミン):『メチコバール(一般名:メコバラミン)』

※その他、複数のビタミンB群が配合されている医薬品の例
『ビタノイリン(一般名:フルスルチアミン + リボフラビン + ピリドキサール + ヒドロキソコバラミン)』
『ノイロビタン(一般名:オクトチアミン + リボフラビン + ピリドキシン + シアノコバラミン)』

 これら「水溶性」のビタミンは、まとめて摂取しても身体に蓄積できません。毎日欠かさずこまめに少量ずつ摂取する必要があります。
 そのため、『シナール』や『アリナミンF』、『ビオチン』、『メチコバール』などの水溶性ビタミンの薬は、1日3回に分けて服用する必要があります。

 多少多めに摂取しても、尿として排泄されていくため、あまり大きな副作用もありません。大抵の場合、ビタミンB群を摂り過ぎでも尿が黄色くなる程度です。
 しかし過剰状態が長く続くと、他のビタミンやミネラルの吸収に影響したり、神経障害や味覚障害、炎症、嘔吐・下痢などを起こす恐れもあります。ほどほどにしましょう。
 

詳しい回答②:脂溶性ビタミンは、不足と過剰の両方に注意する

 「脂溶性ビタミン」には以下のようなものがあります。

ビタミンA(レチノール):『チガソン(一般名:エトレチナート)』
ビタミンD(カルシフェロール):『アルファロール(一般名:アルファカルシドール)』
ビタミンE(トコフェロール):『ユベラ(一般名:トコフェロール)』
ビタミンK(フィロキノン):『ケーワン(一般名:フィトナジオン)』

 これら「脂溶性」のビタミンは、身体に蓄積しやすい性質を持っています。そのため過量摂取すると副作用を起こす恐れがあります。

※「脂溶性ビタミン」の過剰症
・ビタミンAの過剰・・・皮膚・粘膜の乾燥、脱毛、肝障害、口唇炎 1)
・ビタミンDの過剰・・・高カルシウム血症、腎障害 2)
・ビタミンEの過剰・・・ほとんどない
・ビタミンKの過剰・・・高ビリルビン血症 3)

 1) チガソンカプセル 添付文書
 2) アルファロールカプセル 添付文書
 3) ケーワン錠 添付文書

薬剤師としてのアドバイス:偏った食事や、大量のサプリメントに注意すれば問題ない

 よく、過剰摂取に対して物凄く神経質になる方がおられます。しかし、「脂溶性」ビタミンであっても、たまたま1日少し摂取量が多かったからといって、すぐに過剰症を起こすというわけではありません。

 あくまで、”過剰摂取が長く続くと、あまり良くない”という解釈で問題ありません。敬遠し過ぎて欠乏症になってしまっては本末転倒です。

 しかし、ビタミンAに限っては非常に作用が強いため、多少は神経質になる必要があります。ビタミンAが豊富に含まれるイシナギやアンコウの”肝”を大量に食べるだけでも、ビタミンA過剰による食中毒を起こすことも知られています。

 また、ビタミンA製剤である『チガソン』には特殊な注意事項がたくさんあります。

※『チガソン』の注意事項 1)
女性:催奇形性があるため、投与中及び投与中止後少なくとも2年間は避妊する
男性:精子形成に異常を起こす可能性があるため、投与中及び投与中止後少なくとも6ヶ月間は避妊する
男女共通:投与中及び投与中止後少なくとも2年間は献血を控える

+αの情報:ビタミンの形は様々なので、名前も色々ある

 ビタミンには「誘導体」のように、似た形でも同じようにビタミンとして機能するものがあります。そのため、例えば「ピリドキサール」も「ピリドキサミン」も、どちらもビタミンB6である、といったことが起こります。

 物質名が違うからまがい物、というわけではありません。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

スポンサードリンク

■おすすめ記事

  1. 『アムロジン』・『ワソラン』・『ヘルベッサー』、同じCa拮抗…
  2. 「リン酸コデイン」は12歳未満に使っても良い?~呼吸抑制と日…
  3. 【新刊のお知らせ】「薬剤師のための 医療情報検索テクニック」…
  4. 乗り物酔いのOTC、どんな選び方をすれば良い?~予防・治療の…
  5. 『デパケン』と『テグレトール』、同じ抗てんかん薬の違いは?~…
  6. 添付文書に記載された副作用頻度の数字を、単純に比較してはいけ…
  7. 『アレジオン』と『パタノール』、同じアレルギーの目薬の違いは…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

スポンサードリンク
PAGE TOP