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薬機法 時事問題

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『アスタット』と『ルリコン』、自主回収の理由~GMP適合とは

回答:GMP管理上の不適

 『アスタット(一般名:ラノコナゾール)』と、一部の『ルリコン(一般名:ルリコナゾール)』が自主回収されています。
 これは、薬の原料(原薬)を作っている工場に、GMP管理上の不適があったことが理由です。

 ただし、『アスタット』や『ルリコン』と直接関与する部分に問題があったわけではないため、これが原因となる健康被害の恐れはありません。

 そのため、いま使っている薬を廃棄したり交換したりする必要は全くありません。

回答の根拠:GMPとは

 GMPとは「Good Manufacturing Practice」の略で、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」とされています1)。

 1) 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令

 医薬品を作る際、製造工場が不潔であったり、薬に不純物が混ざってしまうような製造ラインであったり、日によって薬1錠に含まれる有効成分の量が不均一であったり・・・といったことがあってはいけません。

 そのため、いつ誰がどんな風に作業をしても、均一な品質で薬が作られる必要があります。

 この均一な品質を保証するために工場が整えるべき環境が、GMPです。
GMPとは

 つまり、薬はその安全性や有効性といった品質を保証するために、”GMPに適合する”工場で製造されなければならなりません。

 そしてGMPに適合するためには、工場の構造や設備がどうやって作られ、どのように日々使われ、点検や管理を行っているのか、といった記録を逐一残しておく必要があります。また、ミスを防ぐための作業手順書を作り、それを遵守する必要もあります。

 こうした記録や規則を審査し、適合・不適合が定められます。

詳しい回答:自主回収は万全を期したもの

 GMPに適合しない工場で薬を作り続けていると、いずれ不良品が混じり込んでしまうといった可能性が出てきます。
 そのため、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は薬を製造している業者に対して定期的にこの審査を行っています。

 今回、『アスタット』と『ルリコン』の原薬を作っている工場がこの審査で不適合となりました。しかし、『アスタット』や『ルリコン』に直接関わる部分で指摘されたわけではありません2)。

 2) マルホ(株) 抗真菌剤『アスタットクリーム1%』、『アスタット概要液1%』、『アスタット軟膏1%』自主回収のお知らせとお願い

 
 そのため、事実上は『アスタット』や『ルリコン』の製造工程はGMPにも問題なく、品質も保証されていると言えます。

 しかし、メーカーが「たとえ直接関係なくとも、一つでも不適がある工場で作った原薬は念のため使わない」、という万全を期した判断をし、自主回収に踏み切ったものと言えます。
 

薬剤師としてのアドバイス:抗真菌薬は、どれを使っても有効性は同じ

 『アスタット』は全ての原薬と該当の工場で賄っていたため、今後の供給が不可能とされ、いずれ別の薬への変更が必要になります。

 しかし、何種類もある抗真菌薬には、特に有効性に違いはありませんので、薬の変更によって治療に大きな影響が出る恐れはありません。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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