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似た薬の違い 去痰・鎮咳薬

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『カフコデ』と『フスコデ』、同じ「リン酸コデイン」を含む配合薬の違いは?~有効成分と使用目的の違い

回答:総合感冒薬(かぜ薬)の『カフコデ』、咳止めの『フスコデ』

 『カフコデ』と『フスコデ』は、どちらも咳止めの薬「リン酸コデイン」を使った配合薬です。

 『カフコデ』は、解熱鎮痛薬やアレルギーの薬など6種の薬が入った、総合感冒薬(かぜ薬)です。
 『フスコデ』は、3種の咳止め薬が入っている、純粋な咳止めです。
カフコデとフスコデ
 ただし、「リン酸コデイン」は全ての咳に効くわけではなく、12歳未満の子どもには禁忌で、また喘息の咳には逆効果になります。そのため、咳止めがいまひとつ効かない場合は、一度病院を受診するようにしてください。

回答の根拠:配合成分の比較

 『カフコデ』には6種類、『フスコデ』には3種類の有効成分が含まれています。
カフコデとフスコデ
※カフコデN配合錠の有効成分 1)
ジプロフィリン(気管支拡張薬) 20mg
ジヒドロコデインリン酸(鎮咳薬) 2.5mg
dl-メチルエフェドリン(気管支拡張薬) 5mg
ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬) 3mg
アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬) 100mg
ブロモバレリル尿素(催眠・鎮静薬) 60mg

※フスコデ配合錠の有効成分 2)
ジヒドロコデインリン酸(鎮咳薬) 3mg
dl-メチルエフェドリン(気管支拡張薬) 7mg
クロルフェニラミン(抗ヒスタミン薬) 1.5mg

 1) カフコデN配合錠 添付文書
 2) フスコデ配合錠 添付文書

 どちらにも共通して、咳止めの「リン酸コデイン」、気管支を広げて呼吸を楽にする「エフェドリン」、アレルギーを抑える「抗ヒスタミン薬」が入っています。

幅広い効果が期待できる『カフコデ』

 『カフコデ』には、咳止め、呼吸を楽にする薬、アレルギーの薬と併せて、更に解熱鎮痛薬の「アセトアミノフェン」、軽い催眠効果を持つ「ブロモバレリル尿素」も入っています。
 そのため、咳やくしゃみ・鼻水のほか、発熱や痛みなど風邪の諸症状に幅広く効き、よく眠れるようにもなります。

咳止めに特化した『フスコデ』

 『フスコデ』には、咳止め、呼吸を楽にする薬と、アレルギーの薬が入っています。このアレルギーの薬「クロルフェニラミン」は、主に咳止めとしての効果を強めるために配合されています2)。
 そのため、咳止めに特化した薬と言えます。

薬剤師としてのアドバイス:「配合」の薬は、中身に注意する

 ほとんどの医療用の薬は、1つの錠剤・カプセルに有効成分は1つしか含まれていません。
 しかし『カフコデ』や『フスコデ』、『PL配合顆粒』や『SG配合顆粒』などの「配合薬」は、数種類の薬がまとまって入っている薬です。こうした薬を飲んでいる際、医師や薬剤師に「薬を1つ飲んでいる」といった伝え方をしてしまうと、薬の内容が正しく伝わりません。

 「配合」という名前が薬に入っている場合、複数の有効成分が入っている薬剤であることを意味していることに注意してください。 

ポイントのまとめ

1. 『カフコデ』と『フスコデ』は、「リン酸コデイン」の入った配合薬
2. 『カフコデ』は、解熱鎮痛薬を含む6種の薬が入っている「総合感冒薬(かぜ薬)」
3. 『フスコデ』は、3種の咳止めを配合した「咳止め」

 

添付文書・インタビューフォーム記載事項の比較

◆薬効分類
カフコデ:鎮咳・鎮痛・解熱薬
フスコデ:鎮咳薬

◆適応症
カフコデ:かぜ症候群における鎮咳・鎮痛・解熱、気管支炎における鎮咳
フスコデ:急性気管支炎、慢性気管支炎、感冒・上気道炎、肺炎、肺結核による咳嗽

◆配合されている有効成分の種類
カフコデ:6種類(ジプロフィリン、ジヒドロコデインリン酸、dl-メチルエフェドリン、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェン、ブロモバレリル尿素)
フスコデ:3種類(ジヒドロコデインリン酸、dl-メチルエフェドリンクロルフェニラミン

◆用法
カフコデ:1日3回
フスコデ:1日3回

◆製造販売元
カフコデ:ファイザー
フスコデ:マイランEPD

+αの情報:「リン酸コデイン」は、喘息には使えない

 「リン酸コデイン」は強力な鎮咳薬ですが、喘息には禁忌です3)。これは、「リン酸コデイン」の気道分泌抑制作用によって、痰など分泌物の粘度が高まってしまい、気道を閉塞させる恐れがあるからです。

リン酸コデインが効く咳、効かない咳
 3) コデインリン酸塩散1%「タケダ」 添付文書

 喘息には、吸入ステロイド『シングレア(一般名:モンテルカスト)』等の抗ロイコトリエン薬などを使い、咳止めは使いません。また、逆流性食道炎や副鼻腔炎などによっても咳が続くことがあります。こういった咳も、咳止めではなくそれぞれの原因疾患を治療する必要があります。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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