『防風通聖散』にはダイエット効果がある?~褐色脂肪細胞への作用と、太り方の違い


回答:肥満症に適応がある

 『防風通聖散』は、肥満症に使われることのある漢方薬です。

 代謝や排便を促し、水の滞りを解消させ、肥満体質を改善する処方で、特にメタボリック症候群に適した漢方薬とされています。

 ただし、胃腸の弱い人や、太っていても体力が衰えている人には適しておらず、副作用が現れる恐れがあります。全ての人のダイエットに適しているわけではないことに注意が必要です。



回答の根拠①:防風通聖散の薬理作用

 『防風通聖散』は、肥満症が適応症に含まれています1)。

 1) ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用) 添付文書


 「褐色脂肪細胞」は、脂肪を燃焼させ、熱を生み出す組織です。
 『防風通聖散』を服用することで、この「褐色脂肪細胞」を活性化させ、体重増加の抑制効果が得られることがわかっています2)。
防風通聖散の薬理作用
 2) Int J Obes.19(10):717-22,(1995) PMID:8589765



回答の根拠②:防風通聖散の漢方医学的な作用

 『防風通聖散』には18種類もの生薬が配合された特殊な漢方薬で、構成が複雑なため、どの生薬がどういった作用を発揮するのか、君臣佐使を規定することが難しいとされています3)。

 3) 三考塾 「漢方常用処方解説(第53版)」

防風通聖散の処方

黄芩(オウゴン)2.0g
甘草(カンゾウ)2.0g
桔梗(キキョウ)2.0g
石膏(セッコウ)2.0g
白朮(ビャクジュツ)2.0g
大黄(ダイオウ)1.5g
荊芥(ケイガイ)1.2g
山梔子(サンシシ)1.2g
芍薬(シャクヤク)1.2g
川芎(センキュウ)1.2g
当帰(トウキ)1.2g
薄荷(ハッカ)1.2g
防風(ボウフウ)1.2g
麻黄(マオウ)1.2g
連翹(レンギョウ)1.2g
生姜(ショウキョウ)0.3g
滑石(カッセキ)3.0g
無水芒硝(ボウショウ)0.7g



薬剤師としてのアドバイス:漢方薬は、体質によって合う・合わないがある

 漢方薬は、副作用や飲み合わせのトラブルが少ない安全な薬であることは事実です。
 しかし、体質に合わない漢方薬を使うと、効かないどころか、副作用が現れやすくなり不快な思いをする可能性が高くなります(例:『葛根湯』が効く風邪、効きにくい風邪)。

 『防風通聖散』も、中年太りなど脂肪が増える太り方には適していますが、ぶよぶよした水太りや、太っていても体力が衰えている場合などには適していません。

 万人に安全で効果的、といったような宣伝がされることも多い漢方薬ですが、まずはその漢方薬が自分の体質と合っているのかどうか、必ず確認してから試すようにしてください。



+αの情報:生薬の重複、特に「甘草」の総量に注意

 『防風通聖散』には、「甘草」が配合されています。
 「甘草」に含まれる「グリチルリチン」を過量に摂取すると、浮腫・高血圧・手足の痺れ・低K血症など、「偽アルドステロン症」と呼ばれる副作用を起こす恐れがあります4)。
 
 4) JAMA.205(7):492-6,(1968) PMID:5695305

 また、下剤として使われる「大黄」も配合されているため、別の便秘薬と併用すると効き過ぎて軟便・下痢などを起こす恐れもあります。

 最近はドラッグストアなどでも『防風通聖散』を購入できるようになっていますが、病院で処方された漢方薬と併用すると、思わぬ副作用を起こす恐れがあります。
 漢方薬にも副作用があることを念頭に、使っている薬は「お薬手帳」などを使って必ず医師・薬剤師に伝えるようにしてください。



 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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