『アコファイド』ってどんな薬?~機能性ディスペプシアの意味と治療


回答:世界初・「機能性ディスペプシア」に効く薬

 『アコファイド(一般名:アコチアミド)』は、「機能性ディスペプシア」に適応を持つ、世界で初めての薬です。

 保険病名である「機能性ディスペプシア」という言葉は難しいですが、胃や食道に病変がないにも関らず、胃もたれや胃の痛みといった症状が慢性的に続く疾患のことです。
アコファイドと機能性ディスペプシア
 直接生命に関わるような病気ではありませんが、特に日本人には多く、また胃薬などで一時的に治っても何度も繰り返すこともあり、有効な治療方法が確立されていませんでした。
 『アコファイド』の登場によって、食事・生活習慣の改善を行ってもこの「機能性ディスペプシア」が治らない場合には、明確なエビデンスに基づいた薬物治療も可能になりました。

 なお、『アコファイド』は食後に飲むと吸収が悪くなるため、食前に飲む必要があります。



回答の根拠①:『アコファイド』の作用機序

 消化管は、「アセチルコリン(Ach)」が消化管平滑筋の「ムスカリン受容体」に作用することで活動します。そのため、「アセチルコリン(Ach)」を増やすことで、消化管の動きは活発になります。
 『アコファイド』は、この「アセチルコリン(Ach)」を分解してしまう酵素「アセチルコリンエステラーゼ(AchE)」を阻害することで、消化管の活発な動きを維持する作用があります1)。
アコファイドの作用機序
 『アコファイド』はこの作用によって、「機能性ディスペプシア」の原因となっている胃運動・排出能の低下を改善する効果を発揮すると考えられています1)。

 1) アコファイド錠 インタビューフォーム

従来までの治療方法では、保険・効果の2つの点で不十分だった

 『アコファイド』が登場するまで、繰り返す胃もたれ・胃の痛みに対しては、胃腸の働きを活発にさせる薬プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカー抗不安薬など、様々な薬が使われてきました。
 しかし、これらの薬は「機能性ディスペプシア」に保険適用はなく、またPPIには投与期間に制限があるほか、抗不安薬では眠気の副作用が多いなど、保険・効果の両面で問題が多く、治療方法として不十分でした。

 『アコファイド』は「機能性ディスペプシア」に対して保険適用のある初めての薬です2)。そのため、これまで繰り返す胃もたれ・胃の痛みに悩んできた人にとっては、初めての有効な薬物治療と言えます。

 2) アコファイド錠 添付文書



回答の根拠②:予め、内視鏡検査などで器質的疾患の有無を確認する必要がある

 『アコファイド』の適応症は「機能性ディスペプシア」、つまり、器質的疾患が無いにも関わらず起こる症状に使う薬です。
 そのため、例えばピロリ菌に感染している場合にはピロリ除菌、逆流性食道炎が起きている場合はPPI、胃がんなどの病変がある場合には抗がん剤治療を行うなど、根本的な原因がある場合はそちらを治療する必要があります。

 このことから、『アコファイド』を処方する前には器質的疾患が無いことを確認するために、予め内視鏡検査や血液検査など必要な検査を行う必要があります2)。
 ただし、内視鏡検査を行えない場合などは「機能性ディスペプシアの疑い」として、4週間程度『アコファイド』を使って治療を試みる場合もあります3)。

 3) 日本消化器学会 「機能性消化管疾患診療ガイドライン(2014)」



回答の根拠③:『アコファイド』は、食前に飲む

 『アコファイド』を食後に飲むと、吸収が最大で80%程度低下し、効果も大幅に弱まってしまう恐れがあります。 そのため、必ず食前に服用するようにしてください。

※食後に服用した場合の影響 1)
最高血中濃度:40.4%低下
AUC(血中濃度曲線下面積):20.0%低下



薬剤師としてのアドバイス:まずは食事・生活改善から始める

 「機能性ディスペプシア」は、確かに不愉快な症状が長く続く疾患ですが、基本的に命に関わるようなものではありません。

 消化管の動きに作用する『アコファイド』にも副作用はあり、下痢や便秘といった副作用を起こしやすい傾向があります。そのため、薬なしで治療できるのであれば、それに越したことはありません。

 このことから、薬を使う前にまずは食事・生活改善から始めるのが基本です。
機能性ディスペプシアの治療方法
※「機能性ディスペプシア」に対する食事・生活改善の例
①できるだけ決まった時間に食事を摂る(※特に、胃に負担をかける深夜・就寝直前の食事を控える)
②よく噛んで、ゆっくり食べる
③ラーメンなどの油っこいもの、トウガラシなどの刺激物などを控える
④食べ過ぎを控える
⑤タバコを控える
⑥アルコールを控える

 これら全てを一気にまとめて行う必要はありませんが、できる範囲で食事・生活習慣を改善し、それでもダメだった場合に初めて薬の力を借りる、といった治療を行うことをお勧めします。



+αの情報:ピロリ菌が原因のこともある

 一部の「機能性ディスペプシア」は、ピロリ菌を除菌することで改善することがわかっています。
 しかし、これは厳密には「機能性ディスペプシア」ではなく、「H.pylori関連ディスペプシア」として別に定義する必要があるとされています4)。

 4) Gut.64(9):1353-67,(2015) PMID:https:26187502




 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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