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知っておくべきこと 専門用語解説

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薬の「添付文書」って何?

回答:法的根拠を持つ情報

 「添付文書」とは、正式名称「医療用医薬品添付文書」のことで、薬事法第52条で定められた公的文書です。

 様々な情報が氾濫する中、医薬品に関する情報としては唯一、法的根拠のあるものです。

 薬剤師は、この添付文書に記載してある内容を基本として理解し、個々の状況に合わせた薬の使い方を指導しています。

 また、医療従事者が添付文書に記載された内容を守らず、不適切な使用方法をした場合に起こった有害事象については、その責任が問われることとされています。

注意事項:一般の方が読むべきではない資料

 医療従事者でなくとも添付文書はインターネット上で閲覧することができますが、専門用語が入り乱れている上、極めて稀な副作用まで仰々しい名前(無菌性髄膜炎、横紋筋融解症、顎骨壊死etc.)で列挙されているため、不必要な不安に駆られる恐れがあります。

 インターネット上では、こういった情報を基に不安を煽るような意見を主張しているところもありますが、ほとんどのものが「車に乗ったら、暴走して壁に激突して死んでしまうかもしれないよ!」と言っているくらい、極端なものです

 添付文書は、薬学や医学といった前提知識を持つ人でなければ、正しく読むことは難しい資料である、とも言えます。そのため、一般の方が閲覧するべきものではありません。

 もし万が一、添付文書を閲覧して何か疑問や不安を感じてしまった場合は、きちんと薬剤師に相談し、納得のいく説明をしてもらうことをお勧めします。

詳しい回答:どんなことが記載されているのか?

 添付文書には、薬を使うにあたって必要となる十分な量の情報が記載されています。薬剤師はこの情報を基に、安全かつ有効に薬を使えるよう知恵を絞っています。

 
・記載項目と、その活用例

作成または改訂年月・・・・・・・・新たな副作用が見つかった際などは、添付文書も改訂されます
薬効分類名・・・・・・・・・・・・・・・・どういった用途の薬か、大きな分類
販売名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・同じ名前でもmgが違う、といった薬の存在がわかります
販売開始年月・・・・・・・・・・・・・・新薬では、未知の副作用があったり、後発品がない等の事情があります
貯法・使用期限等・・・・・・・・・・・冷所や暗所保存が必要か、また何年の保管が可能か
基準名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・薬の一般名
組成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・薬の化学式や、有効成分の量、添加物の種類や含有量
性状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・薬の形、色、におい、味、外見、直径、厚さ、重さ
禁忌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どういった患者には使用してはいけないのか、が理由と共に
効能又は効果・・・・・・・・・・・・・・厚生労働省に認められた効果・効能
用法及び用量・・・・・・・・・・・・・・効果・効能を発揮すると認められた薬の使い方と量
慎重投与・・・・・・・・・・・・・・・・・・どういった患者には注意が必要か、が理由と共に
重要な基本的注意・・・・・・・・・・どういう使い方をすると危険か、どんな使い方をすべきか、という注意
相互作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・他の薬との悪い組み合わせを、その理由と共に
副作用等発現状況の概要・・・・臨床試験を行った際、どんな副作用が何例報告されているか
重大な副作用・・・・・・・・・・・・・・重篤になり得る副作用の内容と、対処法
その他の副作用・・・・・・・・・・・・重篤にはならないが、起こり得る副作用の内容と、対処法
高齢者への投与・・・・・・・・・・・・高齢者に投与する際に、特に注意すること
妊婦、授乳婦等への投与・・・・・妊婦や授乳婦に投与する際に、特に注意すること
小児等への投与・・・・・・・・・・・・小児に投与する際に、特に注意すること
その他の注意・・・・・・・・・・・・・・薬を取り扱う際に気を付けるべきこと
薬物動態・・・・・・・・・・・・・・・・・・薬がどれだけの時間で吸収され、どれだけの時間で分解されるか、のデータ
臨床成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・臨床試験で、何人の患者に投与したら何例で症状が改善されたか、のデータ
薬効薬理・・・・・・・・・・・・・・・・・・薬が効果・効能を発揮するメカニズム
有効成分に関する理化学的知見・・・薬の化学名や分子式、分子量、構造式、水やアルコールへの溶解性
取扱上の注意・・・・・・・・・・・・・・特に光や高温に弱い、色素沈着がある等の注意
包装・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・粉や缶といった包装、1シート10錠、1シート14錠など、販売されている単位
主要文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付文書の情報の科学的根拠となっている文献
製品情報問い合わせ先・・・・・・製薬メーカーの問い合わせ先

 添付文書は、化学的根拠のある”事実”が記載されています。この事実を基に、薬の専門家としてどういった”意見”を持つのかは薬剤師の力量に左右されることがあります。

 薬剤師不足によって、大学を卒業してすぐ、添付文書の読み方もわからないままの新人薬剤師が現場に立っている現状は、問題があると言わざるを得ません。

 

+αの情報:インタビューフォ-ム

 医療に必要な情報を得るためには、添付文書に記載された情報を裏付ける、更に詳細な情報が必要な場合があります。

 こうした際、添付文書を補完する情報として利用できる「インタビューフォーム」があります。

 インタビューフォームは添付文書と比べると、内容は実務よりも学術的な資料という色が濃いものになっています。

 例えば、より詳しい臨床試験時のデータや、胎盤を通過する通過性のデータ、製造工程から考えられる混入の可能性がある物質、薬の有効成分を定量する際に適切な実験方法、薬効を裏付ける試験成績、毒性試験、容器の材質・・・などのデータが記載されています。

 これらの情報もまた必要に応じて収集し、情報提供に役立てています。

 

 
 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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★「PharmaTribune」にてコラム「今月、世間を賑わした健康情報」連載中です。
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