スポンサードリンク

薬剤師のありかた 時事問題

/

無資格事務員が調剤していた問題について


 薬剤師資格のない事務員が、飲み薬などの調剤を行っていたとして、ファーマライズホールディングスが謝罪するということが5月11日にありました。この問題は、極めて特殊な例というわけでもなく、日本の多くの薬局が潜在的に抱える問題点であると言えるはずです。

何が問題か?

 去年11月から今年3月にかけて、ファーマライズホールディングス傘下の薬局で、薬剤師の資格を持たない事務員が、飲み薬の混合調剤や、患者への対応に携わった疑いがある、とされています。

 薬は分量や種類を間違えると、最悪死に至る可能性もあります。そのため薬を扱う作業は、薬剤師の資格を持つ者が行わなければなりません。これは法律(薬剤師法)でも定められており、医薬品の安全や品質を保証するために絶対に守らなければならないルールです。

 薬の安全や品質を保証するためには、作業に手間が増えてどうしても時間がかかります。そのため、薬局に対する不満の上位にいつも「待ち時間が長い」というものが挙げられています。この「長い待ち時間」は、そのまま「安全と品質を保証するための」時間でもありますが、それでも待ち時間は短いに越したことはありません。その気持ちは十分に理解できます。

 「待ち時間」を減らそうとした際、本来であれば薬局に配置する薬剤師を増やす、あるいは薬局内の業務の効率化を図るなどの対応が必要です。しかし、これはどちらも面倒でコストがかかります。
 だから、経営者は往々にして、安い給料で雇える事務員を使って、「待ち時間」を減らすための作業をさせる、という手を抜いた方法を選ぶのです。

 普通、面倒だからとか、コストがかかるからといったような理由でルールを破ることはあり得ないはずなですが、薬局は未だにそういった意識・モラルの低い面が多く存在するのも事実です。もっと我々自身がしっかりしなければなりません。

利益追求が第一の薬局も多い

 医薬分業が一気に進んだ際、薬局の需要も大幅に増えました。そのため、薬局という業界を真剣に考える経営者の他に、このチャンスを逃す手はないと”利益追求”を第一とする経営者も増えました。
 こうした経営者は、薬剤師や薬局といった業界のことよりも、会社の利益を追求します。極端な話、自分の会社が儲かれば、薬剤師や薬局がどうなろうと知ったことではないのです。薬の安全性や品質の確保など、知ったことではないのです。

 …そこまで極端な人は少ないかもしれませんが、そういった面を持つ経営者が居るために、こうした問題が起こってきているもの事実です。
 
 薬剤師が少なくて業務が回らない、時間のかかる薬歴は書かなくても良いや。つい最近、問題になりました。
 薬剤師が少なくて業務が回らない、薬は事務員に作らせたら良いや。今回、問題になりました。

 薬剤師が少ないという問題点は理解できます。しかし、”利益第一”が判断の基準になっているために、対応がどれもこれも問題ばかりです。
 会社である以上、利益を追求することは必要ですが、薬局というものは利益だけを第一にしてはいけない部分がある、ということを考慮しなければなりません。

同じ薬なら「安くて早い方が良い」、という過ち

 薬局では「同じ薬なら、安くて早い方が良い」という考えが、賢い選択であるかのように議論されています。しかし、食の安全と同様、薬の安全も極めて慎重に選択するべきです。中国産の食材にNOと言ったのと同じように、安全と品質が保証されていない薬にもNOを突き付けなければなりません。
 それなのにどういうわけか、「同じ値段で同じ薬なら、相談もできて安全な方が良い」という考え方には未だ至っていません。

 これは、薬局や薬剤師が、薬の安全についてほとんど声を上げないことも要因です。一度声を上げてしまったら、自分たちがきちんと相談に乗ったり安全を保証しなければならないからです。それが面倒だから、薬剤師自身も、「安くて早い」ことで選ばれる方が楽なのでしょう。

 コストをかけずに「待ち時間」を減らすためには、手を抜く以外に方法はありません。待たせないことばかりを売りにする薬局が、本当に信頼できるのかどうかも、もう一度考える必要があると思います。
 きちんと相談のできる、信頼できる薬剤師は全国に居ます。しかし、問題だらけの薬局や薬剤師も残念ながら非常に多いのも現状です。自分が受ける医療をより安全に、より安心できるものにするため、信頼できる薬剤師を見つけて欲しいと、常々思っています。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動


★6月22日のフジテレビ「直撃LIVE グッディ!」に薬剤師としてコメントを寄せました。
★3月23日発売の「異世界薬局(コミック版)」に薬学監修として携わりました。
★12月28日のYahoo!ニュース動画「抗生物質が効かなくなる日」に監修として携わりました。

★PharmaTribuneにて連載中

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■カテゴリ選択・サイト内検索

スポンサードリンク

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■お勧め書籍

recommended

■提携・協力先リンク


オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

  1. 活動実績

    【活動実績】日本薬剤師会による災害支援活動に従事しました
  2. 活動実績

    【活動実績】日経トレンディ3月号の「花粉症対策記事」に情報提供しました
  3. 時事問題

    【活動実績】PharmaTribuneでコラム「世間を賑わした健康情報」連載中で…
  4. 活動実績

    【活動実績】Yahoo!ニュース動画「抗生物質が効かなくなる日」の監修に携わりま…
  5. 活動実績

    【活動実績】コミック版「異世界薬局」に監修として携わりました
PAGE TOP