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知っておくべきこと 食事療法

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血糖値が高いから、食事から炭水化物を抜けば良い?~低炭水化物食の弊害

回答:自己流の食事制限はNG

 10年以上前にアメリカで提唱された「低炭水化物ダイエット」は、日本でも話題となり、今でも行われています。

 しかし、自己流で「低炭水化物ダイエット」を行うと、脂質やタンパク質とのバランスが崩れ、代謝が悪化して糖尿病に悪影響を及ぼしたり、合併症を進展させる恐れがあります。

 食事療法は必ず主治医や栄養士の指導に従って行い、自己流では行わないようにしましょう。

回答の根拠:日本糖尿病学会の推奨するバランス

 ヒトは、活動に必要なエネルギーを「炭水化物」、「タンパク質」、「脂質」の3つで摂取しています。この3つのバランスが極端に崩れると、エネルギー生産などの代謝が悪化し、様々な体調不良をきたす可能性があります。

 多くの欧州のガイドラインでは、「炭水化物」の摂取を総エネルギーのうちの50~60%としています。また、エビデンスレベルの高い(1b)ランダム化比較試験に基づく勧告でも55~65%が提唱されています1)。

 1) J Am Coll Nutr.23(1):5-17,(2004) PMID:14963049

 こうした現状を踏まえて、日本糖尿病学会は炭水化物によるエネルギー摂取が60%を越えない程度に抑えるのが望ましい、という見解を示しています2)。

 2) 日本糖尿病学会 「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン (2013)」

 自己流で「低炭水化物ダイエット」を行った場合、多くの場合は極端に「炭水化物」を制限した結果、「脂質」や「タンパク質」でエネルギー摂取する割合が相対的に高くなります。

 低炭水化物食に伴い「タンパク質」の割合が増えると、糖尿病腎症を悪化させます3)。

 低炭水化物食に伴い「脂質」の割合が増えると、糖尿病を悪化させ、心筋梗塞などの心血管疾患を増加させることがわかっています4,5)。

 3) Am J Clin Nutr.60(4):579-85,(1994) PMID:8092094
 4) Am J Clin Nutr.93(4):844-50,(2011) PMID:21310828
 5) Ann Intern Med.153(5):289-98,(2010) PMID:20820038

 以上のことから、自己流の「低炭水化物ダイエット」を行い、食事のバランスを大きく崩すことは非常に危険です。食事療法を行う際には必ず医師や栄養士の指導を受けるようにしてください。

薬剤師としてのアドバイス

 食事療法は血糖値のコントロールに重要で、糖尿病治療の基本です。そのため、正しい知識に基づいて行う必要があります。

 食事療法を行う際にも、「炭水化物」、「脂質」、「タンパク質」の三大栄養素はバランスよくとるようにしましょう。

 また食事の際、野菜から先に摂取することによって、食後の血糖値の上昇を抑えることができるとする報告もあります6,7)。この食事の順序を工夫する方法は、特にデメリットもないため、試してみると良いでしょう。

 6) 糖尿病.53:112-5,(2010)
 7) Diabetic Med.30(3):370-2,(2013) PMID:23167256

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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