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感染症 専門用語解説

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韓国で流行っている”MERS”って何?~ヒトからヒトへの感染と、健康な人への影響

 

回答:ウイルス性の感染症

 ”MERS”は「中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus)」の略です。中東地域に住んでいたり、渡航したことのある人が感染・発症する、呼吸器系に障害を起こす感染症です。

 2003年に世界的な流行を起こした”SARS”「重症急性呼吸器症候群」と同じく、コロナウイルスという種類のウイルスに感染することによって発症します。

 発症すると、主に発熱や咳など肺炎に似た症状が現れます。特に高齢者や糖尿病、もともと肺に疾患のある人などでは重症化する恐れがあります。しかし、健康な人であれば、感染しても全く症状が出ないこともあります。

 韓国で死者が出たことによりニュースになっていますが、2015年9月段階では日本国内で発生したという報告はありません1)。

 1) 国立感染症研究所

MERSの感染について

 中東地域に分布する「ヒトコブラクダ」がMERSウイルスの保有者であると考えられています。しかし、このラクダとの接触がない人の発症例もあり、”MERS”がヒトにどうやって感染するかはまだ正確にわかっていません。

 今のところ、いわゆる「流行性インフルエンザ」のように、ヒトからヒトへと強力に伝染していくことはありません。しかし、家族間など濃密な接触がある関係に限定しては感染例も確認されています2)。

 2) 厚生労働省「中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A

 また、ウイルスは驚異的なスピードで変異し、感染力を強化することもあります。中東地域からの帰国14日以内に、発熱や咳などの症状が現れた際には、必ず医療機関で「中東地域に滞在した」ことを伝えるようにしてください。

 現在では、地方衛生研究所などの検査機関によって、ウイルスの遺伝子調査によってMERSウイルスに感染しているかどうかを確認することができます。

MERSの治療について

 今のところ、MERSウイルスをピンポイントで退治する「抗ウイルス薬」は存在しません。そのため、必要に応じて酸素吸入を行うなどの対症療法とあわせて、別の細菌に二次感染することを防ぐといった支持療法が基本になります。
 暫定的なガイドラインを世界保健機関(WHO)が公表していますが、確立された治療方法はまだありません3)。

 3) Clinical management of severe acute respiratory infections when novel coronavirus is suspected:
What to do and what not to do.

薬剤師としてのアドバイス:空港や駅は大丈夫か?

 先述のように、MERSウイルスには今のところ、「インフルエンザウイルス」のようなヒトからヒトへの強い感染力はありません。これまでにヒトからヒトへの感染が起きた例は、家族内であったり、患者の気道粘液に直接触れた医療従事者であったり、濃厚な接触をした例に限定されています。

 そのため、感染者が利用した空港や駅から感染が拡大し、国内で大流行が起こる、という可能性は極めて低いと考えられます。どちらかと言うと、中東を旅してきた日本人が感染した状態で帰国する危険の方が高いと言えます。

 健康な人であっても、海外渡航したり人混みに行ったりした際は、常に様々な感染症に気を付ける必要がありますので、手洗い・うがいは欠かさないようにしましょう。
 また、ウイルスは突然変異して症状や感染力が大きく変わることもあります。今後のニュースにも気を付けておく必要があります。

 万が一、MERSウイルスによる感染症を発症した疑いがある場合は、自分で医療機関へかかるのではなく、必ず保険所へ連絡し、指示を仰ぐようにしてください。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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