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知っておくべきこと 副作用

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「キシリトール」が犬にとって毒なのは何故?~低血糖を起こすメカニズム

回答:急激な低血糖や肝障害を起こすから

 「キシリトール」は、虫歯を防ぐ効果が証明されている甘味料としてガム等の菓子類に多く配合されています。
 しかし、ヒトと違って犬が「キシリトール」を摂取すると「インスリン」が強力に分泌され、血糖値が急激に低下することがあります。これによって重篤な低血糖症状を起こす恐れがあります。

 また、肝障害の原因にもなるため、犬に「キシリトール」の入った人間用のお菓子類を与えたり、間違って食べたりしないよう注意してください。

回答の根拠:体重10kgあたり1gの摂取でも危険

 犬では、100mg/kg(体重10kgの犬が1gを摂取)の「キシリトール」で、重篤な低血糖に陥る可能性が示唆されています1)。これは、チューイングガム1~2枚の摂取でも十分に起こりえる量です。

 1) 日本獣医学会 「犬のキシリトール中毒について」

 「キシリトール」は、人間が多少過量に摂取してもお腹が緩む程度で、ヒトにとっては危険なものではありません。しかし、犬が誤って人間用のお菓子を食べてしまった場合には、生命に関わるような事態になってしまう恐れがあります。人間用のお菓子を不用意に犬に与えないよう注意してください。

猫では問題なさそう

 なお、猫は「キシリトール」を100~1,000mg/kg(※犬では致命的になり得る量)摂取しても、低血糖や肝障害の兆候は観察されなかったという報告があります2)。

 2) J Vet Pharmacol Ther.41(3):409-14,(2018).PMID:29430681

薬剤師としてのアドバイス:人間用のものを、犬や猫に与えない

 動物は、同じ哺乳類であっても体内で働いている酵素などが様々に異なるため、毒になるものと栄養素になるものは様々に異なります。

※ヒトにとって無害だが、他の動物にとって毒になることが多いもの
・タマネギ:有機チオ硫酸化合物を含む
→ヒトは消化できるが、分解酵素を持たない犬などが摂取すると貧血症状(赤血球酸化障害性血尿症)を起こす
・ブドウ:原因不明
→犬が食べると中毒症状(嘔吐・下痢・腎不全など)を起こすことがある

 そのため、人間用の薬や飲食物をペットに与えたり、異なる動物用の飲食物を別の動物に摂取させることは、非常に危険ですので、絶対に止めてください。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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