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知っておくべきこと 薬の誤解

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半分に割れば、同じ症状の子どもに飲ませて大丈夫?

回答:絶対にダメ

 絶対に、ダメです。

 大人の半分よりももっと少ない量で使わなければならない薬や、そもそも子どもには使ってはいけない薬はたくさんあります。

回答の根拠①:子どもの量=大人の半分、という誤解

 確かに、大人の半分量が「子どもの用量」として設定されている薬は、いくつか存在します。

 例えば、アレルギーに使用する『アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)』には、12歳以上用の60mgと、12歳未満用の30mgの錠剤が存在します。
 これは、安全な量や効果を発揮する量を厳密に調べていった結果、子どもの量が大人の量の半分である、という結果が出たからです。たまたま「子どもの量が大人の量の半分」になっているだけです。
大人の半分量は子どもの量か

 子どもの薬の量は、いつも大人の半分である、というのは大きな誤りです。

 ヒトが成長するにあたって、筋肉や腎臓、肝臓、血管、代謝システムなどは様々なタイミングと時間差で成長します。そのため、安全に使える薬の量も全く異なります。大人の体重との比で簡単に計算できるものではありません。

 子どもへの投与量を計算する方法はたくさんあります。薬によってどの式を使うかも異なります。

・年齢で計算するものの例
Young式:
 年齢 / (年齢+12)×大人の用量
Augsberger-Ⅱ式:
 (年齢×4+20) / 100 ×大人の用量
Dilling式:
 年齢 / 20 ×大人の用量
Fried式:
 月齢 / 150×大人の用量

・体重で計算するものの例
Hamburger式:
 体重kg / 70 ×大人の用量
Clark式:
 体重ポンド / 150×大人の用量(2歳以上)
Augsberger-Ⅰ式:
 (体重kg×1.5+12) / 100×大人の用量
Lenart式:
 (年齢×2+体重kg+12)

・体表面積で計算するものの例
Crawford式:
 体表面積[平方m]×大人の用量 / 1.73

 このように、子どもの服薬量を算出するための、非常に複雑な計算式がたくさん存在しています。このことからも、単純に”半分の量”が子どもの量である、というわけではないことは明らかです。

回答の根拠②:そもそも子どもに使用できない薬

 薬には、15歳未満の子どもには使用できない薬や、子どもに使用すると成長を妨げるような薬が、たくさん存在します。

 痛み止めとして有名な『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』は、15歳未満の子どもに対する適応がありません1)。子どもには『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』を選ぶ必要があります。

 1) ロキソニン錠 添付文書

 また、抗生物質であっても『クラビット(一般名:レボフロキサシン)』などは、成長に異常を来たす恐れがあるため、子どもには使用できません2)。

 2) クラビット錠 添付文書

 こういった薬は、そもそも子どもに使用できない成分なので、大人と同じ症状であっても、例え半分に割ったとしても、4分の1に割ったとしても、子どもに飲ませることはできません。

薬剤師としてのアドバイス:家族や他人の薬は使い回さない

 子どもが辛そうにしているから、という理由で、安易に自己判断で薬を使うべきではありません。

 薬を正しく使っていた場合、もし大きな副作用に見舞われても「副作用被害救済制度」という補償を受けることができます。
 しかし、たとえ家族であっても他人の薬を使ったような場合には、この制度の対象外となってしまいます。

 
 子どもは大人よりも体重も少なく、肝臓や腎臓の代謝機能も低いため、それだけ副作用も強く出る傾向があります。思わぬ副作用を避けるため、万が一のときは補償の対象外とならないために、家族や他人の薬は使いまわさないようにしてください。

+αの情報:市販薬の使い回しも要注意

 市販の風邪薬にも、小児には使えない咳止めの「リン酸コデイン」が配合されている場合があります。

 医療用の薬に限らず、市販薬・OTCであっても使い回しは非常に危険ですので、必ず用法・用量や年齢制限は守るようにしてください。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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薬ゼミ、診断と治療社
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【講演・シンポジウム等】
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