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似た薬の違い 禁煙補助剤

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『チャンピックス』と『ニコチネル』、同じ禁煙補助薬の違いは?~「ニコチン」の有無、禁煙成功率と副作用

回答:タバコの満足感を弱める『チャンピックス』、タバコの代わりに「ニコチン」を補給する『ニコチネル』

 『チャンピックス(一般名:バレニクリン)』と『ニコチネル(一般名:ニコチン)』は、どちらも禁煙補助薬です。

 『チャンピックス』は、タバコによる満足感を弱めることで、自然に喫煙量を減らす「飲み薬」です。
 『ニコチネル』は、タバコの代わりに「ニコチン」を補充することで、禁煙の継続を助ける「貼り薬」です。
チャンピックスとニコチネル2
 『チャンピックス』の方が禁煙成功率は高いですが、『ニコチネル』の方が不快な副作用が少なく使い続けやすい薬です。

 このように『チャンピックス』と『ニコチネル』は一長一短の特徴を持っているため、自分に合った薬を選ぶことが大切です。

回答の根拠①:作用の違い~「ニコチン」の有無と、禁煙の開始日

 『チャンピックス』と『ニコチネル』は、どちらも禁煙補助薬ですが、作用は全く異なります。

 『チャンピックス』は、タバコによる満足感を弱めることで喫煙量を減らし、自然と「禁煙」へと行動を変える効果がある薬です。
 『ニコチネル』は、タバコの代わりに「ニコチン」を補充し、「禁煙」の継続を助ける薬です。

『チャンピックス』の作用~タバコがマズくなるメカニズム

 通常、タバコによって「ニコチン」を摂取すると、脳では「ドパミン」が放出され、満足感が得られます。
 『チャンピックス』は、この「ニコチン」による「ドパミン」放出を抑える作用があります。そのため、『チャンピックス』を服用中にタバコを吸っても満足感が得られず、美味しいと感じなくなります1)。
チャンピックス~ニコチンとドパミン
 1) チャンピックス錠 添付文書

 『チャンピックス』は、薬を飲み始めても1週間はタバコを吸っても良いとされています1)。
 しかし、この時に吸ったタバコはマズく感じるため、自然と喫煙量が減っていくようになります。この経験をした上で、1週間後から「禁煙」を始めることになります。

『ニコチネル』の作用~禁煙の継続を助ける

 禁煙で最も難しいのは、「ニコチン」が減ることによる離脱症状です。
 『ニコチネル』は、タバコの代わりに「ニコチン」を補充することで、この離脱症状を防ぎ、禁煙の継続を助ける効果があります2)。
ニコチネル~ニコチン補充
 2) ニコチネルTTS 添付文書

 『ニコチネル』には「ニコチン」が含まれているため、薬を使い始めたその日から「禁煙」を始める必要があります2)。

回答の根拠②:禁煙達成率の違い

 『チャンピックス』や『ニコチネル』を使うことで、薬無しで挑戦するよりも禁煙成功率は高くなります。

 『チャンピックス』と『ニコチネル』の禁煙達成率を比較すると、1年(52週)後の禁煙率は『チャンピックス』の方が高いとされています3)。
 また、数ある禁煙補助薬の中でも『チャンピックス』は、「ニコチン製剤」ガムの1.72倍、『ニコチネル』の1.51倍と、最も高い禁煙達成率を発揮するという報告もあります4)。

 3) Cochrane Database Syst Rev.(3):CD006103,(2008) PMID:18646137
 4) Cochrane Database Syst Rev.(5):CD009329,(2013) PMID:23728690

 このことから、より高い成功率が期待できる『チャンピックス』でまず挑戦する、という選び方をする場合があります。

回答の根拠③:不快な副作用の違い

 『チャンピックス』では、吐き気(28.5%)、不眠症(16.3%)、異常な夢(13.0%)、頭痛(11.6%)と、非常に高い頻度で不快な副作用が生じることが報告されています1)。
 一方、『ニコチネル』では目立った全身の副作用は不眠(5.9%)だけで、『チャンピックス』と比べると副作用が少なく、使い続けやすいのが特徴です2)。

 そもそも禁煙補助薬を使い続けることができなければ、「禁煙」の挑戦もできません。そのため、使い続けやすいという観点から『ニコチネル』を選ぶ場合があります。

薬剤師としてのアドバイス:禁煙補助には健康保険が使える

 「ニコチンのガム」は市販されているため、医療機関にかからずに補助薬を使った禁煙に挑戦することもできます。しかし今の日本では、一定の条件に当てはまれば、禁煙補助に健康保険を使うことができます。
チャンピックスとニコチネル~健康保険
 そのため禁煙を考える際には、保険が使える医療機関(日本禁煙学会のWebサイトから検索可能)で、正しい支援を受けることをお勧めします。

ポイントのまとめ

1. 『チャンピックス』は、タバコを不味くすることで喫煙量を減らす「飲み薬」で、禁煙成功率が高い
2. 『ニコチネル』は、タバコの代わりに「ニコチン」を補充する「貼り薬」で、副作用が少ない
3. 一定の条件を満たせば、健康保険を使って禁煙に挑戦できる

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆薬のタイプ
チャンピックス:飲み薬
ニコチネル:貼り薬

◆適応症

チャンピックス:ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助
ニコチネル:医師により禁煙が必要と診断された禁煙意志の強い喫煙者が、医師の指導の下に行う禁煙の補助

◆「ニコチン」の含有
チャンピックス:含まない
ニコチネル:含む

◆禁煙開始日
チャンピックス:服用の1週間後から禁煙開始
ニコチネル:使用初日から禁煙開始

◆主な副作用(臨床試験時)
チャンピックス:吐き気(28.5%)、不眠(16.3%)、異常な夢(13.0%)、頭痛(11.6%)など
ニコチネル:不眠(6.8%)

◆警告や禁忌の内容
チャンピックス:精神疾患を持つ人への注意喚起(※削除予定)
ニコチネル:狭心症・心筋梗塞・重篤な不整脈の患者への投与は禁忌

◆製造販売元
チャンピックス:ファイザー
ニコチネル:グラクソ・スミス・クライン

+αの情報①:『チャンピックス』と『ニコチネル』の併用

 『チャンピックス』では「ニコチン」を補充できないため、実際に禁煙を開始するとニコチンの離脱症状が起こることがあります。
 こういった場合、離脱症状がピークになるタイミングに合わせて『ニコチネル』を併用することで、禁煙成功率が20%ほど高くなるという報告もされています5)。
チャンピックスとニコチネル~保険適用外の併用
 5) JAMA.312(2):155-61,(2014) PMID:25005652

 現状では保険適用外の使い方ですが、今後の検討によってより高い成功率の禁煙方法が確立されることが期待されています。

+αの情報②:基礎疾患に対するリスク

 『チャンピックス』は、統合失調症や双極性障害、うつ病に対して慎重投与とされています1)。しかし、実際に薬が精神症状を悪化させることはないとする報告もあり6)、また「禁煙」自体が精神状態に大きく影響もするため、因果関係ははっきりしていません。

 6) Ann Intern Med.159(6):390-400,(2013) PMID:24042367

 『ニコチネル』は血圧を高める作用があるため、狭心症や心筋梗塞・脳卒中・不整脈などの心血管系の疾患を悪化させる恐れがあります7)。そのため、こうした基礎疾患を持つ人には禁忌で使用できません2)。

 7) Circulation.129(1):28-41,(2014) PMID:24323793

 こうした基礎疾患に対するリスクから薬を選ぶ場合もあります。

 
 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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★「PharmaTribune」にてコラム「今月、世間を賑わした健康情報」連載中です。
★6月22日のフジテレビ「直撃LIVE グッディ!」に薬剤師としてコメントを寄せました。
★3月23日発売の「異世界薬局(コミック版)」に薬学監修として携わりました。
★12月28日のYahoo!ニュース動画「抗生物質が効かなくなる日」に監修として携わりました。

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