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抗凝固薬 検査値

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PT-INR、どのくらいの値だったら良いの?~高齢者のより厳密な管理

回答:一般的には1.5~3.0だが、年齢や持病によっても変わる

 一般的に、『ワーファリン(一般名:ワルファリン)』で治療を行っている際のPT-INRは、1.5~3.0の間でコントロールするのが良いとされています。

 ただし、70歳以上の高齢者の場合はより厳密に1.5~2.5の間で維持するのが良い、とする意見もあります。
PT-INRのコントロール
 年齢や生活環境、持病や他に飲んでいる薬などによって、最適なPT-INRの値は人それぞれ異なります。自分の最適な範囲は主治医に確認するようにしてください。

※PT-INRとは
 PT-INR(prothrombin time-international normalized ratio)は「プロトロンビン時間国際標準比」、平たく言うと「血のサラサラ度合」を示す指標です。標準値との”比”なので、普通の健康な人が測定すると1.0になります。

回答の根拠:推奨されるPT-INRの範囲と、そのばらつき

 PT-INRが低くなり過ぎると、血液が簡単に固まり、血管を詰まらせてしまうリスクが高くなります。
 PT-INRが高くなり過ぎると、血液が固まらなくなり、出血を起こすリスクが高くなります。

 そのため、低過ぎず高過ぎず、という適切な範囲内で維持する必要があります。

 PT-INRは、明確にどの範囲でなければならないという絶対的な指標はありません。欧米では2.0~3.0が推奨されていますが、日本では1.5~2.5の範囲が妥当とされています1)。

 1) 日本循環器学会 「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)」

1.5~2.5や2.0~3.0が良いとされる報告がある

 このようにPT-INRの範囲にばらつきがあるのは、1.5~2.0でコントロールすることで出血リスクを高めずに塞栓症を予防できるとする報告2)や、2.0~3.0でコントロールすればより高い予防効果が得られるとする報告3)があるからです。

 2) N Engl J Med.348(15):1425-1434,(2003) PMID:12601075
 3) N Engl J Med.349(7):631-9,(2003) PMID:12917299

 そのため、一般的に1.5~3.0の範囲でPT-INRをコントロールしている人が多いのが現状です。

 ただし、高齢者の場合はPT-INRが2.6を超えると出血のリスクが増加するため、70歳以上の高齢者であれば、厳密に1.5~2.5の間で維持するのが良い、ともされています4)。

 4) Circ J.77(9):2264-70,(2013) PMID:23708863

薬剤師としてのアドバイス:PT-INRや『ワーファリン』の服用量は、人それぞれ違う

 『ワーファリン』は、他の薬との相互作用が多く、また納豆などの食品によっても効果が著しく低下するなど、人の生活状況によっても効果に大きな個人差が生まれます。
 また、先述のように推奨されるPT-INRはその人の年齢や持病などによっても異なります。

 そのため、他の人とPT-INRの数値や『ワーファリン』の服用量は単純に比較はできません。周りの人と違うからといって、自己判断で薬の量を変えたりしないようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 日本人は、PT-INRを1.5~3.0くらいの範囲でコントロールしている人が多い
2. 高齢者は出血によるリスクが高いため、1.5~2.5の範囲でより厳密にコントロールすることがある
3. 『ワーファリン』の服用量や適したPT-INRは人によって違うため、他の人と単純な比較はできない

+αの情報①:なぜ普通の人と同じ1.0ではダメなのか

 不整脈や心不全などで血液の循環が滞ると、血液は固まりやすくなります

 つまり、不整脈や心不全などの持病を持つ人は、その病気が原因で普通の人よりも血液が固まりやすい状態にあると言えます。
PT-INRが1でダメな理由
 そのため『ワーファリン』を服用し、普通の人よりも血液をよりサラサラの状態(1.5以上)で維持しておく必要があります。

健康な人は1.0でも血液は固まらない

 逆に、健康な人であれば血液の循環が滞っていることもないため、血液が固まりやすい状態にありません。そのため、PT-INRが普通の状態(1.0程度)でも血液が固まってしまうことはありません。

 ただし、脱水や運動不足などの要因によって、血液は固まりやすくなります。エコノミークラス症候群や、大規模な地震災害が起こると心筋梗塞が増えるのは、こうした要因が考えられています。

+αの情報②:新しい抗凝固薬が登場しても、『ワーファリン』が使われる理由

 最近は、新しい抗凝固薬が次々と登場していますが、それでも未だに『ワーファリン』もよく使われています。

 これは、『ワーファリン』は半減期が長く多少の飲み忘れにも対応できるほか、このPT-INRのように豊富な使用実績に裏付けされた効果判定の基準があるからです。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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