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薬の誤解 脱水症

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ビールやコーヒーを飲んでいたら、「エコノミークラス症候群」にならない?~利尿作用のある飲み物の落とし穴

回答:お酒やコーヒーでは水分補給にならない

 お酒(アルコール)やコーヒーは、どちらも利尿作用が強く、飲んだ水分量よりも遥かに多量の水を尿として排泄してしまいます。
利尿作用と水分摂取

 そのため、お酒やコーヒーを頻繁に飲んでいると、かえって「エコノミークラス症候群」の危険が高まります。

 長時間のフライト時には、お酒やコーヒーを控え、水やスポーツドリンク等をこまめに摂取するようにしましょう。

回答の根拠:利尿作用と水分摂取量

 お酒やコーヒーは、見た目が液体のため、飲んでいると水分補給をしている気になります。特に冷たいビールなどは喉が潤うために水分補給できている気分になります。

 しかし、実際には含まれるアルコールやカフェインの強力な利尿作用によって、摂取した水分量よりもはるかに多くの水分を尿として排泄してしまうことになります。そのため、身体としては脱水の方向へ傾きます。

 トイレを我慢していたら脱水にならない、というわけでもありません。膀胱に蓄積した尿から水分を再吸収するのは、身体が”脱水症状”を認識してからの最終手段なので、「エコノミークラス症候群」の防止には全くなりません。
 また、膀胱炎などを起こす可能性があるので、トイレの我慢は良いものではありません。

詳しい回答:エコノミークラス症候群とは

 「エコノミークラス症候群」とは、「深部静脈血栓症」と「急性肺血栓塞栓症」の通称です。

 血の塊が足などの血管を詰まらせるものを「深部静脈血栓症」、肺の血管を詰まらせるものを「急性肺血栓塞栓症」と呼びます。最近はまとめて「静脈血栓塞栓症」と呼ぶこともあります。
エコノミークラス症候群

 どちらの症状も、脱水と長時間同じ姿勢をしていることによって血流が滞り、その結果血が固まることで起こります。このとき、できた血の塊がどこの血管を詰まらせるかによって呼び名が変わります。

 特に、肺の血管を詰まらせた「急性肺血栓塞栓症」の場合、突然の呼吸困難から失神、最悪の場合には窒息死に至るケースがあります。初期の自覚症状のみで判断することは非常に困難なため、”予防すること”が極めて重要です。

※急性肺血栓塞栓症の初期症状 1)
 呼吸困難(73%)、胸の痛み(53%)、不安感(31%)、冷や汗(31%)、失神(27%)、動悸(26%)

 1) 肺血栓症研究会JASPER (2000)

薬剤師としてのアドバイス:長時間のフライトでは、こまめな運動も一緒に

 「エコノミークラス症候群」は、血液の流れが滞ることが原因で起こります。そのため、水分補給のほかにも「運動」で予防することができます。

 この「運動」は大がかりなものではなく、座席で少し足を動かすだけ(例:足でグー・チョキ・パーを作るなど)でも良いとされています。最近は、具体的な方法が機内案内にイラスト付きで紹介されている航空会社も多くありますので、参考にしてください。

 「エコノミークラス症候群」は、持病のない人、いつも極めて健康な人でも突然に起こる恐れがあります。また、「ビジネスクラス」でも起こり得ます。あるいは長時間の車の運転でも起こり得ます。

 自分は大丈夫と過信せず、水分補給とこまめな運動を心がけるようにしましょう。

+αの情報:大規模災害時の避難生活でも、同じトラブルは起こる

 地震など、大規模災害時の避難生活(特に車中泊)では、水分不足や運動不足といった要因で「エコノミークラス症候群」が起こることが知られています。

 いずれの場合も、こまめな水分補給と運動が予防策として重要です。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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