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知っておくべきこと 狭心症・心筋梗塞

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大きな地震災害があると、心筋梗塞が増える?~「たこつぼ型心筋症」と「エコノミークラス症候群」

回答:ストレス・脱水・運動不足で、循環器系のトラブルが急増する

 大きな地震災害の直後から、「たこつぼ型心筋症」や「エコノミークラス症候群」など循環器系のトラブルが急増することが知られています。
 これは、災害や避難生活のストレスに加え、脱水症状や運動不足が要因と考えられています。

 災害関連死は、適切な対処を行えば防ぐことのできる悲劇です。

 高齢者や女性はトイレを敬遠したいために水分補給を避ける人が少なくありません。水分補給は、災害関連死から命を守るための重要な手段であることを知っておくようにしてください。
 また、十分な水や食料がなく運動する余裕がなくとも、足(主にふくらはぎ)のマッサージはこまめに行うようにしてください。 

回答の根拠①:地震災害と「たこつぼ型心筋症」の関係

 新潟中越地震においては、地震発生直後から「たこつぼ型心筋症」が急増したことが報告されています1)。

 1) JAMA.294(3):305-7,(2005) PMID:16030274

 こうした現象は阪神大震災や東日本大震災でも確認され、巨大地震と心筋症の関連は災害関連死の予防の大きな課題として注目されています。

 明確な要因はわかっていませんが、余震や避難生活などによるストレスや環境変化・睡眠不足や、食事内容の悪化などが原因として考えられています。
 実際、東日本大震災では、薬の変更がなかった人でも血圧が11mmHg程度高くなっていたことが報告されています2)。

 2) Hypertension.58:e193-e194,(2011) PMID:22042806

回答の根拠②:ストレス・水分不足・運動不足が起こす「エコノミークラス症候群」

 車内など身体の動きを大きく制限される場所での避難生活では「エコノミークラス症候群」を起こすリスクも高くなります。

 その要因として、大きく3つの要因が考えられています。

①深夜や早朝を問わず発生する余震などによって生活リズムが乱れること 3)
②飲料水の不足や、トイレが汚いから、混雑しているからと水分を控える人が多いことによる脱水症状 4)
③避難所生活での運動不足 5)
地震と心筋梗塞
 3) Am Heart J.137(5):830-6,(1999) PMID:10220631
 4) J Am Coll Cardiol.29(5):926-33,(1997) PMID:9120177
 5) Disaster Manage Response.4(1):25-7,(2006) PMID:16360637

 実際、ある程度動ける避難所生活よりも、車での避難生活をしていた人で循環器系トラブルが多いことが報告されています6)。

 6) 神戸協同病院 「関連死の予防」 Vol.9,(2004)

 こまめな水分補給に加え、身体を動かすことや、足をマッサージすることも併せて行う必要があります。

薬剤師としてのアドバイス①:水分の補給は、喉が渇くから行うのではない

 「水くらい無くても、喉の渇きを我慢すれば大丈夫」と仰る方は少なくありません。特に、高齢者の方はトイレを敬遠することから、水分補給を避ける傾向があります。

 しかし、災害時の水分補給は喉が渇くから行うのではなく、心筋梗塞などの災害関連死を防ぐための重要な予防方法です。

 「飲み水くらい、喉が渇いても我慢できる」ではなく、きちんと飲料水は備えておくようにしてください。

薬剤師としてのアドバイス②:こまめに身体を動かし、足をマッサージする

 避難所、特に車内などでの生活を余儀なくされると、身体をほとんど動かせない状況になります。

 この状況は、航空機などの長時間のフライトと同様、血液の巡りが悪くなって「エコノミークラス症候群」を起こすリスクにつながります。
 こまめに歩くなどして足を動かす、ストレッチを行うなど、避難生活の中でも二次災害を防ぐための対応が重要です。

 十分な水や食料がない中で、運動をする元気がない場合でも、ふくらはぎをマッサージする等、できる限りの対処を行うようにしてください。

+αの情報:普段飲んでいた薬がわからなくなることも問題

 普段飲んでいる薬の名前や量がわからなくなると、規則正しい服薬を続けられなくなります。大規模な災害時には、これによって生活習慣病が悪化することも広く知られています。

 薬局でもよく、「血圧の薬」や「血液をサラサラにする薬」、「白い大きな錠剤」や「オレンジ色の小さな錠剤」といった曖昧な表現で薬のことを覚えておられる方にお会いしますが、こうした表現では該当する薬も数十種類あり、どの薬を飲んでいたのか特定することはできません。
 似た薬であっても千差万別、その人にその薬が選ばれた理由があり、別の薬ではダメな理由があります。そのため、曖昧な覚え方では役に立たないことも多くあります。

曖昧な表現では薬を特定できない例

「血圧の薬」という表現
 薬の薬効分類だけでも「ACE阻害薬」、「ARB」、「Ca拮抗薬」など多岐にわたり、さらにそれぞれの薬効分類にそれぞれ十以上の薬品があります。

「血液をサラサラにする薬」という表現
 「抗凝固薬」と「抗血小板薬」という、全く別の2種類の薬があります。それぞれ使うべき病気も異なり、お互い代わりにはなりません。

「白い大きな錠剤」や「オレンジ色の小さな錠剤」という表現
 百種類くらいあります。病院や薬局で豊富な経験を積んだ薬剤師でも、それから推察することは不可能です。

お薬手帳の活用、薬の写真やメモをとっておくだけでも違う

 自分が飲んでいる薬を正確に特定するためには、お薬手帳を見せることが最も簡単な方法です。もしくは、避難用品やスマートホンの中に、普段飲んでいる薬の写真やメモを入れておくことだけでも大きく違います。

 お薬手用による確実な情報伝達は、東日本大震災の際にも非常に有用だったことが数多く報告されています。
 この4月からお薬手帳があれば薬局での支払い料金が安くなる、ということで大きな話題になっていますが、安くなるから持つのではなく、いざという時の備えという意味でも、きちんと意識的に持つようにしてほしいと思います。

 また、最近はスマートホンなどにアプリとして導入できるお薬手帳も増えています。
 紙媒体でも電子媒体でも、服薬記録ができるのであればお薬手帳として扱うことができます。使いやすい方を選ぶようにしてください。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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