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腎機能 専門用語解説

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「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」と「糸球体濾過量(GFR)」の違いと使い分けは?~糸球体と尿細管からの排泄

回答①:CcrとGFRの違い

 「クレアチニン・クリアランス(Creatinine Clearance:Ccr)」と「糸球体濾過量(Glomerular Filtration Rate:GFR)」は、共に腎臓が老廃物を濾過・排泄する能力を表す数値のことです。この値が低くなると、腎機能に障害があり、排泄機能が低下していることを意味します。

 「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」は、糸球体と尿細管から尿中に排泄される能力
 「糸球体濾過量(GFR)」は、糸球体から尿中に排泄される能力

 のことを意味します。
CcrとGFR
 「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」は尿細管による影響も含まれるため、同じ人で比較しても「糸球体濾過量(GFR)」より20~30%高くなる傾向があります。

回答②:CcrとGFRの使い分け

 現在、薬の投与計画には「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」、慢性腎不全の診断指標には「糸球体濾過量(GFR)」、と使い分けをしています。

※クレアチニン・クリアランス(Ccr)の目安 1)
Ccr = 91~130mL / 分 (基準値)
Ccr = 51~70mL / 分 (腎機能の軽度低下)
Ccr = 31~50mL / 分 (腎機能の中等度低下)
Ccr = ~30mL / 分 (腎不全)
 
 1) 医学書院 「臨床検査データブック2015-2016」

※糸球体濾過量(GFR)の目安 2)
GFR = 90~ (正常)
GFR = 60~89 (軽度低下)
GFR = 30~59 (中等度低下)
GFR = 15~29 (高度低下)
GFR = ~15 (末期腎不全)

 2) 日本腎臓学会 「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009」

回答の根拠:腎臓での挙動の違い

 「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」の測定には、「クレアチニン」を基準にします。
 「糸球体濾過量(GFR)」の測定には、「イヌリン」を基準にします。 

 この「クレアチニン」と「イヌリン」は、腎臓で異なる挙動をします。
CcrとGFRの概略図
 「糸球体濾過量(GFR)」の基準として用いられる「イヌリン」は、腎臓の糸球体で濾過されて排泄されます。

 「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」の基準として用いられる「クレアチニン」は、腎臓の糸球体で濾過された後、更に尿細管でも分泌されます。

 「クレアチニン」の方が、尿細管での分泌によって追加で排泄されるため、その分だけ排泄量(クリアランス)が大きくなります。

詳しい回答①:イヌリンによるGFR測定は手間

 「クレアチニン」は、筋肉の運動エネルギーの源となる物質で、元々身体の中に存在します。そのため、Ccrは尿を使って実際に測定することが可能です。

 しかし、「イヌリン」は本来身体には存在しない物質です。そのため、実際に測定するためには「イヌリン」を投与する必要があり、この手技が非常に複雑なため、実際に日常検査では行うことが困難です。

 本来は「糸球体濾過量(GFR)」を用いて腎機能を測定するのが理想ですが、「イヌリン」による測定が困難なため、近似的に「クレアチニン」を用いた「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」を腎機能の指標として使用しています。

詳しい回答②:Ccr、GFRを推算する方法

 「体重」、「年齢」、「血清クレアチニン濃度」から、CcrやGFRを簡単に推算する方法もあります。

 どちらも「血清クレアチニン濃度」を使って算出していますが、「クレアチニン」は筋肉量や食生活、運動などによって大きく変動します。また、推算式では「年齢」や体格によって腎機能を過大評価する恐れがある等の弱点もあります。

 そのため推算したCcrやGFRはあくまで「推算値」であって、全面的に信用して良いものではありません。

薬剤師としてのアドバイス:多くのガイドラインはCcrで設定されている

 腎機能によって薬の投与量を調整しなければならない薬はたくさんあります。こうした薬の調節方法は、ほとんどの場合「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」で設定されています。

 そのため、必要に応じて換算する方法が採られます3)。

 GFR = 実測Ccr × 0.715 = eCcr × 0.789 

 3) 日本腎臓学会編 「GFR推定法、腎機能(GFR)・尿蛋白測定の手引」 81-91 (2009)
 

 
 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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