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整腸剤・下痢止め 子どもの薬

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『ミルラクト』ってどんな薬?~乳糖不耐症のメカニズムと、服用回数の上限

回答:乳糖を分解する酵素の薬

 『ミルラクト(一般名:β-ガラクトシダーゼ)』は、乳児の乳糖不耐で起こる消化不良を改善する薬です。
 消化管内で、「ラクトース(乳糖)」を「グルコース(ブドウ糖)」と「ガラクトース」に分解する酵素として働きます。
ミルラクトの作用

 この薬は哺乳時に毎回投与する必要があります。

 特に用法・用量上の上限は定められていませんが、医師から処方された回数以上の薬が必要になる場合は、授乳回数を減らす、もしくは乳糖の入っていない「ラクトレス」の製品を使うなど別の対応をする必要があります。

 ただし、自己判断で授乳を中断してしまったり、薬無しで授乳して下痢を起こしてしまうことは、乳児の健康にとっても良いものではありません。
 処方された薬では足りないという場合は、医師と『ミルラクト』の追加処方や授乳回数について一度相談することをお勧めします。

回答の根拠①:乳糖不耐症が起こるメカニズム

 ミルクに含まれる糖類である「ラクトース(乳糖)」は、単糖類の「グルコース(ブドウ糖)」と「ガラクトース」が結合した二糖類です。
 通常、消化酵素の一種である「ラクターゼ(乳糖分解酵素)」によって、「ラクトース(乳糖)」は「グルコース(ブドウ糖)」と「ガラクトース」に分解され、吸収されます。

 しかし、何らかの原因で「ラクターゼ(乳糖分解酵素)」の働きが弱いと、「ラクトース(乳糖)」を分解することができず、「ラクトース(乳糖)」のまま腸管に残ってしまいます。
 その結果、浸透圧が上昇して下痢を起こしたり、腸内細菌が乳酸発酵を起こして腹部膨満や腹鳴を起こしたりします1)。
乳糖不耐症のメカニズム
 1) 小児特定疾病情報センター 「乳糖不耐症」

 『ミルラクト』は、この「ラクターゼ(乳糖分解酵素)」の代わりに「ラクトース(乳糖)」を分解することで、下痢や腹部膨満などの症状を軽減します2)。
 ただし、『ミルラクト』は服用後1時間程度は体内で働き続けますが3)、そのまま体内に定着するわけではありません。そのため、授乳・哺乳のたびに飲ませる必要があります。

 2) ミルラクト細粒 添付文書
 3) ミルラクト細粒 インタビューフォーム

回答の根拠②:使用回数に上限は設けられていないが、効果は限定的

 『ミルラクト』は、用法上は使用回数に上限は設けられていません2)。そのため、哺乳のたびに使用することが可能です。

 ただし、先述のように『ミルラクト』は乳糖不耐症を根本的に治療できるものではありません。あくまで、高栄養であるミルクや乳製品などによる栄養管理を容易にする目的で使用します。
 処方された回数よりもたくさん使いたいという場合、薬を増やす前にまず、授乳回数を減らす、「ラクトレス」の製品を取り入れる、といった別の方向からのアプローチも必要です。

薬剤師としてのアドバイス:50℃以上にすると効果が無くなるので注意

 『ミルラクト』は、水やミルクと混ぜてからも5時間程度は安定で、薬の効果にも影響しないことが確認されています3)。

 そのため、薬を混ぜたのにミルクを飲まない、といった事態になっても焦る必要はありません。ただし、50℃以上にすると薬の効果が無くなってしまうため、0~40℃で保管するようにしてください。

+αの情報①:成長するにつれ、みんな乳糖不耐になっていく

 ミルクを摂取するのは哺乳類だけですが、ヒトを除く哺乳類は全て、成長するにつれてミルクを摂取しなくなります。
 ヒトは大人になってもミルクを摂取する機会がありますが、これはミルクが高栄養だから利用しているだけです。

 自然の摂理から考えると、「ラクターゼ(乳糖分解酵素)」は授乳期のみで必要であり、成長するにつれて不要になります。そのため、ヒトでも成長するにつれ「ラクターゼ(乳糖分解酵素)」の活性は低下していきます。
 授乳期を過ぎてから「乳糖不耐症」を起こすことがあるのは、このためです。

+αの情報②:「乳糖不耐症」は治るのか?

 「ラクターゼ(乳糖分解酵素)」の働きは個人差が大きく、どの程度の量のミルクを摂取した時に発症するかは様々です。
 授乳期は多量のミルクが必要ですが、大人になれば自分が大丈夫な範囲で食品を取捨選択することが可能です。そのため、「乳糖不耐症」が大きく問題になるのは、ほとんどは授乳期のみです。
乳糖不耐症と大人の主食

 ただし、中には「乳糖不耐症」であることに気付かず、下痢などの症状を繰り返しているケースもあります。お腹の調子が頻繁に悪くなる場合は、安易に下痢止めを使うのではなく、一度その原因をきちんと病院で診断してもらうことが必要です。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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