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解熱鎮痛薬・NSAIDs 妊娠、授乳

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『ロキソニン』などのNSAIDsは、妊娠中でも使えますか?~妊娠28週以降、20週以降、初期のリスク

 

回答:妊娠がわかった時点で、避けておいた方が無難

 『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』や『ブルフェン(一般名:イブプロフェン)』などのNSAIDsを妊娠後期(28週以降)に使うと、胎児に悪影響を及ぼす恐れがあります。このリスクは飲み薬だけでなく、貼り薬や塗り薬などの外用薬でも起こります。
 また、最近はもっと早い段階(妊娠20週の時点)でもリスクが指摘されているため、「28週以降でなければ大丈夫」というわけではない点にも注意が必要です。

 そのため、妊娠がわかった時点、あるいは妊娠の可能性がある時点から『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』など安全性評価の高い薬に切り替えるなどの対応をしておいた方が無難です。

回答の根拠①:妊娠後期(28週以降)に使うことのリスク

 NSAIDsを妊娠後期(28週以降)に使用すると、胎児に動脈管狭窄や新生児肺高血圧症といったトラブルを誘発する恐れがあります1)。そのため、基本的に医療用・OTC医薬品どちらのNSAIDsにも、添付文書では妊娠後期の使用は避けるよう注意喚起がされています2,3)。

 1) 日本産科婦人科学会 「産婦人科診療ガイドライン-産科編2017」
 2) ロキソニン錠 添付文書
 3) ロキソニンS錠 添付文書

 NSAIDsは、炎症や痛みの原因となる物質「プロスタグランジン」の産生を阻害することで、解熱鎮痛効果を発揮します2)が、胎児への影響にもこの作用が関係しています。そのため、特定の薬に限った話ではなく、NSAIDs全般で共通したリスクです。また、この作用は飲み薬だけでなく貼り薬や塗り薬でも同じため、外用薬でも同様に避ける必要があります4)。
 実際、妊娠28週以降に「ケトプロフェン」の外用薬を使ったことで、胎児に同様のトラブルが起きた事例が報告されています5)。「貼り薬だから安心」ではないことには十分気をつけてください。

 4) モーラステープ 添付文書
 5) PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Satety Information. 312, April 2014

回答の根拠②:妊娠20週以降の使用で指摘されているリスク

 妊娠20~30週の段階でもNSAIDsが胎児の腎臓に悪影響を及ぼすリスクが指摘されたため、アメリカ食品医薬品局(FDA)は2020年10月16日に、妊娠20週の時点からNSAIDsの服用はできるだけ避ける、もし使う場合でも可能な限り短期間に留めるよう注意喚起を出しています6)。

 6) FDA:Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs (NSAIDs): Drug Safety Communication – Avoid Use of NSAIDs in Pregnancy at 20 Weeks or Later

 そのため、添付文書で制限されているのが「28週以降」だからといって、「28週より前なら安全」とは言えません。痛みや炎症が強いなど、それでもNSAIDsを使う必要性が高いと判断される場合を除き、安易な使用は避けた方が無難です。

 

 

薬剤師としてのアドバイス:市販薬では、購入と使用のタイムラグ、購入者と使用者が異なる可能性に注意

 妊娠中の解熱鎮痛薬としては、安全性が確認されている『カロナール』などの「アセトアミノフェン」製剤を使うのが基本です。そのため、妊娠がわかった時点、あるいは妊娠している可能性がある段階から、解熱鎮痛薬はNSAIDsではなく「アセトアミノフェン」に切り替えておいた方が無難です(ただし、この薬はNSAIDsに比べると鎮痛効果がやさしめで、炎症を抑える作用も弱いため、状況によってはNSAIDsを使うこともあります)。

 『ロキソニン』などのNSAIDsは、医療用の薬だけでなくOTC医薬品としても身近な薬です。しかし、妊娠中の使用にはリスクがあるため、「いつも使っている薬だから大丈夫」と油断して使うのは危険です。特に、常備薬としてOTC医薬品を買っておくような場合は、購入する際に薬剤師や登録販売者から妊娠中の使用に関する注意を聞いていたとしても、実際にいざ薬を使うときにはその注意を忘れてしまっていることもあります。
 また、薬を買う人と、実際に薬を使う人とが異なることもあります。若い男性が何も言わずに購入しようとした場合、薬剤師や登録販売者は本人が使うものと思い妊娠中の注意喚起は必要ないと判断してしまうこともあります。

 OTC医薬品では、こうした購入と使用にタイムラグがある、購入者と使用者が異なることで、必要な注意喚起が届かない可能性もありますので、必ず「薬を使う時」と「薬を使う人」を意識して薬の情報を確認するようにしてください。

 

ポイントのまとめ

1. NSAIDsは内服・外用を問わず、妊娠後期(28週以降)の使用はリスクがあり、制限されている
2. 妊娠20週の時点からリスクが報告されているため、「28週以降でなければOK」というわけでもない
3. 市販薬の場合、購入した時と実際に使用する時とで状況が変わっていることがあるため、特に注意

 

 

+αの情報①:妊娠初期にうっかり飲んでしまっていた場合は?

 家の薬箱に「常備薬」として入っていた『ロキソニン』などのNSAIDsを、いつも通り頭痛などに薬を使っていたが、実は後になって妊娠していたことに気付いた、というケースはよく起こり得ます。
 こうしたときに、「妊娠中には使えない薬」という情報を読んで不安になる人は多いですが、基本的に妊娠の初期(0~12週)であれば、NSAIDsの使用が胎児に悪影響を及ぼすリスクを高めないことが確認されており7,8)、ガイドラインにも、もしうっかり飲んでしまっても問題はないということが記載されています1)。

 7) PLoS One.6(7):e22174,(2011) PMID:21789231
 8) Obstet Gynecol. 2012 Jul;120(1):113-22,(2012) PMID:22914399

 そのため、妊娠が判明した時点で今後の方針を医師・薬剤師に相談する、といった対応で大丈夫です。

+αの情報②:妊娠中でも使える外用薬は?

 妊娠中でも使える外用薬には、「サリチル酸メチル」や「サリチル酸グリコール」といった鎮痛消炎薬があります。
 医療用では『MS冷シップ』、OTC医薬品では『サロンパスA』『ハリックス55EX冷感A』『エアーサロンパスジェットα』などがあります。

 

~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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