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解熱鎮痛薬・NSAIDs 似た薬の違い

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『ロキソニン』と『カロナール』、同じ解熱鎮痛薬の違いは?~インフルエンザ、子ども・妊婦への使用とNSAIDsの分類

 

回答:インフルエンザの時や子ども・妊婦でも使える、やさしめの『カロナール』

 『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』と『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』は、どちらも熱や痛みを和らげる「解熱鎮痛薬」です。

 『ロキソニン』の方が痛み止めとして強力で、また炎症を抑える効果もあります。
 『カロナール』は、インフルエンザの時子ども・妊婦でも使える解熱鎮痛薬です。
ロキソニンとカロナール
 また、『ロキソニン』は胃を荒らしやすく『カロナール』は肝臓に負担をかけやすいという傾向があるため、体質によって使い分けることもあります。

回答の根拠①:痛み止めとしての強さと、抗炎症効果~作用の違い

 『ロキソニン』や『ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)』などのNSAIDsに比べると、『カロナール』の鎮痛効果はやさしめです1)。
 また、『カロナール』には抗炎症効果もほとんどありません2)。 

 1) カロナール錠 添付文書
 2) カロナール錠 インタビューフォーム

 そのため、『カロナール』では痛みが治まらない場合や、炎症を抑える必要がある場合には『ロキソニン』を使うのが一般的です。

効果の差を生む、『ロキソニン』と『カロナール』の作用の違い

 『ロキソニン』は、「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害し、痛み・発熱・炎症の原因物質(プロスタグランジン)を減らすことで効果を発揮します3)。
 『カロナール』にこの「COX阻害作用」はほとんどなく、中枢に作用して、痛み・発熱を和らげると考えられています1)。
ロキソニンとカロナール~作用と痛み、炎症、発熱
 3) ロキソニン錠 添付文書

※カロナールの作用機序 1)
鎮痛効果:視床と大脳皮質の痛覚閾値を高める
解熱効果:視床下部の体温調節中枢に作用し、皮膚血管を広げる

 こうした作用の違いが、鎮痛効果の強弱、抗炎症効果の有無といった差の要因と考えられています。

回答の根拠②:「インフルエンザ脳症」のリスク~『カロナール』の安全性

 インフルエンザの時に『ロキソニン』などの「NSAIDs」を使うと、「インフルエンザ脳症」を起こす恐れがあります。そのためインフルエンザの疑いがある場合には、安易に痛み止めや熱冷ましを使うべきではありません。

 このとき、『カロナール』はインフルエンザの時でも安全に使えるとして評価されています4)。
インフルエンザとカロナール
 4) 日本小児神経学会 「インフルエンザ脳症はどうしたら予防できますか?」

 「インフルエンザ脳症」は、致死率が高く後遺症が残る可能性も高い、インフルエンザの最も危険な合併症の一つです。ほとんどの場合は乳幼児で起こりますが、大人でも絶対に起こらないわけではありません
 そのため、大人であっても高熱があってインフルエンザの疑いがある場合には、『カロナール』を選ぶのが一般的です。

 ただし、『カロナール』などによる解熱は、高熱による辛さ・不快感を解消するための「対症療法」です。熱を下げたらインフルエンザが早く治るわけではありません。

回答の根拠③:子ども(小児)への使用

 通常、『ロキソニン』は15歳未満の子どもには使いません。『ロキソニン』に限らず、大半の「NSAIDs」は子どもに使うことができません。
 一方、『カロナール』は乳幼児の段階から、体重に合わせて(10~15mg/kg)使うことができます1)。
ロキソニンとカロナール~15歳未満への使用
 『カロナール』で痛みが治まらない場合には、大人用の『ロキソニン』を無理に使うよりも、1歳から使える『ボルタレン』の坐薬(サポ)などが選択肢になります。

回答の根拠④:妊婦に対する安全性~オーストラリア基準

 妊娠中は、『ロキソニン』などの「NSAIDs」より、『カロナール』の方が安全に使うことができます。妊娠中の薬に対する安全性評価「オーストラリア基準」でも、『カロナール』は最も安全な【A】と評価されています。

※妊娠中の安全性評価
ロキソニン:オーストラリア基準【C】(※妊娠末期は禁忌)
カロナール:オーストラリア基準【A】

 『ロキソニン』などのNSAIDsも絶対にダメというわけではありません。それでも妊娠中はできるだけ『カロナール』を選ぶようにし、『ロキソニン』はどうしても痛みが治まらない場合などに限って使われるのが一般的です。

回答の根拠⑤:起こりやすい副作用の違い

 『ロキソニン』がCOX阻害を介して作用する「プロスタグランジン」は、痛み・炎症・発熱の原因となるだけでなく、胃の粘膜を守る作用もあるため、『ロキソニン』は副作用として胃を荒らしやすいという弱点があります。
 一方、『カロナール』は胃にはやさしいですが、過量になると分解・代謝が追い付かず、肝臓に負担をかける(NAPQIの蓄積)ことがあります2)。

 こうした特徴から、胃や肝臓が弱っている人、病気を持っている人は、その体質によって使い分けが必要な場合もあります。

薬剤師としてのアドバイス①:同じ解熱鎮痛薬でも、状況によって使い分ける

 『ロキソニン』は頭痛や生理痛などに広く使われていますが、状況によっては『ロキソニン』よりも『カロナール』を選んだ方が良いことがあります。
 どちらも頓服薬として処方されることがあり、家に残っていることも多い薬ですが安易に自己判断では使わず、必ず医師・薬剤師に相談の上で使うようにしてください。

※『カロナール』を選んだ方が良い状況の例
①15歳未満の子ども
②妊娠中の女性
③インフルエンザの疑いがある
ロキソニンとカロナールを選ぶフローチャート
 また、『ロキソニン』や『カロナール』で痛みが治まらない場合には、そもそも薬の選び方が適切ではない可能性があります。薬の量を安易に増やすのではなく、痛みの原因をはっきりさせるために一度病院を受診するようにしてください。

薬剤師としてのアドバイス②:成分の重複に注意

 『カロナール』は副作用の少ない解熱鎮痛薬ですが、市販の風邪薬や痛み止めと成分が重複することも多く、気付かない間に薬の量が増えてしまうケースも少なくありません。

 病院で薬をもらう際は、使っている市販薬についても必ず医師・薬剤師に伝えるようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 『ロキソニン』の方が作用は強く、炎症を抑える効果もある
2. 『カロナール』の効き目はやさしめだが、子どもや妊婦でも使える
3. インフルエンザの疑いがある時は、安易に解熱鎮痛薬を使わない

 

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆適応症
ロキソニン:解熱・鎮痛・消炎
カロナール:解熱・鎮痛、小児科領域における解熱・鎮痛

◆薬効分類名
ロキソニン:鎮痛・抗炎症・解熱剤
カロナール:解熱鎮痛剤

◆用法
ロキソニン:1日3回、もしくは頓服
カロナール:1日2回、または4~6時間ごと

◆最大用量
ロキソニン:通常は180mgまで
カロナール:1日総量4,000mg、小児は60mg/kgまで ※ただし1,500mgを超えて長期使用する場合は、定期的に肝機能検査をすることが推奨

◆小児の用量
ロキソニン:なし
カロナール:体重1kgあたり、1回10~15mg

◆妊婦への投与
ロキソニン:禁忌オーストラリア基準:【C】)
カロナール:禁忌の指定なし(オーストラリア基準:【A】)

◆剤型の種類(内服薬)
ロキソニン:錠(60mg)、細粒
カロナール:錠(200mg、300mg、500mg)、細粒、シロップ、原末

◆同一成分の市販薬
ロキソニン:『ロキソニンS』
カロナール:『バファリンルナJ』など

◆製造販売元
ロキソニン:第一三共
カロナール:あゆみ製薬

+αの情報①:NSAIDsの厳密な分類

 『カロナール』は、厳密にはNSAIDsには分類されないため、ガイドライン等でも「NSAIDsやアセトアミノフェンは・・・」と個別に分けて表記されています。
NSAIDsとアセトアミノフェン
 ただし、使う目的がほとんど同じため、一緒に扱われることもあります。

+αの情報②:オピオイド鎮痛薬との相乗効果

 『カロナール』の鎮痛効果は、『ロキソニン』などの「NSAIDs」と異なり、中枢神経系を介して発揮されます1,5)。そのため、オピオイド鎮痛薬の「トラマドール」と相乗効果が発揮されることが確認されています6)。

 5) Proc Natl Acad Sci USA.96(13):7563-8,(1999) PMID:10377455
 6) Pain.139(1):190-200,(2008) PMID:18485596

 『トラムセット(一般名:トラマドール + アセトアミノフェン)』は、この相乗効果を利用した鎮痛薬です。

 本記事は、2016年3月30日の「MEDLEYニュース」にも寄稿しました。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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★「PharmaTribune」にてコラム「今月、世間を賑わした健康情報」連載中です。
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