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薬の誤解 インフルエンザ

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【反論】「インフルエンザワクチンは打たないで」というデマが広まっていることについて

 個人の価値観で「予防接種をしない」という判断をすることに問題はありません。確かに、必ずしもインフルエンザを防げるものではありませんし、ワクチンによる弊害(アレルギーなど)のリスクも、完全なゼロではありません。
 しかし、ワクチンを打たないことによるリスク・デメリットは、それよりも遥かに大きなものです。
小さな子どもや高齢者、持病のある人は予防接種しておくことをお勧めしています。
インフルエンザ予防接種~受けるリスクと受けないリスク
 思い込みや偏見で書かれたネット上のいい加減な情報をもとにワクチンを否定するのは、あまりにお粗末です。不安や疑問は、きちんと医師・薬剤師などの専門家に相談するようにしてください。

 本ブログでは「あの時、きちんと正しい情報を知っていれば良かった・・・」と後悔する人を減らすために、この反論記事を公開しています。

はじめに

 ”インフルエンザワクチン”と検索すると、ワクチンが効くのは嘘、打たない方が良い、ワクチンは毒だ、という情報が大量に出てきます。
 特に、「インフルエンザワクチンは打たないで」というNaverまとめは検索上位に表示され、非常に多くの人が閲覧し、大きな影響力を持っています。しかし、この記事で出典・根拠としている情報は、非常に古いものや思い込み・偏見によるものが多く、明らかに誤った情報だと言わざるを得ません。

 こうしたデマが広まると、「インフルエンザワクチン」を敬遠し、適切な治療を受けられなくなる人が増えてしまう恐れがあります。医療に関する情報は、人の不安に直結し、時に生命に関わるものです。アクセスを集める目的で無責任にデマを広めることは、極めて危険な行為です。

嘘と無知、間違いだらけのデマ

 このNaverまとめの記事では、「インフルエンザワクチン」に対して色々な面から打たないことのメリットや、予防接種の無益性を指摘しています。その根拠とされているものをある程度抽出すると、以下のようなものが挙げられます。

1. インフルエンザは風邪の一種だから、ワクチンは必要ない
2. 20~30%は効く、というのは嘘
3. ワクチンは重症化を防がない、インフルエンザ脳症の原因ははっきりわかっていない
4. ワクチンは薬事法上の劇薬であるから、害毒である
5.ウイルスを不活性化するには、発がん性物質のホルムアルデヒドを使っている
6.ウイルスは知らないうちに活性化するなど、いつ何が起こるかわからない
7.汚染されているかもしれない
8.病院が儲けるためにワクチンを勧めている
9.効果が無いから集団接種が中止された

 この9点については明らかな嘘、もしくは無知による誤解が含まれていますので、1つずつ解説します。

1.インフルエンザは風邪の一種だから、ワクチンは必要ない

 そもそも、「風邪だったらワクチンが必要ない」という理論は成り立ちません

 風邪でも肺炎を合併して死ぬこともあります。ワクチンで予防できるのであれば、予防するに越したことはありません。風邪のワクチンが存在しないのは、ウイルスの型が多様過ぎてワクチンを作れないからです。

 インフルエンザは、確かに細菌ではなくウイルスによる感染症だ、という点では風邪(風邪症候群)と同じです。
 しかし、インフルエンザの症状は一般的な風邪のように軽いものではありません。大人でも高い38℃を超える高熱が出るほか、特に子どもではインフルエンザ脳症などの危険な合併症を起こす恐れも高い感染症です。

 このようにインフルエンザは、普通の風邪のように”寝ていれば1日で治る”ようなものではなく、時に合併症によって生命が脅かされる恐れもある危険な感染症です。だから、必要に応じてワクチンで予防することを勧めているのです。

2.20~30%効く、というのは嘘

 この記事が嘘と言っている「20~30%効く」というものが、どんな集団に対してどういった効果を検討した話なのか不明瞭です。
 例えば、「100%ではないから無意味だ」とよく槍玉に挙がる発症予防効果についても、乳幼児に対しては20~50%程度の効果があるとされています1)。

 1) Vaccine.17;29(9):1844-9,(2011) PMID:21195802

 なお、予防接種をしていてもインフルエンザを発症してしまうことがあるのは、ワクチンで得られるのは「抗体」、つまり効果的にウイルスを退治する能力であって、ウイルスの侵入を防ぐバリア機能ではないからです。
ワクチン~バリア機能ではないこと
 インフルエンザワクチンの効果は、エビデンスレベルの高い複数の論文によって報告され、世界保健機関(WHO)もワクチン接種を推奨しています。たまたま効果がなかった一例を挙げて「効果がない」と論じるのは、木を見て森を見ず、というものです。

3.ワクチンは重症化を防がない、インフルエンザ脳症の原因ははっきりわかっていない

 インフルエンザが重症化することと、合併症であるインフルエンザ脳症を起こすことは、全く別の話です。
 しかし、このまとめ記事では「ワクチンには脳症を予防する効果がないから、重症化を防がない」というように論点がずれています

 インフルエンザ脳症は高熱や重症化、解熱鎮痛薬の使用によって誘発されることがある等、ある程度の原因は解明されています。このインフルエンザ脳症の原因となり得る、インフルエンザの重症化や高熱を防ぐためには、予防接種が効果的です2)。

 2) 厚生労働省 インフルエンザQ&A「Q.18: ワクチンの接種を受けたのに、インフルエンザにかかったことがあるのですが、ワクチンは効果があるのですか?」

4. ワクチンは薬事法上の劇薬であるから、害毒である

 劇薬だから害毒というのはあまりに暴論です。
 もしそうであれば、世界で使用されている医薬品の多くを使用できなくなります。痛み止めからアレルギーの薬、塗り薬にいたるまで、様々な劇薬があります。

 確かに「劇薬」は普通の薬よりも取扱いに注意が必要ですが、「劇薬」の分類は有効血中濃度など一部のデータによって、あくまで制度上設けたものであって、害があるかどうかとは別の話です。意味不明の理論です。

5.ウイルスを不活性化するには、発がん性物質のホルムアルデヒドや水銀を使っているから危険

 確かにウイルスを不活性化(正しくは不活化)させる際に「ホルムアルデヒド」や「水銀」を含む溶媒を使用することもあります。
 しかし、第一に、最近のワクチンは不活化に「ホルムアルデヒド」を使いません。ウイルスをバラバラの断片にする「スプリット・ワクチン」です3)。

 3) 国立感染症研究所「インフルエンザワクチン」 (2009)

 次に、製造工程において「ホルムアルデヒド」と「水銀」を含む溶媒を使用することもありますが、溶媒に含まれる量はごく微量です。そして、そのままワクチンに残存する量も極めて微量です。そのごく微量のうち、ワクチンとして接種されるのは通常1回0.05mLと更に微量です

 こうした微量の中の微量の中の微量・・・極めて微量な成分では、人体に対して影響を及ぼすことはありません。無視できる量である、という結論が出されています4)。

 4) 食品安全委員会「H5N2亜型不活化ワクチン」

 多くの反対派の人たちは大抵、「ホルムアルデヒド」や「水銀」の怖さを強調・列挙していますが、それは大量に摂取した場合の話です。例えば、魚や米にも微量の水銀は含まれています。しかし人間の身体は、体毛の中に重金属を排泄していく防衛システムがあるため、これが大々的に蓄積していくことはありません。

 こんなごく微々たる有害物質に目くじらを立てるくらいなら、夜更かしや運動不足を気にした方が遥かに良いです。

 なお、ワクチンは血管内には注入しません。筋肉組織に注射します。血液中に水銀を入れるから危険だという意見は、そもそも間違いです。

6.ウイルスは知らないうちに活性化するなど、いつ何が起こるかわからない

 一度不活化したウイルスが、活動を再開したという報告は現在のところ存在しません。もしそういった事実を確認できたら、ノーベル賞ものの大発見です。

 亡くなって火葬もされた人が突然生き返るかもしれないから、お墓の前でずっと待っている。そのくらいのオカルトな話です。科学的な根拠のある話と、オカルトな与太話を同列で扱ってはいけません。

7.汚染されているかもしれない

 医薬品や医療機器は、極めて厳しい管理のもと生産され、流通しています。

 いまの日本では、汚染されたワクチンや医療機器を使用される危険性より、インフルエンザが重症化する危険性の方が遥かに高く現実的です。

8.病院が儲けるためにワクチンを勧めている

 予防接種をしてインフルエンザの大流行を防ぐと、使う薬の量が減るため病院は儲からなくなります。つまり、儲けるためにワクチン接種を勧めているというのは、大きな間違いです。

 事実、予防接種に1ドル使用すれば、医療費が30~60ドル節約できるという試算があります5)。こうした報告を知らないことによる完全な誤解です。
インフルエンザワクチンによる医療費の削減効果
 5) 米国疾病管理予防センター(CDC) 「U.S. Department of Health and Human Services. Second Edition, Revised October 1999」 ※PubMed外

9.効果が無いから集団接種が中止された

 これは因果関係が逆です。インフルエンザワクチンの集団予防接種が中止されたのは、こうしたデマに惑わされて反対運動をする人たちの活動によるものです。
 実際、集団接種が中止された1994年以降、インフルエンザによる学童の死亡者は増加しています6,7)。ワクチン反対派の妨害活動によって、国民への健康被害が出ていることを示す証拠とも言えます。

 6) N Engl J Med. 2001 Mar 22;344(12):889-96,(2001) PMID:11259722
 7) 感染症学雑誌.76(1):9-17,(2002) PMID:11852480

 また、当時は学童・生徒らが接種対象であったのに対し、現在予防接種が推奨されているのは主に高齢者です。
 特に、65歳以上を対象とした場合には発症予防の有効率が30~50%、入院回避が50~60%、死亡回避が80%と、高い効果が報告されています8)。

 8) ガイドライン外来診療「インフルエンザ」,(2016)

 このように時代と共に需要も変わってきているため、古いデータを元に議論していても意味がありません。

まとめ

 ワクチン反対派の人が掲げる、唯一の科学的根拠とも言える報告は30年以上も前のデータです9)。

 9) ワクチン非接種地域におけるインフルエンザ流行状況(通称「前橋レポート」) (1987)

  当時はインフルエンザの確定診断もできなかったような時代です。この当時とはワクチンの製造方法も、インフルエンザに対する認識も大きく変わっています。いつまで経っても古い情報をもとに考えていては、有益な議論はできません。新しい研究では、小・中学校の学級閉鎖の回数や日数が、ワクチン接種率に相関して減少することも新たに報告されています10)。

 10) 第16回日本ワクチン学会 北海道厚生連網走厚生病院 (2012)

 このような明らかな間違いや偏見・30年以上も前の1つの報告だけを根拠に、医師に「ホルムアルデヒドが危険な物質であることはご存知ですか?」と聞けとは、あまりに変な話です。

薬剤師としてのアドバイス:簡単に騙されないようにするには

 予防接種は「絶対厳守すべき国民の義務」というわけではありません。
 「自分が健康で若く、周りに高齢者や乳幼児もおらず、特に冬場に大事な仕事の予定もないから、今年は予防接種を受けなくても良いかな」というように、きちんと自分でメリット・デメリットを正しく理解した上で判断するのであれば問題ありません。

 しかし、間違った情報を基に間違った判断してしまうことは、大きな問題です。インターネット上には極めていい加減な情報も混じっていることを念頭に置き、何か疑問や不安が生まれたときには必ず、医師・薬剤師などの専門家に直接確認するようにしてください。

 絶対に、いい加減なネット上の情報だけに惑わされて、予防接種を敬遠するようなことはやめてください。

どちらか一方だけの意見を鵜呑みにしない癖をつける

 インターネットの情報で、医療や薬に対する反対意見に出会ったときは、必ず合わせて賛成意見も確認するようにしてください。

 ある意味、「インフルエンザワクチン」は絶対に安全だから絶対に打つべし!という意見もまた危険であると言えます。
 薬害による血友病や肝炎など、使用されていた当時は安全であると言われていたものの、後になって危険性が判明したような事例は、枚挙に暇がありません。副作用や潜在的なリスクについては、正しく警戒する必要があります。

 ただし、科学的根拠のある話と、噂話を同じ水準で語ってはいけませんきちんとデザインされた臨床試験と統計処理によって証明されたデータ(膨大な数の事例を解析したもの)と、ごく例外な経験談(ある人の主観)は、全く別の次元の話です

 自分にとって都合の良い話だけを読むのではなく、反対と賛成両方の意見に目を通し、それらは正しい情報に基づく意見なのか?どういった専門知識を持った人の意見なのか?何を目的に発信された情報なのか?を調べることが必要です。こうした思考を基に自分がどう考えどういった判断を下すのか、しっかりと自分の頭で考えて、納得のいく治療を受けてもらいたいと思います。

 その判断をする際にわからないことがあれば、いつでも薬局の薬剤師を頼ってもらいたいと思います。

※週刊誌にも反論しました
【反論】「ダマされるな!医者に出されても飲み続けてはいけない薬」という週刊誌にダマされないために

+αの情報①:予防接種しなくてもインフルエンザにならなかった、という事実が意味するもの

 予防接種をしなくてもインフルエンザを発症しなかった、ということも確かによくあります。
 しかしそれはワクチンが不要であることを意味するものではありません。たまたま、うまくウイルス感染を逃れられただけのことです。特に、周りの人たちが予防接種をして感染拡大を防いでくれているお陰であることを意識する必要があります。
インフルエンザ予防接種~周りのリスク管理
 国道を目隠しして歩いていても事故に遭わないのは、周りの自動車が貴方を避けて走るからです。リスクの管理と回避をごちゃ混ぜにしたり、周囲の人のリスク管理に全て頼ってしまったりすることは、良いことではありません。

+αの情報②:値上がりの理由

 2015-2016シーズンから、予防接種の値段が高くなっています。
 これは、従来まで3価のワクチンだったものが、より多くの型に対応できる4価のワクチンになったことが理由です。

+αの情報③:因果関係と前後関係をごちゃ混ぜにしない

 100歳以上のお年寄りは、みんな入れ歯をしている!長生きの秘訣は入れ歯だ!みんなで入れ歯を買おう!
 生贄を捧げたら雨が降ったぞ!日照りの時は次からも生贄だ!隣の村から若い娘をさらって来い!

 ・・・これらは、「相関関係」や「前後関係」を、「因果関係」だと勘違いしているために起こることです。
 そんな勘違いするわけないだろう、と思っていても、世の中にはインチキ商品を買わせたり、不安を煽るデマを拡散させるため、これらの関係を意図的にミスリードさせる情報がたくさんありますので、十分に気を付けるようにしてください。

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コメント

    • ホントなの?
    • 2016年 2月 23日

    批判だけでは、信用できない。

    • Fizz-DI
    • 2016年 2月 23日

    本投稿は、批判ではなく、間違いを指摘する目的で書いています。

    「科学的根拠」のある話と、「個人的な意見」は明確に区別する必要があります。
    インフルエンザワクチンは毒だ、医療機関が儲けるために行っている、といった主張は、科学的根拠のない間違った認識であることは、薬剤師として指摘すべきことであると考えています。また、そうした間違った情報を流布することは、医療上も極めて問題です。

    正しく理解した上で、それでも個人的にワクチンは嫌いだ、というのであれば構いません。

    なお、インフルエンザワクチンによる重症化を防ぐ効果や安全性については、公的機関である厚生労働省や、世界保健機関(WHO)などに記載されていますので、参考にしてください。

    ・厚生労働省のQ&A
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

    ・世界保健機関(WHO)の記載
    The most effective way to prevent the disease and/or severe outcomes from the illness is vaccination.→記載元http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en/

    • ぼんくら
    • 2016年 5月 05日

    双方とも主張に正しい一面はあるのでしょう。

    しかし、これまで日本において薬害が繰り返されてきた事実は誰にも否定できません。
    そうした薬害は製薬メーカー・厚生省(厚労省)・政府・医療従事者こそが犯罪者であり、無知な国民が被害者ですよね?

    それにもかかわらず無条件で「公的機関である厚生労働省や、世界保健機関(WHO)の指示に従え」というあなたの理論は到底納得できるものではありません。

    『予防接種に1ドル使用すれば、医療費が30~60ドル節約でき』るそうですが、
    【WHOの見解としては、「感染予防の効果は期待できないが、発症や重症化を抑える効果はある」との表現が見つかる(http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en/)。ちなみに、その発症予防効果は、老人で40~45%、乳幼児で20~50%、成人では20~30%だ。】
    という記事を見るとそもそもWHOは「感染予防の効果は期待できない」と認めているのですから
    何が言いたいのか理解に苦しみます。

    「効果がある」でも「効果はなく副作用ばかり」でも、どちらの結論に至っても構いませんが私が納得できるような内容を是非ご回答いただきたいと思います。

    • Fizz-DI
    • 2016年 5月 05日

    >ぼんくらさん
     コメントありがとうございます。

    無知な国民が被害者という点はまさにその通りと思います。ですので、正しい知識と情報提供が必要と考えています。

    ただ、いくつか誤解されているようですので、その点を中心に返信させて頂きます。

     まず、私の主張は「無条件で公的機関の指示に従え」ではありません。そこは読み違えないで頂きたいと思います。
    公的機関の主張と、どこの誰かもわからないようなネット上の主張と、どちらが判断材料として適切なのか、それを考えて欲しいということです。正しい情報に基づいて行った判断であれば、「あの時きちんと調べておけば・・・!」という後悔につながらないからです。
     WHOや厚生労働省がなんと言おうが、私はワクチン接種を受けない、というのも一つの意見だと思います。ただし、ネット上のデマや間違った情報を基にそう判断してしまうのは、非常に危険であるという警鐘として、本記事を投稿しています。
     ですので、納得いかないというのであれば、ご自身が信頼できるかかりつけの医師・薬剤師などにも相談してみることをお勧めします。

     →つづく

    • Fizz-DI
    • 2016年 5月 05日

     →つづき

     次に、感染予防ができなくとも、重症化を防ぐことができれば医療費は削減できます。例えば、高熱で意識を失ってしまえば、救急搬送される、点滴が要る、解熱剤も要る、カンフル剤も要る・・・といったように様々な処置が必要になります。ワクチン接種によって重症化を防ぐことができれば、少なくともそういった処置にかかる費用は少なくなります。
     インフルエンザであっても、軽い症状であれば、近くの診療所で薬をもらうだけで済む場合がほとんどです。

     こうした事実を踏まえて、自分や自分の家族がワクチンを受けるべきかどうかを考えるのはご自身で判断されるべきかと思います。その判断をする際に、医療従事者としてアドバイスをさせて頂けるのであれば、特に高齢者などは重症化を防ぐためにも接種は受けた方が良いですよ、という意見と、もし受けなくてもインフルエンザにならなかったからと言って、それはワクチンが不要だということではないですよ、という意見になります。

    ワクチン接種に効果があるのかどうかは、多くの臨床試験でも証明され、世界保健機関(WHO)などの公的機関がお墨付きを出しています。例えば、ここで私が『効果がない!』と主張したとして、その単なる意見だけを鵜呑みにすることは非常に危険と言えます。

    • ぼんくら
    • 2016年 5月 05日

    お忙しい中、迅速に回答いただきありがとうございました。

    せっかく回答をいただきましたが、正直なところ「ワクチン○」「ワクチン×」いずれの判断もつきかねます。
    「無条件で公的機関の指示に従えではありません」「公的機関の主張と、どこの誰かもわからないようなネット上の主張と、どちらが判断材料として適切なのか、それを考えて欲しい」とのことですが、私の【薬害の加害者】は公的機関と医療関係者だという点との整合性が見つけられません。
    また、医療従事者の中にも書籍やネットでの情報発信でワクチン不要論を語っている方もいます。
    誰を、どのような判断基準で信用したらいいのか本当に悩んでいます。

    そして、【感染予防ができなくとも、重症化を防ぐことができれば医療費は削減できます】とのことですが、仮りに国民の約1/10となる1000万人が@3000円の予防接種を受けるとすると総額で300億円という費用が発生します。
    しかし、予防接種せずに重症化する方が出てきたとしても300億円ものコストが発生することは考えにくいため、日本国内で発生するコストという観点から判断すると、極端な話になりますが全国民が一切インフルエンザワクチンは接種せず、万一重症化した方だけを治療した方がコストは大幅に削減可能、ということになるのではないでしょうか?

    • ぼんくら
    • 2016年 5月 05日

    続き ⇒

    最後に、【インフルエンザであっても、軽い症状であれば、近くの診療所で薬をもらうだけで済む場合がほとんど】とのことですが、「軽い症状」が具体的にどのような症状を指すのかは私の単なる予想でしかありませんが仮りにちょっとした発熱(38~39℃程度)でしたら、それこそ診療所に行かず家で大人しく寝ているだけで普通は治るのではないでしょうか?
    診察してもらい、解熱剤を処方され、それを使用することでせっかく自然治癒のために上がった体温を強制的に下げてしまい却って治りが遅くなるような気もしまうが、そんなことはありませんか?

    おっしゃる通り、○でも×でも、どちらかの意見を鵜呑みにすることは大変危険だと思います。
    ですから私はこの機会に自分が心から納得できるような情報を提供していただけることを願っています。
    よろしくお願いいたします。

    • Fizz-DI
    • 2016年 5月 05日

    >ぼんくらさん
     コメントありがとうございます。簡単な点から返信させて頂きます。

     万が一、重症化した方だけを治療すれば良い、とのことですが、確かに生命に関わらない感染症であれば、それがコスト面からも最善の方法です。実際、いわゆるウイルス性の「風邪」に対して、いちいちワクチンが作られないのもそういった要因があります。
     しかし、インフルエンザの場合は普通の風邪と異なり、重症化すると生命に関わる恐れがあります。生命が失われることは、倫理面だけでなく、経済的に考えても大きな損失となります。これが、風邪にはワクチンが無いのに、インフルエンザのワクチンが推奨されている理由です。

     また、確かに何でもかんでも熱を下げれば良いわけではありません。免疫を活性化するために38℃程度の発熱は有効です。しかし、深部体温が40℃を超えるような発熱は、成人でも死亡の単独リスクになります。特に乳幼児や高齢者では、発熱することでエネルギーを消耗したり、脱水を起こすリスクにもつながります。

     こういった点からも、特に重症化を防ぐ必要があるのは高齢者などが中心であり、持病もなく元気な成人にも予防接種が必要か?と問われると、必ずしもそうとは限らないと思います。実際、健康な成人から「予防接種をした方が良いか?」と薬局で尋ねられた場合には、「しんどいのが嫌であれば、しておいた方が良いと思いますよ」くらいの返答をしています。

     →続く

    • Fizz-DI
    • 2016年 5月 05日

    →続き

     誰をどのような判断基準で信用すれば良いのか、ということですが、基本的にはきちんと科学的根拠のある話、ということが言えます。
     書籍やネットの情報であっても、きちんと科学的根拠のある話であれば耳を傾けるべきですし、公的機関の話であっても科学的根拠がなければ疑う必要があります。ただ、一般的に公的機関は科学的根拠のない話をしないため、通常は公的機関の情報が最も信頼に足る、ということになります。(専門家の意見や臨床試験に対して、その根拠がどの程度普遍的なものと呼べるのかは、「エビデンスレベル」という指標によっても判断できます)

     また、もっと身近な話をすれば、いつも話を聞いてくれるかかりつけの医師や薬剤師などの話を聞いてみるのが良いのではないか、と思います。

     申し訳ありません、明日から災害地支援で熊本へ向かいますので、一旦ここで返信は休止させて頂きます。

    • あべ
    • 2016年 12月 31日

    はじめまして、あべと申します。
    今、インフルエンザ治療中の身です。
    娘も同時期にかかっています。二人とも予防接種を毎年しています。一方、予防接種をしない妻はかかったことがありません。
    予防接種をしてもかかることがあるのは了承済みで受けているので、かかったものは仕方がないと思っています。
    ただ、予防接種による感染拡大の効果について、ひとつ疑問があり、正解をいただけたら幸いです。それと言うのも、ウィルスに感染したその方の発症自体を予防接種によって防いでもウィルス自体はその方の体内にいるのであれば、発症していないその方はウィルスを保菌はしている自覚のないまま職場や学校などの社会生活を続け、ウィルスを拡散するリスクはないのでしょうか。職場では管理職は半強制的にインフルエンザの予防接種を受けるように勧めていますが、正解はどうなのでしょうか。
    長々と書き失礼致しました。

    • Fizz-DI
    • 2016年 12月 31日

    >あべさん
     コメントありがとうございます。
     予防接種によって発症に気付かなくなり、よりウイルスをばら撒いてしまうのではないかということですが、そういったことはありません。

    >ウィルスに感染したその方の発症自体を予防接種によって防いでもウィルス自体はその方の体内にいるのであれば

     この点ですが、インフルエンザを発症するということは、体内でウイルスが大量に増えた、ということです。そして、予防接種で発症を防げたということは、ウイルスの増殖を少なく抑えることができた、ということです。

    ※インフルエンザを発症した人→体内にウイルスがいっぱい
    ※発症はしていない人→ウイルスが居ても少し

     つまり、「インフルエンザを発症している人」と、「予防接種で発症しなかったもののウイルスを保有している人」とでは、体内に居るウイルスの数は大きく異なります。桁違いです。
     そのため、発症せずに単にウイルス保有しているだけでは、周囲にウイルスを大量にばら撒くようなことにはなりません。

     ただし、自覚症状がないままウイルスを撒き散らすというトラブル自体は存在します。例えば高齢者は感染して体内にウイルスが大量に居ても、身体の反応が鈍く発熱もしにくいため、ちょっとした風邪だと勘違いしてしまうことがあります。
     こうした場合には知らない間にウイルスをばら蒔いてしまうことになるため、予防接種をしておく、風邪と思わず病院を受診するなど、より注意が必要です。

     普通の成人であれば、ウイルスが増えれば発症する、発症しないのはウイルスが居ても少ない、ということなので、心配の必要はありません。

    • あああ
    • 2017年 11月 24日

    インフルエンザも風邪のようなものの一種ならばインフルエンザ同様変化するウイルスにピッタリ適用するものを作るのは難しいのではないですか。

      • Fizz-DI
      • 2017年 11月 24日

      はい、そうです。
      難しいので、毎年どの型が流行るかを夏の終わり頃に見極め、その年に流行る可能性の高い4つのタイプが混ざった4価ワクチンを使う、という難儀なことをする必要があるのです。

      なお、今年ワクチンが不足しているのは、この見極めに時間がかかったからです。

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■主な活動


★6月22日のフジテレビ「直撃LIVE グッディ!」に薬剤師としてコメントを寄せました。
★3月23日発売の「異世界薬局(コミック版)」に薬学監修として携わりました。
★12月28日のYahoo!ニュース動画「抗生物質が効かなくなる日」に監修として携わりました。

★PharmaTribuneにて連載中

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

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