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知っておくべきこと 栄養素

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「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」、何が違うの?~「トランス脂肪酸」は何故身体に悪いのか

回答:「トランス脂肪酸」は、反応させると酸化ストレスを生み出すから

 「飽和脂肪酸」は、化学物質として安定なため、生体はエネルギー源として利用します。

 「不飽和脂肪酸」は、反応させると過酸化物(酸化ストレス)を生み出すため、反応させてエネルギーとして利用するには不向きです。そのため、細胞膜など生体構造の原料として利用されます。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸~利用方法の違い
 「不飽和脂肪酸」は更に化学構造によって「シス型」と「トランス型」の2種類に分類されます。自然界に存在する「不飽和脂肪酸」は「シス型」です。そのため、生体構造の原料として利用されるのも「シス型」です。

 生体原料として利用できない「トランス型」の「不飽和脂肪酸」は、仕方なくエネルギー源として利用されますが、その際には過酸化物(酸化ストレス)を生み出しやすいため、身体にはあまり良くありません。
不飽和脂肪酸~シス型とトランス型の違い
 ただし、「トランス型」の「不飽和脂肪酸」の過量摂取が問題になるのは主に「マーガリン」や「ショートニング」を大量に使う欧米諸国であり、一般的な日本人の食生活では過量摂取にはなりません

「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の違い~炭素の二重結合

 「飽和脂肪酸」には、炭素の二重結合がありません。
 「不飽和脂肪酸」には、炭素の二重結合が含まれています。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸~炭素の二重結合
 炭素の二重結合(不飽和結合)は、反応性に富み、様々な物質と反応して過酸化物(酸化ストレス)を生み出しやすいという特徴があります。

不飽和脂肪酸の「シス型」と「トランス型」

 「不飽和脂肪酸」は、さらに炭素の二重結合のまわりの構造の違いによって、「シス型(cis-)」と「トランス型(trans-)」の2種類に分類されます。
炭素と炭素の結合~シス型とトランス型
 化学構造の中に一つでも「トランス型」の構造が含まれている「不飽和脂肪酸」を、まとめて「トランス脂肪酸」と呼びます。

回答の根拠:日本人の「トランス脂肪酸」の摂取状況

 様々な議論はありますが、現在のところ世界保健機関(WHO)は「トランス脂肪酸」の摂取を総エネルギー量の1%未満にするよう通達しています。

 アメリカでは、摂取する総エネルギーの2%以上が「トランス脂肪酸」になっているため、大きな社会問題となっています1)。
 これに対し、日本では2007年の食品安全委員会の調査では0.3~0.6%程度、2008年の農林水産省の調査では0.44~0.47%程度であることが報告されています2)。

 1) 食品安全委員会「食品中に含まれるトランス脂肪酸」評価書
 2) 農林水産省 「トランス脂肪酸に関する情報」

 このように、日本では元々の食生活やメーカーの自助努力によって、「トランス脂肪酸」による影響はそれほど多くはありません。そのため、日本では特に「トランス脂肪酸」の規制もされていません。

 ただし、これはあくまで一般論であり、サンドイッチや調理パン、クッキーなどを主食にしている若い女性などでは、摂取エネルギーが少ないにも関わらず「トランス脂肪酸」の摂取量が多い傾向にあります。このように偏った食事によって、思わぬかたちで「トランス脂肪酸」の割合が多くなる恐れがあるため、バランスの良い食事には気を付ける必要があります。

+αの情報:肉類・乳製品に多い「飽和脂肪酸」、植物・魚類に多い「不飽和脂肪酸」

 エネルギー源になる「飽和脂肪酸」は、肉類や乳製品に多く含まれています。
 生体構造の原料になる「不飽和脂肪酸」は、植物や魚類に多く含まれています。

主な「飽和脂肪酸」

・酪酸(バターやチーズ等に含まれる)
・ラウリン酸(ココナッツ油や母乳に含まれる。コレステロールを上げない中鎖脂肪酸)
・ミリスチン酸(パーム油に含まれる)
・パルミチン酸(バターや肉類に含まれる)
・ステアリン酸(肉類に含まれる)

主な「不飽和脂肪酸」

・オレイン酸(一価不飽和脂肪酸。オリーブオイル、菜種油に含まれる)
・α-リノレン酸(n-3系不飽和脂肪酸。しそ油、えごま油に含まれる)
・ドコサヘキサエン酸(n-3系不飽和脂肪酸。DHAのこと)
・エイコサペントエン酸(n-3系不飽和脂肪酸。EPAのこと)
・リノール酸(n-6系不飽和脂肪酸。大豆油、コーン油に含まれる)
・アラキドン酸(n-6系不飽和脂肪酸。レバーや卵白に含まれる)

 「飽和脂肪酸」も、摂り過るとエネルギー過多になって太るなど、身体に良いものではありません。しかし、あまりに避け過ぎるのも問題です。
 特に最近は、高齢者が肉類を敬遠することによって低栄養状態を起こし、筋力低下などの「サルコペニア」を起こすことが問題になっています。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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