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解熱鎮痛薬・NSAIDs 薬の飲み方

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二日酔いの頭痛に『ロキソニン』は効く?~薬の妥当性とリスクの評価

回答:効くこともあるが、効果は不確かで、副作用のリスクも高い

 二日酔いで起こる頭痛のメカニズムは、明確には解明されていません。そのため、二日酔いの明確な治療ガイドラインも存在しません。

 現在のところ、脱水や低血糖、寝不足など様々な要因が関係していると考えられています。
二日酔いの頭痛の原因

 確かに、様々な要因の中には、『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』等の解熱鎮痛薬が効果を発揮し得る要因も含まれています。
 そのため、『ロキソニン』を飲んでみたら頭痛が治まった、という経験がある人は少なくありません。

 しかし、二日酔いの頭痛は、前日のお酒の種類や飲み方、睡眠時間、当日の体調等によって、どの要因が主となっているのかが変わります(例:睡眠中はアルコール分解が遅くなる)。
 その結果、前回は効いたのに今回は効かない、といったような、不確かな効果となる可能性が非常に高くなります。

 また、飲酒や嘔吐によって既に胃が荒れている時に『ロキソニン』などの解熱鎮痛薬を使うと、胃粘膜への副作用が出る恐れも高くなります。

 このように効果は不確かで、副作用のリスクも高い薬を、手放しでお勧めするわけにはいきません。

 まずは先に行うべき対策をし、それでもどうしてもダメな場合に、初めて『ロキソニン』の服用を選択肢に入れるべきです。

『ロキソニン』を勧めない理由①:まずは水分補給

 二日酔いで起こる”頭痛”の要因として、最も最初に考慮すべきものは「脱水症状」です。

 アルコールを分解するためには水が必要です。そのため、お酒を飲んで喉が物理的に潤っていたとしても、身体では生理学的に水分が不足していきます。
 また、アルコールの利尿作用によってトイレが近くなり、身体の水分量は更に低下します。

 加えて、二日酔いの随伴症状である嘔吐や下痢によって、身体の水分量は奪われます。
二日酔いの脱水と頭痛
 頭痛は、こうした水分量の低下によって誘発されます。

 頭痛の要因が主にこの「脱水症状」であった場合、『ロキソニン』は適しません。スポーツドリンク等で水と電解質をバランスよく摂取することが推奨されます。

 

『ロキソニン』を勧めない理由②:低血糖の可能性

 飲酒で摂取した「エタノール」は、解毒・分解される際に「アセトアルデヒド」を介します。

 この「アセトアルデヒド」が高い濃度で体内に蓄積すると、頭痛や嘔吐を起こします。「アセトアルデヒド」が存在することは、身体によっても良いものではありません。そのため、肝臓は最優先で解毒・分解しようとします。

 このとき、肝臓での糖の生産が後回しになります。その結果、身体は低血糖状態になります。
二日酔いの低血糖と頭痛
 頭痛は、こうした低血糖によって誘発されます。

 頭痛の要因が主にこの「低血糖状態」であった場合、『ロキソニン』は適しません。炭水化物や果物など、速やかに吸収される糖分を補給することが推奨されます。

 ※お酒を飲んだあと、ラーメンなどの炭水化物を欲するのは、アルコールの利尿作用で減った塩分と、アルコールの分解で遅れている糖分供給に対する生理的な反応とも考えられています。 

『ロキソニン』を勧めない理由③:胃粘膜が荒れている

 二日酔いの場合、頭痛と主に嘔吐をしているケースが多々あります。これによって胃は空の状態で、なおかつ胃粘膜は荒れている状態であることがほとんどです。
 あるいは、実際には嘔吐をしていなくとも、二日酔いをするほどにお酒を飲んだ場合には、胃は荒れていることがほとんどです。

 『ロキソニン』などの解熱鎮痛薬は、胃粘膜を荒らす副作用があります。
 そのため、既に胃が荒れている状態で『ロキソニン』を服用すると、最悪の場合”胃潰瘍”などを起こす恐れがあります。

 特に、吐き気があるからと何も食べず、空腹の状態で『ロキソニン』を服用することは、こうした副作用のリスクを更に高め、危険です。

『ロキソニン』が効くかもしれない理由:寝不足や疲れで、いつもの頭痛が出た

 『ロキソニン』は、いわゆる普通の頭痛に効果があります。

 例えば、頭痛持ちの人は、寝不足や疲れで頭痛を起こすことがあります。この頭痛が「片頭痛」でなければ、『ロキソニン』など普通の鎮痛薬で効果が得られます

 ただし、前回の二日酔い時の頭痛が寝不足による”いつもの頭痛”であったからといって、今回の二日酔いの頭痛も同じ原因で起きているとは限りません。

 まずは脱水や低血糖などを疑い、必要な対処を行う必要があります。

薬剤師としてのアドバイス:安易に使わない”切り札”としての存在

 アルコールの摂取によって、炎症性サイトカインが増えることが報告されています1)。

 1) J Neuroinflammation.9:130,(2012) PMID:22709825

 このことが直接、二日酔いの頭痛と関係しているかどうかはわかっていませんが、炎症性サイトカインが関与していれば『ロキソニン』が効果を発揮する可能性は十分に考えられます。

 実際、『ロキソニン』で多少なりとも二日酔いの頭痛が緩和された、と感じる人が多いのには、こうしたメカニズムの関与があるのかもしれません。

 しかし、先述の通り効果が出る確証はないことや、また胃粘膜への副作用リスクが非常に高いことを考えると、安易に『ロキソニン』を使うべきではありません。

 あくまで先に水分補給や食事を摂り、それでも治らず、なおかつ仕事などで安静にはしていられない場合に”切り札”として使用するに留めるようにしましょう。
二日酔いとロキソニン

+αの情報:二日酔いに効く漢方薬『五苓散』

 漢方薬の『五苓散』は、「二日酔い」に対して保険適用が認められている薬です。

 二日酔いで頭痛や吐き気が酷い場合には、こうした漢方薬を使うのも選択肢です。

 

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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コメント

    • おはつ
    • 2015年 12月 06日

    とても勉強になります。

    ご質問ですが、普段論文はどうやって検索されておりますか?

    • Fizz-DI
    • 2015年 12月 12日

    自分たちの知識・情報蓄積も目的に作っていますが、何かのお役に立てられれば幸いです。

    論文の検索ですが、原文はPubmedで検索しています。
    面白い論文をどうやって探すか、という点については、ネット上を含め、専門誌等で話題になっているものをチェックし、その中から面白そうと自分が思ったものをPubmedで確認するようにしています。また、そういって検索した文献のリファレンスから、別の論文を読みにいくこともあります。

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