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似た薬の違い フィブラート系薬

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『パルモディア』と『リピディル』、同じフィブラート系薬の違いは?~スタチンとの併用とCYPの相互作用

回答:スタチンと併用しやすい『パルモディア』、CYPの相互作用が少ない『リピディル』

 『パルモディア(一般名:ペマフィブラート)』と『リピディル(一般名:フェノフィブラート)』は、どちらも脂質異常症の治療に使われるフィブラート系薬です。

 『パルモディア』は、従来のフィブラート系薬より比較的安全に「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」と併用できる薬です。
 『リピディル』は、代謝酵素が関係する相互作用が少ない薬です。
 
 そのため、「HMG-CoA還元酵素(スタチン)」だけでは脂質異常症が十分に改善されない人は『パルモディア』、脂質異常症以外でも色々な薬を飲んでいる人は『リピディル』が適しています。

 『パルモディア』は2017年7月に登場したばかりの新薬のため、これからの使用実績によって賢い使い分けの基準ができていくことが期待されています。

回答の根拠①:『パルモディア』とスタチンの併用

 LDLコレステロールが高い脂質異常症の場合、『クレストール(一般名:ロスバスタチン)』や『メバロチン(一般名:プラバスタチン)』などの「スタチン」による治療が推奨されています1)。
 このとき、「スタチン」だけではトリグリセライド(TG)やHDLコレステロールは十分に改善しないことがあり、その場合には『リピディル』のような「フィブラート系薬」を併用することがあります。

 しかし、この併用では「横紋筋融解症」のリスクも高くなるため2)、気軽に試せる治療方法ではありません。
 
 1) 日本動脈硬化学会 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2012年版)」
 2) JAMA.292(21):2585-90,(2004) PMID:15572716

 その中で『パルモディア』は、臨床試験の段階では「スタチン」と併用しても副作用リスクはほぼ変わらなかったことが報告されています3)。

※『パルモディア』とピタバスタチン併用時の副作用発現率 3)
ピタバスタチン単独時・・・・・・・・8.7%
『パルモディア』0.1mg併用時・・・  6.7%
『パルモディア』0.2mg併用時・・・10.2%
『パルモディア』0.4mg併用時・・・  4.2%

 3) パルモディア錠 インタビューフォーム

 このことから、『パルモディア』は従来の「フィブラート系薬」と比べると比較的安全に「スタチン」と併用できる薬として、TG値やHDL-C値の改善に貢献できる可能性があります。

『リピディル』より肝機能への副作用も少ない

 TG高値やHDL-C低値の脂質異常症を単剤で治療する場合、『パルモディア』は『リピディル』より肝機能障害の副作用が少なかったことも報告されています3)。

回答の根拠②:代謝酵素CYPの影響

 『パルモディア』は「スタチン」との併用に関しては比較的安全であることが認められていますが、CYP2C8やCYP2C9、CYP3Aによって代謝・分解され、有機アニオントランスポーターであるOATP1B1やOATP1B3の基質にもなります1)。そのため、これらに影響する薬と併用すると『パルモディア』の血中濃度が高まり、副作用を起こす恐れがあります。

※『パルモディア』と相互作用を起こす薬の例 1)
『ネオーラル(一般名:シクロスポリン)』・・・・Cmax8.96倍、AUC13.99倍(併用禁忌
『リファジン(一般名:リファンピシン)』・・・・Cmax9.43倍、AUC10.90倍(併用禁忌)※単回投与
プラビックス(一般名:クロピドグレル)』・・・Cmax1.48倍、AUC2.37倍(併用注意)
『クラリス(一般名:クラリスロマイシン)』・・・Cmax2.42倍、AUC2.09倍(併用注意)

 一方、『リピディル』はこれら代謝酵素などの影響を受けないため、「スタチン」以外に併用禁忌とされている薬はありません4)。

 4) リピディル錠 添付文書

 このことから、脂質異常症以外でも色々な薬を併用している人にとっては、相互作用を起こしにくい『リピディル』の方が使いやすい薬と言えます。

薬剤師としてのアドバイス:「ずっと使い続けている薬」の副作用に要注意

 『パルモディア』・『リピディル』のような「フィブラート系薬」や「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」など脂質異常症の薬を使う場合、「横紋筋融解症」の副作用に注意する必要があります。
 特に、脂質異常症の治療は動脈硬化の進行による脳卒中や心筋梗塞といったトラブルを防ぐことが目的のため、薬の服用も長期間に渡る場合がほとんどです。

 薬の飲み初めには副作用に注意していても、同じ薬をずっと使い続けていると警戒心も薄れてきます。特に、脂質異常症の薬には抗生物質や抗真菌薬など様々な薬と相互作用を起こすものが多いため、別の薬を使ったことで副作用が現れる場合も少なくありません。

 「何年もずっと使い続けている薬だから大丈夫」と油断することなく、同じ薬でもお薬手帳には必ず記録を続け、追加で何か別の薬を服用することになった場合には、忘れず飲み合わせの確認をしてもらうようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 『パルモディア』は、従来のフィブラート系薬よりも比較的安全に「スタチン」と併用できる
2. 『リピディル』は、代謝酵素CYPによる併用禁忌がなく、相互作用が少ない
3. 「ずっと使い続けている薬だから大丈夫」と油断せず、飲み合わせや副作用には注意する

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆適応症
 パルモディア:高脂血症(家族性を含む)
 リピディル:高脂血症(家族性を含む)

◆用法
パルモディア:1日2回 朝夕
リピディル:1日1回 食後

◆併用禁忌の薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬を除く)
パルモディア:シクロスポリンリファンピシン(CYPやOATPの影響)
リピディル:なし

◆剤型の種類
パルモディア:錠(0.1mg)
リピディル:錠(53.3mg、80mg)

◆製造販売元
パルモディア:興和
リピディル:あすか製薬

+αの情報:『リピディル』でもスタチンとの併用が絶対ダメというわけではない

 「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」と「フィブラート系薬」の併用は、「横紋筋融解症」の副作用を起こしやすくなるため、基本的にやむを得ない場合以外には行われません。
 しかし、『リポバス(一般名:シンバスタチン)』や『リピトール(一般名:アトルバスタチン)』と『リピディル』の併用については有効性や安全性が報告されている5,6)など、絶対にダメな併用というわけではありません。

 5) Am J Cardiol.106(11):1594,(2010) PMID:21094360
 6) J Am Coll Cardiol.45(10):1649-53,(2005) PMID:15893182

 「スタチン」だけではTG値やHDL-Cの値が改善しない場合には、比較的安全に使える組み合わせでの併用も考慮する必要があります。

~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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