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抗真菌薬 糖尿病

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糖尿病患者は水虫が悪化しやすい?~潰瘍・下肢切断のリスクと市販薬の是非

回答:重症化しやすいため、皮膚科受診が基本

 糖尿病の患者は水虫が重症化しやすく、不適切な治療が足の潰瘍・壊死・切断のリスクにつながります。そのため、塗り薬で治療できる軽症のうちに、しっかりと完治させることが大切です。

 市販薬(OTC)で自己治療するのではなく、皮膚科を受診し、医師・薬剤師指導のもとで水虫治療を行うようにしてください。

回答の根拠①:糖尿病患者の水虫は、足切断のリスク

 糖尿病で「足を失う」ことは、珍しいことではありません。
 特に、糖尿病患者の水虫は発症・悪化に気付きにくく、治りも悪いため、深刻な真菌感染症に発展しやすい傾向にあります。

※糖尿病が水虫に与える悪影響
・糖尿病患者は、健常人と比べて感染症を起こしやすい1)
・糖病病患者は、末梢神経障害によって足の痛み・痒みに鈍く、水虫の悪化や発症に気付きにくい2)
・糖尿病患者は、血行障害によって水虫や傷の治りが悪い

 1) Diabetes Care.26(2):510-3,(2003) PMID:12547890
 2) Eur J Dermatol.10(5):379-84,(2000) PMID:10882947

 実際、糖尿病患者は爪の水虫になるリスクも2倍以上高く3)、水虫の悪化や不適切な処置が足潰瘍・切断のリスクにつながることから、日本糖尿病学会と日本皮膚科学会のガイドラインでそれぞれ、軽症のうちから適切な治療を始めるよう注意喚起されています4,5)。
 市販薬(OTC)による自己治療ではなく、医療機関で適切な治療を受けることを強くお勧めします。

 3) Br J Dermatol.139(4):665-71,(1998) PMID:9892911
 4) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2016」
 5) 日本皮膚科学会「糖尿病性潰瘍・壊疽ガイドライン2012」

回答の根拠②:水虫が悪化してからでは、塗り薬で治療できなくなる

 水虫は直接生命に関わるような病気ではなく、また自覚症状にも乏しいため、治療せずに放置されることが多い感染症です。しかし、塗り薬で完治させられるものには限界があります。
 皮膚の広い範囲が病変している場合、炎症やあかぎれが酷い場合には、塗り薬だけで治療することが難しくなります。また、最近は爪の水虫に効果のある『ルコナック(一般名:ルリコナゾール)』や『クレナフィン(一般名:エフィナコナゾール)』も登場していますが、重症化したものには効果がありません6,7)。

 6) ルコナック爪外用液 添付文書
 7) クレナフィン爪外用液 添付文書

 重症化した水虫の場合は、飲み薬の「抗真菌薬」を使うことになりますが、副作用が多く定期的な血液検査が必要な『ラミシール(一般名:テルビナフィン)』や、服用方法が複雑で他の薬との相互作用も多い『イトリゾール(一般名:イトラコナゾール)』が治療の中心のため、高齢者や併用薬の多い人では難しい選択になってしまいます。

 そのため、悪化する前に水虫に気付き、塗り薬だけで簡単に治療できるうちに完治させることが重要です。

薬剤師としてのアドバイス:糖尿病の人は、毎日のフットケアを忘れずに

 糖尿病では水虫に限らず、ストーブやこたつ・湯たんぽ・カイロなどで低温火傷をする、誤った爪の切り方で化膿する、タコが悪化して潰瘍になるなど、足の病変に気付きにくく、悪化しやすい傾向にあります。足が広く壊疽するような重篤な状態になるまで気付かなかった場合は、命を守るために足を切断しなければならないことになります。

 そのため、糖尿病で血糖コントロールが悪い人、神経障害で足の感覚が鈍っている人、以前に足病変を起こしたことがある人などは、入浴時などに足を毎日よく観察し、異変があればすぐに主治医と相談、皮膚科を受診するようにしてください。

 参考)国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「フットケア」

ポイントのまとめ

1. 糖尿病患者は、水虫に感染しやすく、発症・悪化に気付きにくく、治りにくい
2. 不適切な水虫処置は、特に糖尿病患者では足の潰瘍・切断のきっかけになり得る
3. 糖尿病で足を失わないためには、フットケアが大切

+αの情報:水虫治療は、薬の選択より「正しい使い方」を

 水虫が「治りにくい」と思われているのは、効果的な薬がないからではなく、自己判断で中途半端な治療をしている、間違った薬の使い方をしていることが主な原因です。

※よくある間違った使い方の例
・痒みがある、皮がめくれている部分にだけ薬を塗っている
・痒みが治まったので、薬を塗るのを止めた

 水虫を完治させるためには、症状のない部分も含めて両足にまんべんなく広く薬を塗ること、また症状が治まってからも最低1ヶ月は薬を塗り続けることを徹底する必要があります。

~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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