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似た薬の違い パーキンソン病

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『ミラペックス』と『ビ・シフロール』、同じ「プラミペキソール」製剤の違いは?~パーキンソン病治療の服用回数と腎障害時の用量

回答:1日1回で良い『ミラペックス』、腎障害でも使える『ビ・シフロール』

 『ミラペックス(一般名:プラミペキソール)』と『ビ・シフロール(一般名:プラミペキソール)』は、どちらもドパミン作動薬の「プラミペキソール」の製剤で、パーキンソン病の治療に使います。

 『ミラペックス』は、1日1回の服用で治療ができる徐放錠です。
 『ビ・シフロール』は、腎障害の人でも用量調節しながら使える薬です。

 同じ効果で服薬の手間が少ない『ミラペックス』は、飲み忘れの防止や治療の継続に役立ちます。ただし、高度の腎障害がある場合は、身体に蓄積しにくい『ビ・シフロール』を使う必要があります。

回答の根拠①:1日1回の徐放錠『ミラペックス』~手間が少ない薬の意義

 『ミラペックス』と『ビ・シフロール』では、早期・進行期どちらのパーキンソン病に対しても治療効果や安全性に違いはないとされています1,2)。ただし、『ビ・シフロール』は1日2~3回の服用が必要である3)のに対し、『ミラペックス』は1日1回の服用で治療ができます4)。

 1) 日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」
 2) Eur J Neurol.24(6):835-43,(2017) PMID:28480621
 3) ビ・シフロール錠 インタビューフォーム
 4) ミラペックスLA錠 インタビューフォーム
 

 パーキンソン病では、健常人と同じように素早く薬を服用することは難しい上、1日3回毎食後の薬に加え、症状の日内変動に合わせて起床時・夕方・就寝前で服用する薬もあるなど、薬の量や回数は多くなる傾向にあります。そして、こうした服薬の手間が飲み忘れや薬物治療を挫折する原因になっています。

 そのため、1日1回の服用で良い徐放錠である『ミラペックス』は、こうした治療の負担を大きく軽減できる薬と言えます。

『ビ・シフロール』から『ミラペックス』への切り替えも簡単

 『ビ・シフロール』から『ミラペックス』へは、即日切り替えをしても有効性・安全性に問題ないことが確認されています5)。そのため、複雑な漸減・漸増を伴った切り替えも必要ありません。
 薬の価格も同じmgではほとんど変わらないため、切り替えは非常に行いやすくなっています。

※薬価の比較 (2018年改訂時)
ミラペックス:0.375mg(129.60)、1.5mg(442.20)
ビ・シフロール:0.125mg(42.50)、0.5mg(144.10)

 5) Mov Disord.25(14):2326-32,(2010) PMID:20669265 

回答の根拠②:腎障害時でも使える『ビ・シフロール』~用量調節の幅

 「プラミペキソール」は腎機能が弱っていると排泄が遅くなり、薬が体内に蓄積しやすくなります3)。
 『ビ・シフロール』は、中等度の腎障害(CCr:50mL/min未満)の場合は1日2回、高度な腎障害(CCr:20mL/min未満)の場合でも1日1回に減量することで適切な血中濃度が得られる3)とされ、用量を調節しながら使うことができます。

 一方、徐放錠である『ミラペックス』は1錠中の含有量も多く、身体に蓄積しやすい傾向にあるため、中~高度の腎障害(CCr:30mL/min未満)の場合は『ビ・シフロール』へ切り替えて調節する必要があります4)。

※『ミラペックス』の用量調整 4)
通常の維持量:1.5~4.5mg(1日1回)
CCrが50mL/min未満:初回は0.375mgを隔日投与
CCrが30mL/min未満:禁忌 (※速放錠の『ビ・シフロール』に切り替え)

※『ビ・シフロール』の用量調整 3)
通常の維持量:1.5~4.5mg(1日2~3回)
CCrが50mL/min未満:初回は0.125mgを1日2回、最大2.25mg
CCrが20mL/min未満:初回は0.125mgを1日1回、最大1.5mg

薬剤師としてのアドバイス:パーキンソン病は、適切な治療で進行を抑えられる

 パーキンソン病は、未だに原因がよくわからず、根本的な治療方法が見つかっていないことから、重症度によっては「指定難病」に選ばれることもあります。このことから「不治の病」のようなイメージを抱いている人が少なくありません。
 しかし、適切な治療を続ければ発症後10年にわたって普通の生活を送ることができ、生命予後へもほとんど影響しないことがわかっています6)。

 6) 難病情報センター 「パーキンソン病(指定難病6)」

 これは、高い効果の薬がたくさん登場していることも要因の1つですが、薬物治療においては薬を正しく服用し続けることが非常に重要です。
 食前と食後を入れ替える、レモン水で薬を飲むといった服用方法の工夫が紹介されていることもありますが、こうした工夫も自己判断で行うと症状悪化や副作用の原因になります。効き方や体調変化で気になることがある際は自己判断で飲み方を変えず、必ず医師・薬剤師に相談するようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 『ミラペックス』と『ビ・シフロール』で有効性・安全性に差は無い
2. 『ミラペックス』は徐放錠で、1日1回の服用で治療ができる
3. 『ビ・シフロール』は速放錠で、1日2~3回の服用が必要だが、高度の腎障害でも使える

 

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆有効成分と錠剤のタイプ
ミラペックス:プラミペキソール(徐放錠)※粉砕不可
ビ・シフロール:プラミペキソール(速放錠)

◆薬の分類
ミラペックス:非麦角系ドパミンアゴニスト(ドパミン作動薬)
ビ・シフロール:非麦角系ドパミンアゴニスト(ドパミン作動薬)

◆適応症
ミラペックス:パーキンソン病
ビ・シフロール:パーキンソン病、中等度から高度の突発性レストレスレッグス症候群

◆パーキンソン病に対する用法
ミラペックス:1日1回
ビ・シフロール:1日2~3回

◆高度の腎障害に対する使用
ミラペックス:CCr 30mL/min未満は禁忌(※速放錠の『ビ・シフロール』に切り替え)
ビ・シフロール:CCr 20mL/min未満でも使用可(※ただし1日1回で減量が必要)

◆剤型の種類
ミラペックス:錠(0.375mg、1.5mg)
ビ・シフロール:錠(0.125mg、0.5mg)

◆文献請求先
ミラペックス:日本ベーリンガーインゲルハイム
ビ・シフロール:日本ベーリンガーインゲルハイム

+αの情報①:パーキンソン病の薬物治療は、ギリギリまでしない方が良い?

 パーキンソン病の治療に関して、「薬は使い続けるうちに効かなくなってしまうので、できるだけギリギリまで薬を使わずに過ごした方が良い」という俗説があります。しかし、治療開始を遅らせた場合、運動症状が進行するだけでメリットはないという報告もあり7)、ガイドラインでも特別な理由がない限りは早期に治療を始めることが推奨されています1)。

 7) J Neurol Neurosurg Psychiatry.78:465-9,(2007) PMID:17098846

 副作用や経済的負担といった問題から薬を使いたくない・使えない場合でも、定期的に病院を受診し、非薬物療法(運動療法など)を続ける必要があります1)。

+αの情報②:むずむず脚症候群(レストレス・レッグス症候群)に対する保険適用

 『ビ・シフロール』は、パーキンソン病だけでなく、むずむず脚症候群(レストレス・レッグス症候群)にも保険適用があります3)。
 むずむず脚症候群(レストレス・レッグス症候群)は、夕方から夜にかけて、脚がむずむずする・虫が這いまわるように感じる・脚を動かしたくて我慢できなくなるといった、不快な症状に襲われる病気です。生命に関わるようなものではありませんが、落ち着いて仕事や食事ができなくなったり、時には不眠症の原因になったりもします8)。

 8) Sleep Med.11(1):31-7,(2010) PMID:19464949

 現在、この疾患に保険適用があるのは、『ビ・シフロール』を含めて3剤だけです。

※むずむず脚症候群(レストレス・レッグス症候群)に保険適用のある薬
『ビ・シフロール(一般名:プラミペキソール)』
『レグナイト(一般名:ガバペンチン)』
『ニュープロ(一般名:ロチゴチン)』※パッチ剤

~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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