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抗真菌薬 似た薬の違い

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『クレナフィン』と『ルコナック』、同じ爪水虫の薬の違いは?~期待できる効果と値段、塗り薬の使いどころ

回答:高い効果を期待できる『クレナフィン』、より安価に治療できる『ルコナック』

 『クレナフィン(一般名:エフィナコナゾール)』と『ルコナック(一般名:ルリコナゾール)』は、どちらも爪の水虫(爪白癬)に使う「抗真菌薬」の塗り薬です。

 『クレナフィン』は、爪への浸透率に優れ、より高い効果が期待できる薬です。
 『ルコナック』は、値段が安く、より安価に治療できる薬です。

 そのため、より重症なものには『クレナフィン』、経済的負担を抑えたい場合には『ルコナック』を選ぶのが一般的です。

 

回答の根拠①:症状が進行したものにも高い効果を期待できる「エフィナコナゾール」~爪全体への高い浸透率

 「エフィナコナゾール」と「ルリコナゾール」はどちらも爪白癬に効果的な外用薬です。
 爪白癬は、より確実な効果を得られる内服薬での治療が基本ですが、肝機能や相互作用などの問題で内服薬を使えない場合や、症状が軽い場合には外用薬も良い選択肢になります1)。

※爪白癬に対するガイドラインの推奨度 1)
エフィナコナゾール:【B】
ルリコナゾール(5%):【B】
※内服の抗真菌薬は、より推奨度の高い【A】

 効果を直接比較したデータは少ないですが、「エフィナコナゾール」は「ルリコナゾール」よりも治癒率がやや高めで、特に重症度が進んだものに対して高い効果を期待できる可能性が示唆されています2)。
 これは、「エフィナコナゾール」の方が、爪の主成分「ケラチン」との親和性が低く、より爪の奥深くまで浸透しやすい3)ことが関係していると考えられています。

1) 日本皮膚科学会 「日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019」
2) Med Mycol J.60(4):95-100,(2019) PMID:31787733

3) J Mycol Med.32(3):101259,(2022) PMID:35255449

 

使いやすい「エフィナコナゾール」製剤の設計

 「エフィナコナゾール」製剤は、容器の先端に「刷毛(はけ)」がついています4)。
 そのため、身体の硬い人や身体が不自由な高齢者でも、足の爪へ塗布しやすい設計になっています。また、薬液を出し過ぎて薬を無駄にしてしまうようなケースも避けることができるため、外用液の扱いが苦手な人にも適した薬と言えます。

4) クレナフィン爪外用液 インタビューフォーム

 

回答の根拠②:安価な「ルリコナゾール」~足白癬の薬と同じ成分である強み

 「ルリコナゾール」は、従来から足の水虫に使われている『ルリコン』と同じ成分で、その濃度を5倍にすることによって、薬が浸透しづらい爪でも効果が得られるように改良された製剤です5)。

 爪白癬を完全に治癒させるには、薬を年単位で塗布し続ける必要がありますが、その間にかかる薬代が治療を挫折する原因となるケースも少なくありません6)。足白癬の薬と同じ成分で、薬の値段が「エフィナコナゾール」のおよそ半額と安価な「ルリコナゾール」は、こうした経済的負担を抑えたい場合に良い選択肢になります。

※薬価の比較(2025改訂時)
エフィナコナゾール・・・1396.80/g
ルリコナゾール(5%)・・・ 663.60/g

5) ルコナック爪外用液 インタビューフォーム
6) 日本臨床皮膚科医会雑誌.34(6):742-52,(2017)

 

薬剤師としてのアドバイス:塗り薬で治療できるのは”軽症”の爪白癬

 通常の水虫の塗り薬を爪に塗っても、爪白癬の治療には全くなり得ません7)。「エフィナコナゾール」や「ルリコナゾール」といった爪白癬のための薬であっても、1年間の塗布で完全治癒するのは20%に満たない4,5)など、その効果には限界があります。
 そのため、より確実な完治を目指す場合や、爪全体が濁ってしまっているような重症例の場合には、『ラミシール(一般名:テルビナフィン)』や『イトリゾール(一般名:イトラコナゾール)』といった内服の抗真菌薬を使う必要があります。

 しかし、これら内服の抗真菌薬も肝機能に影響を与えやすい、他の薬と相互作用を起こしやすいといった弱点があり、あまり気軽に使えるものではありません。
 そのため、塗り薬で簡単に完治させられる足白癬(足の水虫)の段階でしっかりと治療を行い、爪にまで感染を広げないこと、また、もし爪白癬に進行してしまっても、塗り薬での治療が選択肢になる軽症の間に治療を始めることが非常に重要になります。

7) J Eur Acad Dermatol Venereol.27(3):287-94,(2013) PMID:22181693

 

ポイントのまとめ

1. 『クレナフィン(エフィナコナゾール)』は、治療効果がやや高めな傾向にある
2. 『ルコナック(ルリコナゾール)』は、薬価がおよそ半額と安価で経済的
3. 爪白癬が重症化すると、塗り薬での治療は難しくなる

 

 

薬のカタログスペックの比較

 添付文書、インタビューフォーム、その他資料の記載内容の比較

エフィナコナゾールルリコナゾール
先発医薬品名クレナフィンルコナック
抗真菌薬の系統トリアゾール系イミダゾール系
適応症爪白癬爪白癬
用法1日1回1日1回
ガイドラインの推奨【B】
内服薬での治療ができない中等症以下の症例に、使用を推奨する
【B】
内服薬での治療ができない中等症以下の症例に、使用を推奨する
使い方刷毛を使って爪に塗布する先端(フェルト)に液をにじませて爪に塗布する
治験段階での治癒率4,5)52週で17.8%48週で14.9%
国際誕生年2014年2016年
世界での販売状況アメリカ、カナダ、韓国、香港、マカオ(日本のみ)
剤型の規格爪外用液(10%)爪外用液(5%)
同成分の別剤『ルリコン』
先発医薬品の製造販売元科研製薬佐藤製薬
同成分のOTC医薬品(販売されていない)(販売されていない)

 

 

+αの情報①:市販の水虫薬で、爪白癬は治療できない

 「通院が面倒になったから」という理由で爪白癬の治療を止めてしまう人の中には、ドラッグストア等で購入できる市販薬(OTC医薬品)での治療に切り替えた、という人も居ます6)。
 しかし、OTC医薬品の水虫薬は、いずれも爪白癬用に改良された薬ではないため、爪に塗布しても効果は得られません。

 爪白癬の治療は、皮膚科に通院し、爪白癬専用の薬を使って行う必要があります。

 

+αの情報②:重症の爪白癬に対する外用薬の効果

 爪白癬の中でも、「遠位側縁部爪甲下爪真菌症(DLSO)」や「表在性白色爪真菌症(SWO)」といったタイプのものであれば、爪の混濁が進んだ重症例であっても、1年半~2年以上という長期間に渡って「エフィナコナゾール」を塗布し続けることで、特に副作用を増やすことなく、50%以上の治癒率を得られた、とする報告があります8,9)。
 重症例でも内服薬での治療が難しい場合、爪白癬のタイプが合致し、なおかつ、根気よく治療を続けられる人であれば、塗り薬での治療も選択肢として考えられることがあります。

※爪白癬のタイプ
遠位側縁部爪甲下爪真菌症(DLSO):足白癬から進行し、爪の先端や側縁部から感染していくもの
表在性白色爪真菌症(SWO):爪の表面に感染し、爪にチョークのような白変が生じるもの
全異栄養性爪真菌症(TDO):長年の感染で、爪が完全に濁って崩壊しているもの
近位爪甲下爪真菌症(PSO):爪の根元から感染が広がるもの

8) J Dermatol.46(8):641-651,(2019) PMID:31206779
9) 日本皮膚科学会雑誌.131(1):63-73,(2021)

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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