『フェロミア』と『フェロ・グラデュメット』、同じ鉄剤の違いは?~お茶との相互作用と錠剤の大きさ


回答:お茶と相互作用を起こしにくい『フェロミア』、錠剤の小さい『フェロ・グラデュメット』

 『フェロミア(一般名:クエン酸第一鉄)』と『フェロ・グラデュメット(一般名:硫酸鉄水和物)』は、どちらも貧血の治療に使う鉄剤です。

 『フェロミア』は、「お茶」との相互作用を起こしにくい薬です。
 『フェロ・グラデュメット』は、錠剤が小さく飲みやすい薬です。
フェロミアとフェログラデュメット
 どちらの薬も濃いお茶と一緒に飲むことは控えるべきですが、日常的にお茶を飲む習慣がある場合には、できるだけ相互作用を起こしにくい薬を選ぶ必要があります。



回答の根拠①:『フェロミア』の改良点~「鉄」と「タンニン」の相互作用

 「鉄」は、お茶に含まれる「タンニン」とくっつき、複合体を作る性質があります。この複合体になった「鉄」は、吸収することができません。
鉄とタンニン2
 実際、「タンニン」が豊富な緑茶で『フェロ・グラデュメット』を服用した場合、鉄の吸収が2/3程度にまで低下することが報告されています1)。
 そのため、添付文書上でも『フェロ・グラデュメット』は緑茶など「タンニン」を含む食品と「併用注意」とされています2)。

 1) 内科.21(1):149-152,(1968) CiNNi:40018171538
 2) フェロ・グラデュメット錠 添付文書

 一方、『フェロミア』も「タンニン」を含む食品は添付文書上の「併用注意」に挙げられていますが、『フェロミア』は緑茶で服用した場合でも、鉄の吸収や貧血治療の効果に影響しないことが確認されています3)。
フェロミアとフェログラデュメット~緑茶の影響
 3) フェロミア錠 インタビューフォーム


 特に、高齢者には日常的に緑茶を嗜む人も多く、お茶と「鉄剤」の相互作用を起こしやすい傾向があります。『フェロミア』はそういった場合でも、鉄の吸収に影響しにくい薬として使うことができます。



回答の根拠②:『フェロ・グラデュメット』の飲みやすさ~錠剤の大きさ

 『フェロミア』と『フェロ・グラデュメット』では、貧血の治療効果に差はありません3)。そのため、緑茶を日常的に飲む人でなければ、どちらを選んでも問題ありません。
 1日1~2回で服用するという用法も同じため、特に使い分けの基準となる違いもありません。

 しかし、『フェロ・グラデュメット』の錠剤は、『フェロミア』だけでなく『フェロミア』の後発(ジェネリック)医薬品と比べてもサイズが小さめです2,3)。
フェロミアとフェログラデュメット~錠剤の大きさ
※錠剤のサイズ
フェロミア・・・・・・・・・直径10.3mm、厚さ5.0mm、重さ550mg
→「サワイ」・・・・・・・・直径10.1mm、厚さ5.5mm、重さ546mg
→「武田」・・・・・・・・・直径  9.6mm、厚さ5.6mm、重さ550mg
→「JG」・・・・・・・・・  直径10.0mm、厚さ6.0mm、重さ570mg
フェロ・グラデュメット・・・直径 9.9mm、厚さ3.8mm、重さ410mg

 大きな錠剤は、時に喉にひっかかることや、飲みにくさの原因にもなります。効き目に違いがなければ、飲みやすい錠剤を選ぶことも選択肢の一つです。

『フェロミア』には顆粒もある

 『フェロミア』には粉薬(顆粒)もあるため、小さい錠剤でも飲みづらい場合にはこちらを使う場合もあります。



薬剤師としてのアドバイス:薬を水で飲んで、その後お茶を飲んだら意味がない

 「貧血の薬は、お茶で飲んではいけない」というのは古くから言われていますが、薬を水で飲んだとしても、その後すぐにお茶を飲んだら意味がありません
 胃の中で薬とお茶が一緒にならないように、時間をあけて飲む必要があります。

 このように、薬と飲料の相互作用では、「薬を飲む時に避けた方が良い」だけでなく、「薬を服用している間は、その期間を通して常に飲むのを避けた方が良い」場合があります。

 日常的に使っている飲料があれば、薬をもらう際に薬剤師に伝え、薬の効き目や副作用に影響しないかどうか、また何時間ほど間隔をあければ問題ないのか、個別に確認するようにしてください。


ポイントのまとめ
1. 『フェロミア』は、緑茶で飲んでも治療効果に影響しにくい
2. 『フェロ・グラデュメット』は、『フェロミア』やその後発(ジェネリック)と比べても錠剤が小さい
3. 薬と飲料、どのくらいの時間をあければ影響しないのかは、個別に薬剤師に確認する





添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆鉄の状態
フェロミア:クエン酸第一鉄
フェロ・グラデュメット:硫酸鉄

◆適応症
フェロミア:鉄欠乏性貧血
フェロ・グラデュメット:鉄欠乏性貧血

◆用法
フェロミア:1日1~2回
フェロ・グラデュメット:1日1~2回

◆「タンニン」との併用注意
フェロミア:記載なし
フェロ・グラデュメット:記載あり

◆剤型の種類
フェロミア:錠(50mg)、顆粒
フェロ・グラデュメット:錠(105mg)

◆錠剤の大きさ
フェロミア:直径10.3mm、厚さ5.0mm、重さ550mg
フェロ・グラデュメット:直径9.9mm、厚さ3.8mm、重さ410mg

◆製造販売元
フェロミア:エーザイ
フェロ・グラデュメット:マイラン



+αの情報:貧血には、鉄を補給しても治らないものもある

 鉄は赤血球の材料になるため、材料不足で起こる貧血(鉄欠乏性貧血)には鉄剤が効果を発揮します。
 しかし、中には作られた赤血球を免疫が破壊してしまうもの(溶血性貧血)や、赤血球を作る骨髄に異常が起きているもの(再生不良性貧血)もあります。こういった貧血は鉄の補給だけでは十分な効果がありません

 また、小児の貧血にはピロリ菌が関係している可能性もあります。

 長く続く貧血は鉄の不足以外の原因を疑う必要があるため、一度病院で検査を受けることをお勧めします。



 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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コメント

コメント一覧

    • Fizz-DI
    • 2017年06月01日 15:01
    •  回答の根拠①の部分、『フェロミア』の添付文書では「タンニン」を含む食品は併用注意に挙げられていない、と記載しておりましたが、正しくは併用注意の項目に挙げられておりました。
      (※緑茶とは名指しで書かれてはいません)。

       この旨、修正致しました。
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