『フェロミア』と『フェロ・グラデュメット』、同じ貧血薬の違いは?~お茶で薬を飲むことの弊害


回答:お茶で飲んでも大丈夫かどうか

 『フェロミア(一般名:クエン酸第一鉄)』と『フェロ・グラデュメット(一般名:硫酸鉄水和物)』は、どちらも「鉄」を補給することで貧血を治療する薬です。

 古くからある『フェロ・グラデュメット』は、お茶で飲むと吸収が悪くなる恐れがあります。
 新しい『フェロミア』は、お茶で飲んでも治療に影響するほど吸収が悪化しないよう、改良された薬です。

 ただし、『フェロミア』であっても吸収に全く影響しないわけではありません。敢えてお茶で飲むメリットはありませんので、基本的には水で服用することをお勧めします。



回答の根拠:「タンニン」との相互作用

 昔から、「鉄剤(貧血の薬)はお茶で飲んではいけない」というのがセオリーです。これは、お茶に含まれる成分「タンニン」が、鉄とくっついて吸収を邪魔してしまうからです。鉄とタンニン

 緑茶で鉄剤を服用した場合、50%~67%程度にまで吸収が低下するとされています1)。これほどの大きな吸収低下は、貧血治療にも影響すると考えられます。

 1) フェロミア錠 インタビューフォーム

 そのため、鉄剤である『フェロミア』や『フェロ・グラデュメット』は、「タンニン」を含むものと一緒に服用しないよう、添付文書にも注意書きがされています2,3)。

 2) フェロミア錠 添付文書
 3) フェロ・グラデュメット錠 添付文書



回答の根拠:『フェロミア』の改良点

 『フェロ・グラデュメット』の「硫酸鉄水和物」は、「タンニン」の影響を非常に受けやすい性質を持っています。

 『フェロミア』の「クエン酸第一鉄」は、「硫酸鉄水和物」よりも吸収されやすいものに工夫・改良されたものです。
 この「クエン酸第一鉄」は、緑茶で服用したとしても治療効果には大きく影響しない、という報告がされています4,5)。

 4) 新薬と臨床.37:1030,(1988)
 5) 診療と新薬.26:1373,(1988)


 このことから、『フェロミア』と”常識的な量”の緑茶であれば、貧血治療に影響を与える可能性は低い、と言えます。



薬剤師としてのアドバイス:薬は水で飲むのが一番

 お茶での服用は、『フェロ・グラデュメット』のように吸収が低下する薬もあるため、よほど特別な事情がない限り、水で飲むことをお勧めします。

 また、濃いお茶には鉄剤の吸収に影響する「タンニン」だけでなく、睡眠や心機能に影響する「カフェイン」も多く含まれており、体調に影響を与える可能性があります。


 他にもお酒や牛乳、ジュースで薬を飲むと、吸収が悪化したり、思わぬ副作用の元になったりします。

 基本的に、よほどの事情がない限り薬は水で飲むようにしましょう。



+αの情報:貧血には、鉄を補給しても治らないものもある

 鉄は赤血球の材料になるため、材料不足で起こる貧血(鉄欠乏性貧血)には鉄剤が効果を発揮します。

 しかし、中には作られた赤血球を暴走した免疫が破壊してしまうもの(溶血性貧血)や、赤血球を作る骨髄に異常が起きているもの(再生不良性貧血)もあります。こういった貧血は鉄の補給だけでは効果がありません

 また、小児の貧血にはピロリ菌が関係している可能性もあります。

 長く続く貧血は、鉄の不足以外の原因を疑う必要があります。一度病院で検査を受けるようにしましょう。



 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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