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薬の誤解 貧血

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鉄をたくさん摂れば、貧血は治る?~貧血の3つの分類

回答:治らないものもある

 貧血のうち、鉄が不足して起こる「鉄欠乏性貧血」は、『フェロミア(一般名:クエン酸第一鉄)』などの鉄剤を補給することで改善します。

 鉄を摂ることはあくまで血液の「材料」を補給するだけで、作られた製品である「赤血球」のトラブルや、血液の工場である「骨髄」のトラブルにはあまり関係がありません。
貧血の分類
 鉄を摂っても良くならない場合、鉄不足以外の原因を疑う必要があります。一度病院で検査を受けることをお勧めします。

回答の根拠①:自分の赤血球を攻撃してしまう「溶血性貧血」

 「溶血性貧血」は、免疫システムが自分の赤血球を攻撃してしまうことによって起こり得る症状の1つです。通常、自分の赤血球は”敵”ではないため、免疫が攻撃することはありません。
 これが何らかのトラブルによって赤血球を”敵=抗原”と誤認してしまうと、赤血球に対する抗体が作られてしまいます

 こうした貧血の場合、いくら鉄を補給して赤血球の産生を促しても、作ったそばから抗体によって破壊されてしまいます。
 詳細な原因によって治療方法は様々ですが、免疫抑制剤やステロイド等を使用する必要があります。

回答の根拠②:骨髄の機能異常で起こる「再生不良性貧血」

 赤血球だけでなく、白血球や血小板は”骨髄”で作られています。この”骨髄”に何らかの異常が起きて、造血機能が働かなくなると、まともな赤血球が作られなくなり、貧血を起こします。

 この場合、赤血球だけでなく免疫に関わる白血球や、血液を固まらせる血小板なども影響を受けるため、感染症にかかりやすくなったり、血が固まりにくくなったりといった随伴症状も起こることがあります。

 薬の副作用で起きた場合には薬の中止を検討します。

薬剤師としてのアドバイス:鉄の補給で簡単に治らない場合は、別の原因を疑おう

 貧血は、出血が続いていても起こります。自覚症状がないまま胃潰瘍などを発症していた結果、その出血によって貧血を起こしているといったケースもあります。
 また、貧血の自覚症状は「起立性低血圧」とも非常によく似ているため、間違って認識しているケースも多々あります。

 鉄は食事などで補給することも可能ですが、それで改善が見られない場合には、一度病院で検査を受けるようにしましょう。

+αの情報①:腎臓が悪くなっても貧血になる

 赤血球を増やすホルモン「エリスロポエチン」は、腎臓で作られています。そのため、慢性腎臓病になると「エリスロポエチン」が減り、赤血球が作られなくなります。その結果、”腎性貧血”と呼ばれる貧血症状を起こします。

 腎性貧血に対しては、鉄を補給するだけでは改善せず、「エリスロポエチン」製剤による治療が必要です。特に鉄の補給だけで治療しようとすると”鉄過剰”の状態になりやすいため、過不足ない投与をしなければなりません。
 日本透析医学会が策定する「腎性貧血治療ガイドライン2015年版」では、鉄補充療法の強化や適応患者の拡大といった内容が新たに盛り込まれる予定になっています。

+αの情報②:子どもの貧血は、ピロリ菌が原因の可能性も

 10歳以上の年長児の、繰り返す鉄欠乏性貧血は、ピロリ菌の感染が原因である可能性があります1)。

 1) Helicobacter.4(2):135-9,(1999) PMID:10382128

 この場合、鉄剤を飲んでいる間は症状が改善するものの、薬を中止するとすぐに症状がぶり返す、といったケースが多く見られます。
 除菌によって根本的な解決が望めますので、一度病院で検査するようにしてください。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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