添付文書で「禁忌」とされているものは、全て使用できないのか?~絶対禁忌と原則禁忌の違い


回答:時と場合による

 使ってはダメ、ということを意味する「禁忌」には、大きくわけて以下の2種類の「禁忌」があります。

絶対禁忌:どんな状況であっても、例外なく絶対にダメ
原則禁忌:原則ダメ、ただし薬を使うことの有益性がリスクを上回る場合には、例外的に使うこともある

絶対禁忌と原則禁忌
 添付文書上では「禁忌」としか記載されていないため、絶対禁忌なのか原則禁忌なのかは個別に判断する必要があります。


 インターネット上で公開されている情報でも「禁忌」は「禁忌」としか記載されていません。そのため、ご自身が使われている薬を調べ、「禁忌」に該当することを知って驚かれる方も少なくありません。

 自分で使う薬について知識を深めることは重要ですが、薬の使い方には様々な例外があり、時と場合によって有益性やリスクは大きく変わることも併せて知っておく必要があります。



回答の根拠:有益性とリスクという判断基準は変動する

 ある薬を使わなければほぼ確実に死んでしまう、という状況になったとします。こういった場合は、少々リスクの高い薬であっても敢えて大胆に使用しなければなりません。

 一方、最近少し血圧が高いなあ、というような状況で、敢えてリスクの高い薬を使う必要はありません。


 このように、薬を使う有益性とリスクは、その時と場合によって大きく変わります。そのため、一言に「禁忌」と言っても、時と場合によって薬を使うかどうかの判断も変わることになります。



詳しい回答:添付文書上の「禁忌」が、「禁忌」でないケースもある

 ある薬でトラブルが起きたために、同じ系列の薬の添付文書にも全て「禁忌」として記載されることもあります。
 こうしたケースでは、添付文書上は「禁忌」となっていても、実際の評価は「禁忌」ではない、といったことも起こります。

 例えば、解熱鎮痛薬であるNSAIDsには、「アスピリン喘息」という副作用があります。そのため、全てのNSAIDsの添付文書には、アスピリン喘息を起こしたことのある人に対して禁忌、と記載されています。

 そのため、NSAIDsである『セレコックス(一般名:セレコキシブ)』も「アスピリン喘息」の患者には「禁忌」と記載1)されていますが、実際には常用量で安全に投与できることが確認されています2)。

 1) セレコックス錠 添付文書
 2) 日本アレルギー学会 「喘息予防・管理ガイドライン」 (2009)

 このように、画一的に記載された「禁忌」についても、なぜ「禁忌」とされているのかという背景を知る必要があります。



薬剤師としてのアドバイス:ルールには根拠となる理由がある

 学校でよくあるルールに、「廊下を走らない」というものがあります。
 これは、廊下を走っていると滑って転んだり、他の人と衝突したりする危険性があるからです。

 しかし、例えば暴漢に追いかけられている際には、このルールを破ってでも走って逃げる必要があります。これは、転倒や衝突のリスクよりも、暴漢から逃げる有益性の方が遥かに大きいからです。


 このように、ルールには定められる”理由”があります。

 薬の「禁忌」も、単に「禁忌」という結果だけを見て済ませてしまわずに、なぜ「禁忌」に設定されているのか、その理由を考えることが大切です。



 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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