『レパーサ』ってどんな薬?~「LDL受容体」と「PCSK9」、スタチンとの併用


回答:「LDL受容体」の分解を抑え、血中LDLを下げる抗体医薬品

 『レパーサ(一般名:エボロクマブ)』は、悪玉コレステロールとして知られるLDLを下げる薬です。

 血液中のLDLは、肝臓にある「LDL受容体」が肝臓内へ取り込んで処理しています。この「LDL受容体」は「PCSK9」という物質によって分解されます。
 『レパーサ』は、この「PCSK9」を阻害することによって「LDL受容体」の分解を抑えます。これによってLDLの分解が進むようになります。
レパーサ~PCSK9阻害

 通常、『レパーサ』は単独では使用せず、『クレストール(一般名:ロスバスタチン)』などの「スタチン製剤」と一緒に使います。



回答の根拠①:抗PCSK9モノクローナル抗体の効果

 『レパーサ』は「抗PCSK9モノクローナル抗体」と呼ばれる抗体医薬品で、抗体として「PCSK9」と特異的に結合します。
 『レパーサ』が結合した「PCSK9」は、「LDL受容体」と結合しなくなります。その結果、たくさんの「LDL受容体」が維持されるため、LDLの処理能力が高くなります1)。これを「LDL受容体のリサイクリンクが増加する」と表現します。

 1) レパーサ皮下注 インタビューフォーム



回答の根拠②:スタチン製剤との併用が条件

 『レパーサ』は単独では使用せず、『クレストール』などの「スタチン製剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)」と併用で使用するよう、注意書きがされています2)。
レパーサとスタチン
 2) レパーサ皮下注 添付文書

 そもそも、「スタチン製剤」だけでは効果が十分ではなく、心筋梗塞などの心血管イベントを起こすリスクの高い人の新たな選択肢として開発された薬です。そのため、既存の「スタチン製剤」に上乗せして使います。

 理論上は単独でも薬理作用を発揮する物質ですが、単独で使用した場合の有効性や安全性についてはデータがありません2)。



薬剤師としてのアドバイス:スタチンだけでは効果不十分だった人にとっての、新たな選択肢

 高コレステロール血症の治療は、『クレストール』などの「スタチン製剤」を使うのが主流です。

 ところが、この「スタチン製剤」だけでは十分に血中LDLが下がらない人も少なくありません。こうした人は、きちんと薬を飲んでいるにも関わらず、心筋梗塞などのリスクが高いままの状態になってしまいます。
 「スタチン製剤」はあまり量を増やすと「横紋筋融解症」などの副作用を起こすリスクもあり、安易に増量できません。

 こうした場合に、『レパーサ』は新たな治療の選択肢として重要な意味を持っています。



+αの情報:悪玉コレステロール(LDL)は、低い方が良い

 コレステロールの食事制限が撤廃されたことから、「もうコレステロールは気にしなくて良い」と勘違いしている人が少なくありません。
 これは、コレステロールは食事で減らすだけではなく、運動や生活習慣の改善など様々なアプローチが必要とされたからであって、コレステロール値は低い方が良いことに変わりはありません。
コレステロールの基準撤廃
 事実、悪玉コレステロールであるLDLの血中濃度が高いと、心筋梗塞や脳梗塞などの危険因子になります3)。そのため、基準値を越えている場合には下げる必要があります。

 3) Circ J.76(1):221-9,(2012) PMID:22094911



 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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