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薬の誤解 インフルエンザ

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インフルエンザに処方された『タミフル』は、副作用で異常行動を起こすから飲まない方が良い?

回答:タミフルの副作用ではない

 異常行動は、『タミフル(一般名:オセルタミビル)』が原因なのではなく、インフルエンザそのものが原因である、という結論が出ています。
タミフルと異常行動

 インフルエンザを発症している状態で、処方された薬を敢えて飲まないメリットは一切ありません。早めに薬を服用し治療することが、インフルエンザ脳症などの予防にも効果的です。

 

回答の根拠:異常行動との因果関係について

 『タミフル』の発売直後に、薬を服用した小児や未成年のインフルエンザ患者が、二階から飛び降りたり、車道に飛び出したりといった”異常行動”をとる、という事例が報道されました。
 これを受けて厚生労働省は2007年3月に、10歳以上の未成年患者に対しては『タミフル』を原則で使用を控えるよう注意喚起を出しました。

 この報道により、今でも「タミフル=異常行動」という強い印象がついています。

 しかし、厚生労働省が毎年行っている「インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動の情報収集に関する研究」において、以下のような報告がなされています1)。

1.異常行動の報告数は、インフルエンザ患者の発生状況とほぼ同様に推移しており、一定の確率で発生していることが推測される。
2.抗インフルエンザ薬を服用していない者にも異常行動が認められると共に、『タミフル』だけでなく、『リレンザ』や『イナビル』服用後の異常行動も確認された。

 1) 厚生労働省「インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動の情報収集に関する研究」

 これらを踏まえ、『タミフル』などの抗インフルエンザ薬が、異常行動の直接の原因になっているとは考えにくい、という結論に達しています。

 つまり、「異常行動」は薬の副作用ではなく、インフルエンザそのものによる意識障害等が原因であるというのが、現在の専門家の主な見解です。

薬剤師としてのアドバイス①:「異常行動」には十分な注意を

 「異常行動」は、インフルエンザそのものが原因となって起こり得ます。

 そのため、薬の有無や種類を問わず、小さなお子さんがインフルエンザに罹った際には、「異常行動」に対して十分に注意をする必要があります。

薬剤師としてのアドバイス②:薬は症状が現れてから48時間以内に

 『タミフル』等のインフルエンザの薬は、発症から48時間以内に服用する必要があります。これは、『タミフル』等の薬はウイルスが増殖するタイミングで効果を発揮するため、既に増殖してしまったウイルスに対しては効果が無いからです。
 そのため、薬を処方された初日には、できるだけ早く薬物治療を開始できるように服用のタイミングを工夫する必要があります。

薬剤師としてのアドバイス③:重症化を防ぐために

 インフルエンザの時に、解熱鎮痛薬として『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』などのNSAIDsを使用すると、「インフルエンザ脳症」などの合併症を引き起こす恐れがあります
 安全に使用できる解熱鎮痛薬として、『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』を使用する必要があります。

 家に薬があるからといって、安易に自己判断で薬を使わないようにしてください。

 また、重症化を防ぐためには予防接種も有効です。小さなお子さんや高齢者など、重症化のリスクが高い人はなるべく予防接種を受けることをお勧めします。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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