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知っておくべきこと 子どもの薬

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子どもが家族の薬を誤飲してしまったとき、医師・薬剤師に伝えるべき3つのこと


 子どもと薬のトラブルで最も多いのは、「家族に処方されている薬を、子どもが誤飲してしまった」というものです。
 薬の誤飲は、タバコの誤飲と並んで頻発するトラブルです。子どもが薬を誤飲してしまった時にはどういった対応をすれば良いのか、いざという時の対応を予め知っておく必要があります。

 また、飲み込んだ異物によっては、必ずしも「吐く」ことが得策ではないことも知っておきましょう

まず、何をすべきか

 誤飲してしまった薬の種類によっては、生命に関わる恐れがあります。しかし、経過を観察し、特に体調に異変がなければ何の影響もない薬もあります。
 まずは薬局・病院へ連絡し、その後の対応について指示を仰ぐことをお勧めします。その際には以下の3点を伝えるようにしてください。

①何を飲みこんだのか(誤飲した薬を特定しているか、シートごと飲みこんでいないか等も含めて)
②いつ飲みこんだのか?
③今の体調、様子は?

 飲みこんでしまった薬が特定できていれば、医師・薬剤師からも具体的な対応を教えてもらえますので、まずはトラブルの内容を正確に伝えましょう。

 何の薬を飲みこんでしまったかわからない場合には、受診する際に手持ちの薬を一通り持っていくことをお勧めします。

①誤飲した薬を特定する

 例えば、糖尿病の薬を誤飲してしまった場合には、急激な低血糖を起こす恐れがあり、これは生命に直結するような緊急のケースです。ブドウ糖を補給しながら救急車の到着を待つ等、緊急の対応が必要である可能性もあります。
 一方、抗アレルギー薬を誤飲してしまった場合には、眠気が強く出てフラフラする恐れはありますが、体調に大きな変化がなければ、救急車を呼ぶほどのケースではないことがほとんどです。

 薬の種類によって、その後の対応も大きく異なってきますので、まずは誤飲した薬を特定することが大切です。

喉に詰まっていないかどうかを確認する

 大きなカプセルや錠剤を飲みこんでしまった場合、喉にひっかかって詰まっている可能性もあります。吸収されてしまう前に吐き出すことができれば、薬の副作用が起こる心配はありません。

 しかし、薬のPTPシートごと飲みこんでしまった場合には、シートで食道などに傷がつく恐れもあるため、必ずしも吐くことが良いとは限りません。

②いつ飲みこんだのか?

 いつ薬を誤飲したのか、によっても対応は変わります。

 薬には、体内に入ってから何分くらいで血液中に吸収され、効果が現れるのか、といった体内動態データがあります。
 これを元に、副作用が出るとすればいつ頃か、何時ころまで気を付けるべきか、といった目安を立てることもできます。正確な時刻までとは言いませんが、12時過ぎくらい、といった程度の時間を伝えられると良いでしょう。

 また、実際に誤飲したのは1週間ほど前で、薬が足りなくなって気付く、というケースもあります。

 飲んでから1週間以上も効果が続く薬はほとんど存在しません。薬の成分は既に身体の外に出てしまった後です。今の体調に異変がなければ、再発を防ぐ以外に、特に今さら何か気を付けるべきことはありません。

③今の体調に変化は?

 誤飲した薬による影響が既に出始めている場合、一刻も早いファーストエイドが必要なケースもあります。

 例えば糖尿病の薬を誤飲してしまった場合、冷や汗や震えなど、低血糖の兆候があればブドウ糖を補給する必要があります。
 このように、誤飲した薬の特定ができていれば、今後起こり得る体調の変化も、ある程度は予測が可能です。

例えば、どんな健康被害が起こり得るのか?

 薬局で実際に相談を受けたケースを紹介します。

ケース①:母親の『ザイザル(一般名:レボセチリジン)』の錠剤を、子どもが飲んでしまった

 誤飲した直後に相談の電話がありました。
 『ザイザル』という薬は、小児用のシロップも販売されており、薬としては子どもが飲んでしまっても問題はありません。しかし、大人用の錠剤を飲んでしまった場合には、明らかに用量オーバーです。

 この場合、最も起こり得るのは、副作用として「眠気」が強く出るケースです。「眠気」は急に現れる恐れもあるので、例えばこのあとお子さんが自転車に乗ってどこかへ出かける可能性がある場合や、アスレチックなどで高所に登る可能性がある場合には、中止するか、普段より注意深く観察するなどの対応をお勧めします。

 用量よりも多く服用してしまっているため、他にも稀な副作用が起こる可能性は十分に考えられます。この「眠気」による事故に注意しながら経過を観察し、何か体調に変化があれば早めに受診するよう伝えます。

 薬の効果は1日以上続きませんので、翌朝まで様子を見て、特に問題なければそれでおよそ大丈夫でしょう、ということになります。

ケース②:父親の『モーラス(一般名:ケトプロフェン)テープ』を子どもが額に貼ってしまった

 おでこに貼って遊んでいるのを見つけた時点で、相談がありました。気が付いたら貼ってあった、とのことで、いつから貼ってあったのかはわかりませんでした。『モーラステープ』自体は痛み止めですので、子どもが貼ってしまっても特に大きな問題はありません。

 しかし、このモーラステープには「光線過敏症」という副作用があります。テープを貼った部分に直射日光を浴びると、かぶれや腫れを起こす恐れがあります。
 この副作用はテープを剥がしてから1ヶ月後でも起こり得るので、剥がしたから安全、というわけでもありません。額は直射日光にとても当たりやすい部分ですので、しばらくは帽子をかぶる等、直射日光を避けるようアドバイスします。

 もし痒みや腫れの兆候があれば、すぐに皮膚科を受診し、その際には『モーラステープ』を貼っていたことがある旨を伝えるようお伝えします。

 

ケース③:フリスクと間違って『デパス(一般名:エチゾラム)』をたくさん食べていた

 『デパス』は、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬に分類される薬で、大量に飲むと非常に危険です。

 お話を伺った時点では、まだ薬の影響は出ておらず元気にしているとのことでしたが、誤飲した薬が特定できていたこと、それが大量であったことを踏まえて、すぐに救急通報することをお伝えします。必要に応じて病院でベンゾジアゼピン系の解毒薬投与や、胃洗浄を行う必要があります。

 幸い大事には至らず、またすぐ元気に来局されましたが、肝を冷やしたケースです。

最後に

 薬は、錠剤やカプセルなど色とりどりで、子どもから見ればお菓子のように見えます。また、吸入器や注射器といったキットも、楽しいおもちゃのように見えます。

 小さなお子さんの手の届かないところへ保管するのが大原則です。

 しかし、手が届かない場所に保管しておいても、椅子などを使って手にしてしまうケースも多発しています。「薬は勝手に使うと危険なものである」ということを、日頃から教えてあげるようにしましょう。

異物やたばこを誤飲した時は、専用の相談電話もある

 医薬品ではなく、異物やたばこを誤飲した際には、専用の電話「中毒110番」や「たばこ誤飲専用電話」等でも対応を相談できますので、いざという時のために知っておきましょう。

※中毒110番 市民専用電話
 大阪  :072-727-2499(365日24時間対応)
 つくば:029-852-9999(365日9~21時対応)

※たばこ誤飲事故専用電話
 072-726-9922(365日24時間対応)

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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