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抗生物質 似た薬の違い

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『オーグメンチン』と『サワシリン』、同じ抗菌薬の違いは?~「クラブラン酸」の配合と併用の目的

回答:『オーグメンチン』には「クラブラン酸」が配合され、より広い菌種に効果がある

 『オーグメンチン(一般名:アモキシシリン+クラブラン酸」)』と『サワシリン(一般名:アモキシシリン)』は、どちらも細菌を退治するペニシリン系の抗菌薬です。

 『オーグメンチン』は、『サワシリン』に「クラブラン酸」を配合した薬です。
 「クラブラン酸」は、一部の細菌が作る”薬を分解してしまう酵素”を無力化します。そのため、『オーグメンチン』であれば、『サワシリン』が効きにくい細菌に対しても効果を期待できます。

 「アモキシシリン」の量だけを増やすために、『オーグメンチン』に『サワシリン』を追加して使うこともあります。

 

回答の根拠①:『オーグメンチン』に配合されたβ-ラクタマーゼ阻害剤「クラブラン酸」の目的

 「アモキシシリン」は色々な細菌を退治できるペニシリン系の抗菌薬ですが、一部の細菌は、薬を分解・無力化してしまう「β-ラクタマーゼ」という酵素を作って身を守っています。こうした細菌に対して、「アモキシシリン」では十分な効果は得られません。

 しかしこのとき、「β-ラクタマーゼ」の阻害剤である「クラブラン酸」を一緒に使うことで、「アモキシシリン」の分解・無力化を防ぐことができます1)。『オーグメンチン』は、この「クラブラン酸」を「アモキシシリン」と一緒に配合し、「アモキシシリン」だけでは退治しにくい細菌にも効果を得られるようにした製剤です2)。

 なお『オーグメンチン』では、「アモキシシリン」と「クラブラン酸」が2:1の比率になっていますが、これは最も抗菌力が高くなる配合とされています2,3)。

※オーグメンチン配合錠の有効成分
配合錠125SS:「アモキシシリン」125mg+「クラブラン酸」62.5mg
配合錠250RS:「アモキシシリン」250mg+「クラブラン酸」125mg

1) Drugs.22(5):337-62,(1981) PMID:7037354
2) オーグメンチン配合錠 インタビューフォーム
3) J Antimicrob Chemother.5(6):705-9,(1979) PMID:395156

 

回答の根拠②:「アモキシシリン」だけを増量するために『オーグメンチン』と『サワシリン』を併用することがある

 「アモキシシリン」は、市中肺炎や中耳炎、副鼻腔炎などに対して1日1,500~2,000mgという高用量で使うことがあります。

 しかし、『オーグメンチン』には「アモキシシリン」1,000mgまでの使い方しか保険適用がありません2)。また、「クラブラン酸」も量が増えると下痢をしやすくなる4)、肝臓に負担をかけやすくなる5)といったデメリットがあるため、過量摂取には注意が必要です。

 そのため、『オーグメンチン』に『サワシリン』を追加し、「アモキシシリン」の量だけを増やすという方法がとられることがあります6)。

4) CMAJ.187(1):E21-31,(2015) PMID:25404399
5) J Antimicrob Chemother.dkae009,(2024) PMID:38297994
6) Antimicrob Agents Chemother.47(10):3179-86,(2003) PMID:14506028

 

薬剤師としてのアドバイス:抗菌薬を”自己流”で使うと、耐性菌が増えてしまう

 抗菌薬を処方されたとき、症状が治まったら薬を途中で止めてしまう人は非常に多いです。
 しかし、抗菌薬による治療を途中で辞めると、薬の効きにくい細菌だけを選んで生き残らせることになるため、これは薬が効かない「耐性菌」を生み出す最大の原因になります。

 中には、”次に熱が出た時のため”に抗菌薬を置いておく、という人も居ますが、こうした中途半端な抗菌薬の使い方も「耐性菌」を生むリスクです。また、そもそも抗菌薬は感染症の原因となっている細菌の種類によって厳格に使い分ける必要があるため、前回と今回で同じ薬が合っているとも限りません。
 特に、こうした自己流の使い方をした場合、もし大きな副作用が起きても「医薬品副作用被害救済制度」の対象外になってしまいます。

 そのため、抗菌薬は医師・薬剤師の指示通りに、用法用量を守って服用し、よほどの事情がない限りは最後までしっかりと飲み切ることを強くお勧めします。

 また、風邪のときに抗菌薬を欲しがる人は多い7,8)ですが、風邪は基本的にウイルスによるもののため、細菌を退治する抗菌薬を使っても何も効果はありません9)。こうした不必要な抗菌薬の濫用も「耐性菌」を増やす原因になるため、注意してください。

※「耐性菌」の原因になる、間違った抗菌薬の使い方
・症状が治まったら、途中で服用を中断する
・指示された飲み方とは異なる方法にアレンジして薬を服用する
・余っている抗菌薬を、熱が出たときなどにちょっと飲んでみる
・自分に処方された薬を、家族にも分けてあげる
・風邪なのに抗菌薬を処方してもらって服用する

7) Pharmacy (Basel).11(1):12,(2023) PMID:36649022
8) PLoS One.13(11):e0207017,(2018) PMID:30395640
9) Cochrane Database Syst Rev.10(10):CD004417,(2023) PMID:37791590

 

ポイントのまとめ

1. 『オーグメンチン』=『サワシリン(アモキシシリン)』+β-ラクタマーゼ阻害薬「クラブラン酸」
2. 『オーグメンチン』であれば、ペニリシンを分解してしまう”β-ラクタマーゼを作る細菌”にも有効
3. 「クラブラン酸」による下痢などの副作用を避けるため、「アモキシシリン」だけを増量することがある

 

 

薬のカタログスペックの比較

 添付文書、インタビューフォーム、その他の資料の記載内容の比較

アモキシシリン+クラブラン酸アモキシシリン
先発医薬品名オーグメンチンサワシリン
薬効分類ペニシリン系の抗菌薬ペニシリン系の抗菌薬
基本的な用法1日3~4回1日3~4回
国際誕生年1981年1972年
妊娠中の安全性評価オーストラリア基準【B1】オーストラリア基準【A】
授乳中の安全性評価MMM【L1】
世界での販売状況世界各国世界各国
剤型の規格配合錠(125SS,250RS)
※小児用のドライシロップ剤は『クラバモックス』
錠(250mg)、カプセル(125mg,250mg)、細粒(10%)
先発医薬品の製造販売元グラクソ・スミスクラインLTLファーマ
同成分のOTC医薬品(販売されていない)(販売されていない)

 

+αの情報①:子ども用の『クラバモックス』も、「アモキシシリン」と「クラブラン酸」の配合薬

 「アモキシシリン」と「クラブラン酸」の組み合わせは、小児の中耳炎治療などでもよく使います。

 ただし、その主な原因となる肺炎球菌やインフルエンザ菌に対しては、「アモキシシリン」と「クラブラン酸」の比率は2:1でも14:1でも効果に違いはない10)ことがわかっています。そのため、小児用の配合剤である『クラバモックス』では、「クラブラン酸」の量が少ない14:1の配合になっています11)。

10) 新薬と臨床.54(9):1056-72,(2005)
11) クラバモックス小児用配合ドライシロップ 添付文書

 

+αの情報②:ペニシリン系の抗菌薬は、多くの場面で”第一選択”になる薬(AwaRe分類)

 抗菌薬には色々な種類のものがありますが、WHO(世界保健機関)は耐性リスクを踏まえて、「優先的に選ぶもの(Access)」「限定的に使うもの(Watch)」「温存しておくもの(Reserve)」の3つに分類するAwaRe分類を提唱しています。
 「アモキシシリン」は、このうち一般的な感染症に対する”第一選択薬”として優先的に使う「Access」に位置づけられている薬です。

※抗菌薬のAwaRe分類

Access一般的な感染症に対する”第一選択薬”アモキシシリンなどのペニシリン系抗菌薬
Watch耐性化が懸念されるため、限定的に使うべきものセフジトレン、セフカペン、テビペネム、レボフロキサシン、クラリスロマイシンなど
Reserve最後の切り札として温存しておくべきものリネゾリドなど

 しかし、特に子どもの場合、薬の”味”も重要な要素になる12,13)ため、より服用しやすい「セフジトレン」や「セフカペン」など「Watch」に分類される薬が使われがちです。
 確かに、どうしても服用が難しい場合にはこうした選択も考えることになりますが、その際にはやや高い耐性リスクを伴うことになります。また、「セフジトレン」や「セフカペン」、「テビペネム」といったピボキシル基が付加された抗菌薬では、低カルニチン血症に伴う低血糖のリスク14)にも注意が必要です。

 抗菌薬が飲みにくい場合でも、まずはジュースやアイスクリームと混ぜる工夫を試すなど、できるだけ「Access」に分類される「アモキシシリン」で治療できるように努め、安易に”味”の問題だけでは薬を変更しない15)ことをお勧めします。

12) 小児科診療.63(11):1692-1704,(2000)
13) Ugeskr Laeger.160(15):2249-52,(1998) PMID:9599520
14) J Infect Chemother.26(1):86-91,(2020) PMID:31401031
15) 京都薬科大学紀要.2(1):74-77,(2021)

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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