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抗生物質 薬の誤解

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子どもの抗生物質が変更になった、きつい薬に変わった?~抗生物質の強さの概念

回答:抗生物質は強い・弱いではなく、原因菌の種類によって使い分ける

 抗生物質は、一つの薬が全ての細菌に効くわけではなく、それぞれ自分が得意とする特定の細菌しか退治できません。
 そのため、抗生物質は感染症の原因となっている細菌の種類によって使い分けます
抗生物質の選び方
 このことから、抗生物質が変更になった場合には、強い・きつい薬に変わったというよりは、その感染症の原因菌に特化した薬に変わったと考えるのが妥当です。

 ただし、最初に使われる抗生物質は下痢などの副作用が少ないものが多いため、弱い・やさしい薬から、強い・きつい薬へと変更になったと感じる場合があります。

回答の根拠:抗生物質の抗菌力は、細菌の種類ごとに変わる

 痛み止めの場合、『カロナール』<NSAIDs(『ロキソニン』<『ボルタレン』)<「弱オピオイド」<「強オピオイド」・・・といったように、鎮痛効果に強弱の差があります。

 この順序は、痛みの原因が外傷であろうと頭痛であろうと癌であろうと、変わることはありません。 
痛み止め~強弱の順序は変わらない

 しかし、抗生物質は一つの薬が全ての細菌に効くわけではなく、自分が得意とする特定の細菌しか退治することはできません。
 例えば、細菌の細胞壁合成を邪魔することで抗菌力を発揮する「ペニシリン系」の抗生物質は、元から細胞壁を持たない「マイコプラズマ属」の細菌には効きません。
ペニシリン系の抗生物質~細胞壁に作用
 「マイコプラズマ属」の細菌には、細胞壁とは別の場所に作用する「マクロライド系」の抗生物質を使う必要があります。
 しかし、「マクロライド系」が「ペニシリン系」よりも常に強力というわけではなく、単に得意・不得意(抗菌スペクトル)が異なるだけです。細菌の種類によっては、「ペニシリン系」の方がよく効くこともあります。

 つまり、抗生物質の抗菌力は、細菌の種類ごとに個別に変わる、ということです。

抗生物質を切り替える理由

 同じ抗生物質を使い続けていると「耐性菌」を生む原因にもなるため、数日使って効果がないようであれば、別の抗生物質に切り替えます(※入院が必要な特殊な感染症は除く)。

 例えば、子どもの中耳炎や副鼻腔炎は「肺炎球菌」と「インフルエンザ菌」が主な原因であることがわかっています。そのため、これらの菌に効果のある抗生物質を以下のような順序で切り替えて使います1)。

※子供の中耳炎治療で使う抗生物質と、その順序の例
1次治療:『サワシリン(一般名:アモキシリン)』
2次治療:『オラペネム(一般名:カルバペネム)』
3次治療:『オゼックス(一般名:トスフロキサシン)』

 1) 日本感染症学会 「JAID/JSC 感染症治療ガイド(2014)」

 このように、抗生物質を使う優先順位は感染症・原因菌ごとにある程度の基本が決まっているため、これに基づいて抗生物質が変更になることがあります。

薬剤師としてのアドバイス:抗生物質は、元気になっても途中で飲むのを止めない

 抗生物質は、症状が治まったからといって止めて良い薬ではありません。
 中途半端な使い方をすると「耐性菌」が生まれ、次から薬が効きにくくなる恐れがあるため、処方された薬は必ず最後まで飲み切るようにしてください。

 ただし、酷い下痢をしているような場合には、自己判断で止めたり無理に飲み切ろうとしたりせず、一度主治医と相談するようにしてください。

+αの情報:抗生物質の飲み薬は市販されていない

 抗生物質は適切に選ぶことが非常に難しく、更に間違って使うと「耐性菌」の原因にもなり危険なため、市販薬としては販売されていません
 ネット販売などで個人輸入できるようなWebサイトもありますが、処方箋医薬品を不適切な方法で入手して使った場合の副作用は、何の補償もしてもらえません

 自己判断で使っても、きちんと治療できないばかりか「耐性菌」が生まれるリスクになり、更に副作用が出ても何の補償も受けられないと、全くメリットがないためお勧めはしません。
 

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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