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喘息治療薬 副作用

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喘息の吸入薬、”うがい”が必要なのは何故?~「ステロイド」と「β2刺激薬」で異なる理由

回答:それぞれ、別の副作用を予防するため

 喘息の吸入薬のうち、「ステロイド」と「β2刺激薬」の吸入薬は「うがい」が必要です。どちらも吸入した際、口や喉に薬が付着します。これを放置すると副作用を起こす恐れがあります。

 「ステロイド」の成分が口や喉に付着したまま放置すると、口の中に真菌(カビ)が繁殖する、声が嗄れるといった副作用が起こる恐れがあります。

 気管支を広げる「β2刺激薬」の成分が口に付着したまま放置すると、口の粘膜から吸収されたり飲み込んだりして全身に作用する恐れがあります。
吸入薬とうがい
 いずれも副作用を予防するため、吸入後には必ず口の中と、喉とを「うがい」をするようにしてください。

回答の根拠①:「嗄声」と「口腔内カンジダ」の副作用

 「ステロイド」吸入薬で最も多い副作用が、口の中に真菌(カビ)が繁殖する「口腔内カンジダ」と、声が嗄れる「嗄声」です。

※吸入薬『フルタイド(一般名:フルチカゾンプロピオン酸エステル)』の主な副作用 1)
咽喉頭の不快感(2.2%)、口腔内カンジダ(0.7%)、嗄声(0.7%)、口内乾燥(0.7%)

 1) フルタイドディスカス 添付文書

 しかしこれらの副作用は、吸入薬を使った後に「うがい」をすることで大半を予防することができます。このとき、口の中をゆすぐだけでなく、喉も洗い流すような「うがい」をすることが必要です。

「口腔内カンジダ」とは

 吸入薬を使用すると、口の中にも薬が付着してしまいます。
 肺への到達率が高いと言われる『オルベスコ(一般名:シクレソニド)』を正しく使用したとしても、38%程度の薬が口に残ることが報告されています2)。

 2) J Aerosol Med.19(2):117-26,(2006) PMID:16796536

 「ステロイド」は過剰な免疫反応(アレルギーや炎症)を抑える薬です。「ステロイド」の成分が口の中に付着したまま放置されると、口の中の免疫力が低下し、普段は繁殖しないような真菌(カビ)が繁殖してしまうことになります。

「嗄声」とは

 「嗄声」の原理にはいくつか説がありますが、「ステロイド」が声帯に付着することで、局所的なステロイド筋症(ミオパチー)が起こる可能性が示唆されています3)。

 3) 「日本医事新報」106-107,(2002)

 声が出しにくく不快な副作用ですが、放置しても特に大きな障害にはつながりません。
 また、薬を中止すればすぐに元に戻ります。しかし、薬を中止すると喘息が悪化する恐れがあるため、通常は”うがい”を徹底させるか、薬を減量・変更するといった対応をします。

 高齢になればなるほど「嗄声」の出現率が高くなることも報告されています4)。様々な要因が考えられますが、高齢者ほど上手に”うがい”できない、という可能性も十分に考えられます。

 4) 第17回日本アレルギー学会 (2005)

回答の根拠②:「β2刺激薬」の全身作用

 β受容体は心臓をはじめ様々な組織に存在しているため、「飲み薬」を使うと血液中に吸収されて全身をめぐるため、動悸や手の震えなど様々な副作用を引き起こす恐れがあります。

 「吸入薬」は必要な気管支でだけ作用させ、副作用を減らすことができる薬ですが、口の粘膜に薬が残ったまま放置していると、粘膜から薬が吸収されてしまうことがあります。
 特に、飲み込むのではなく口の粘膜から吸収された場合、肝臓を通らず直接全身を巡るため、副作用は起こりやすくなります。

 こうした予期せぬ全身作用を防ぐために、口の中に残った薬は「うがい」によって洗い流す必要があります。
 

薬剤師としてのアドバイス:「うがい」が難しければ食前に吸入を

 小さなお子さんや高齢者は「うがい」をすることが難しいこともあります。

 そういった場合に、特に時間帯の指示がなければ、食前に吸入することをお勧めしています。
 吸入後、食事をすればその時の飲食によって口や喉に付着した薬はとれてしまうため、実質的には「うがい」と同じ効果が得られます。

 もし口に違和感が出てきたとしても、それによって重篤な障害につながることはありません。
 しかし、喘息の吸入薬を中止すると呼吸困難などの重篤な症状を招く恐れもあります。絶対に自己判断で吸入薬を中止しないようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 「ステロイド」の吸入薬を使った後は、口腔内カンジダや嗄声を防ぐために「うがい」をする
2. 「β2刺激薬」の吸入薬を使った後は、全身作用を防ぐために「うがい」をする
3. 「うがい」が難しい場合は食前吸入がオススメ、「うがい」できないからと吸入を中断しない

+αの情報:吸入ステロイドでは全身の副作用は起きない

 吸入のステロイド薬は、内服のステロイド薬と比べて使用量も単位が異なるほどに少なく、肺や気管支だけで作用するため全身の副作用を起こさないのが特徴です。

※同じ吸入ステロイドと内服ステロイドの1日使用量
吸入薬『シムビコート』・・・通常量の1日2吸入した場合「ブデソニド」として160μg
内服薬『ゼンタコート』・・・通常量の1日1Capで9mg=9,000μg

 また、そのごく少量も多少は吸収されることもありますが、全身を巡る前に90~99%が肝臓で分解されてしまうため、全身で作用することは通常起こりません5)。
吸入ステロイドの全身作用
 5) 日本呼吸器学会雑誌.44(3):151-9,(2006) PMID:16617856

 

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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