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似た薬の違い 胃粘膜保護薬

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『セルベックス』と『ムコスタ』、同じ胃薬の違いは?~適応症も同じ胃粘膜保護薬、頓服時の選び方

回答:ほとんど同じ使い方をするが、『ムコスタ』は食事の影響を受けない

 『セルベックス(一般名:テプレノン)』と『ムコスタ(一般名:レバミピド)』は、どちらも胃粘膜を守る胃薬です。

 細かい作用は異なりますが、「胃粘膜を守る」という同じ目的で使い、胃炎や胃潰瘍といった適応症、1日3回という用法も同じです。特に目立った優劣も報告されていないため、厳密な使い分けは必要ありません。
 セルベックスとムコスタ2
 ただし、『ムコスタ』は食事の影響を受けないため、『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』などの頓服の痛み止めと併せて使う場合には適しています。

回答の根拠①:共通の適応症と、効果の優劣

 『セルベックス』と『ムコスタ』はどちらも「胃粘膜保護薬」に分類される薬で、胃薬としての作用はPPIやH2ブロッカーといった「胃酸分泌抑制薬」よりもやさしめです。
胃粘膜保護薬と胃酸分泌抑制薬
 『セルベックス』と『ムコスタ』、どちらの治療効果がより高いのか、といった優劣を比較した臨床試験は今のところありません。2つとも適応症も同じため、厳密な使い分けは必要ありません。

※『セルベックス』の適応症 1)
急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫)、胃潰瘍

※『ムコスタ』の適応症 2)
急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫)、胃潰瘍

 1) セルベックスカプセル 添付文書
 2) ムコスタ錠 添付文書

回答の根拠②:食事の影響と用法

 『セルベックス』を空腹時に服用すると吸収が悪くなり、健康な人でも23%、胃潰瘍の人では98%もAUC(血中濃度曲線下面積)が低下することがわかっています3,4)。
 しかし、『ムコスタ』は食事の影響を受けることはありません5)。
セルベックスとムコスタ~食事による影響
 3) セルベックスカプセル インタビューフォーム
 4) Int J Clin Pharmacol Ther Toxicol.21(6):267-70,(1983) PMID:6885198
 5) ムコスタ錠 インタビューフォーム

 これらの点から、『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』など痛み止めの頓服薬と併せて使う場合には、食事の影響を受けない『ムコスタ』の方が適しています。

 ただし厳密には、NSAIDsによる胃腸障害には『サイトテック(一般名:ミソプロストール)』『ネキシウム(一般名:エソメプラゾール)』など、保険適用のある薬を使う必要があります。
 また、そもそも『ロキソニン』などのNSAIDsは、できるだけ空腹時の服用を避ける必要があるため、食後の服用を心がけるのであれば『セルベックス』でも問題ありません。

薬剤師としてのアドバイス:痛み止めと一緒に持ち歩くことを忘れない

 『セルベックス』や『ムコスタ』は、痛み止めの副作用防止のために処方されることがよくあります。

 痛み止めを常備薬として持ち歩く場合、一緒に処方された『セルベックス』や『ムコスタ』まできちんと持ち歩く人は多くありません。しかし、たかが痛み止めと侮っていると、胃の粘膜が荒れたり、最悪の場合は胃潰瘍を起こしたりする恐れもあります。

 必ず、一緒に処方された胃薬は痛み止めと一緒に持ち歩くようにしてください。もし胃薬を忘れた場合には、痛み止めはできるだけ空腹の状態では飲まず、何か一口食べてから飲むことをお勧めします。

ポイントのまとめ

1. 『セルベックス』と『ムコスタ』は、同じくらいの効果で目立った違いはない
2. 『ムコスタ』は食事の影響を受けないので、飲むタイミングを気にする必要がない
3. 痛み止めと併せて処方された場合、一緒に持ち歩くことを忘れない

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆薬効分類
セルベックス:胃炎・胃潰瘍治療剤
ムコスタ:胃炎・胃潰瘍治療剤

◆適応症
セルベックス:急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫)、胃潰瘍
ムコスタ:急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫)、胃潰瘍

◆用法
セルベックス:1日3回、食後
ムコスタ:1日3回(※胃潰瘍の場合は朝・夕・就寝前)

◆食事によるAUCへの影響
セルベックス:空腹時に服用すると、AUCが23%低下
ムコスタ:空腹時に服用すると吸収は早まるが、AUCには影響しない

◆剤型の種類
セルベックス:カプセル、細粒
ムコスタ:錠剤、顆粒 (※ドライアイ治療の点眼液もある)

◆製造販売元
セルベックス:エーザイ
ムコスタ:大塚製薬

+αの情報①:H2ブロッカーとの併用による効果の上乗せ

 胃潰瘍に対して『セルベックス』とH2ブロッカー(※シメチジンを除く)を併用した場合、ある程度の上乗せ効果が得られることが報告されています6)。

 一方、『ムコスタ』はH2ブロッカーと併用しても上乗せ効果は期待できないことが報告されています7)。

 6) Clin Ther.17(5):924-35,(1995) PMID:8595644
 7) 新薬と臨牀 .44(5):829 -840,(1995)

+αの情報②:『ムコスタ』の胃粘膜保護にとどまらない、多面的な効果

 『ムコスタ』には、酸化ストレス(フリーラジカル)を抑制する効果を持ち、ピロリ菌やNSAIDsが原因の胃粘膜傷害にも効果があることが示唆されています8,9)。
 また、最近では小腸粘膜の病変を予防する効果も報告され10)、単純な胃粘膜保護薬ではない多面的な効果が期待されています。

 8) Eur J Pharmacol.212(1):9-13,(1992) PMID:1313372
 9) Gut.35(10):1375-8,(1994) PMID:7959190
 10) J Gastroenterol.49(2):239-44,(2014) PMID:23595613

 ただし、ピロリ菌を除菌するためには抗生物質を使う必要があり、またNSAIDsによる胃粘膜傷害に対する保険適用もまだないことに注意が必要です。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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