『バイアグラ』・『レビトラ』・『シアリス』、同じED治療薬の違いは?~値段・速効性・持続性の比較
記事の内容
回答:安価な『バイアグラ』、速く効く『レビトラ』、長く効く『シアリス』
『バイアグラ(一般名:シルデナフィル)』、『レビトラ(一般名:バルデナフィル)』、『シアリス(一般名:タダラフィル)』は、いずれもED(勃起不全)の治療薬です。
値段が安いのは『バイアグラ』、速く効くのは『レビトラ』、長く効くのは『シアリス』です。

効果や副作用の現れ方には個人差や心理的要因も大きいですが、こうした需要に合わせて薬を選ぶこともできます。
なおED治療薬では、正規のルートではない個人輸入などで入手した粗悪品による健康被害も報告されています。薬を使う場合は、必ず医師から処方してもらうようにしてください。
回答の根拠①:最も歴史のある「シルデナフィル」~安価に使える選択肢
「シルデナフィル」、「バルデナフィル」、「タダラフィル」は、どれも同じPDE-5阻害薬で、基本的な効果や安全性はほとんど変わりません1,2)。
ED治療薬は、不妊治療を目的に用いる以外は保険適用外となるため、それぞれの医院や薬局が独自に価格を設定しますが、最も古くから使われている「シルデナフィル」は最も安価な値段設定をされる傾向にあります。
また、先発医薬品の『バイアグラ』には今でもED治療薬の代名詞としてのネームバリューがあるため、これが心理的な付加価値となって選ばれることもあります。
※ED治療薬の価格の目安
シルデナフィル:25mg(900~1,100円)、50mg(1,200~1,400円)
バルデナフィル:5mg(1,000~1,200円)、10mg(1,300~1,500円)、20mg(1,500~2,000円)
タダラフィル :5mg(1,100~1,400円)10mg(1,300~1,600円)、20mg(1,500~2,200円)
1) BMC Urol.5:18,(2005) PMID:25817916
2) Int Urol Nephrol.49(10):1731-1740,(2017) PMID:28741090
「シルデナフィル」には、持ち運びしやすい「ODフィルム剤」がある
「シルデナフィル」には水無しで飲める「ODフィルム」という製剤があります3)。これは従来の錠剤よりも持ち運びしやすく、どこでも簡単にすぐ服用できるため、非常に使いやすい薬と言えます。
3) バイアグラODフィルム インタビューフォーム
回答の根拠②:速効性に優れた「バルデナフィル」~相互作用リスクには注意
基本的に、ED治療薬は服用から効果が現れるまで30分ほどかかるものが多いですが、「バルデナフィル」は服用から最速10~15分程度で効果が現れる、速効性に優れた薬です4,5)。ED治療薬に”効果の速さ”を求める人は多い6)ため、そういった需要によりマッチした薬と言えます。

※効果発現時間(インタビューフォーム記載)
シルデナフィル:約27分
バルデナフィル:10~15分
タダラフィル :約26分
ただし、「バルデナフィル」が最も強力に作用が現れるのは服用から60~90分後のため4)、可能であれば必要時の1時間前くらいに飲んでおくのが一般的です。
4) レビトラ錠 インタビューフォーム
5) Clin Cardiol.27(4 Suppl 1):I14-19,(2004) PMID:15115191
6) Eur Urol.49(5):900-7; discussion 907,(2006) PMID:16564126
「バルデナフィル」には、併用禁忌の薬が多い
ED治療薬の基本的な安全性には大差ありませんが、「バルデナフィル」は代謝酵素「CYP3A4」を阻害する薬や、クラスⅠA・クラスⅢの抗不整脈薬と併用禁忌に指定されている2)など、相互作用リスクには特に注意が必要な薬です。
※併用禁忌の薬
シルデナフィル:硝酸薬、アミオダロン、リオシグアト
バルデナフィル:硝酸薬、リオシグアト、CYP3A4阻害薬、クラスⅠA抗不整脈薬、クラスⅢ抗不整脈薬
タダラフィル:硝酸薬、リオシグアト
回答の根拠③:持続性に優れた「タダラフィル」~直前に飲む必要がない薬
ED治療薬の効果は4時間ほど持続する5)ため、必要時の1時間前に服用しておくのが基本です。しかし、「タダラフィル」に関しては例外的に半減期が14~15時間と長いこともあり、服用から36時間でも効果が持続する5,7)ことが確認されています。
そのため、直前に慌てて服用することもないなど時間的制約が少なく、使用者の満足度も高い傾向にあります2)。

※半減期の比較
シルデナフィル:3.23~3.31時間
バルデナフィル:3.2~5.3時間
タダラフィル :14~15時間
7) シアリス錠 インタビューフォーム
薬剤師としてのアドバイス:危険な”個人輸入”を行わない
そもそもEDの症状はヒトに相談しにくいこともあり、ED治療薬はインターネットなどを使った”個人輸入”がよく行われています。しかし、こうした”個人輸入”される薬には偽物が多く混ざり込んでおり、実際に偽物を服用した人の健康被害も確認されています8)。
”個人輸入”によって入手した薬で起きた副作用は、「副作用被害救済制度」の対象外となってしまうという点でも、”個人輸入”のような非正規の入手ルートは避け、きちんと医師に相談の上で処方してもらうことをお勧めします。
8) 奈良県薬務課「模造医薬品による健康被害に対する注意喚起」(※PDF)
ポイントのまとめ
1. 『バイアグラ(シルデナフィル)』は最初のED治療薬、ネームブランドがあり最も安価
2. 『レビトラ(バルデナフィル)』は速効性に優れるが、併用禁忌は多い
3. 『シアリス(タダラフィル)』は効果が長続きし、患者満足度も高め
薬のカタログスペックの比較
添付文書、インタビューフォーム、その他資料の記載内容の比較
| シルデナフィル | バルデナフィル | タダラフィル | |
| 先発医薬品名 | バイアグラ | レビトラ | シアリス |
| 薬効分類 | PDE-5阻害薬 | PDE-5阻害薬 | PDE-5阻害薬 |
| 用法 | 必要時の1時間前 | 必要時の1時間前 | 必要時の1時間前 |
| 効果発現までの時間 | 約27分 | 10~15分 | 約26分 |
| 効果の持続時間 5) | 約4時間 | 約4時間 | 最長36時間 |
| 半減期 | 3.23~3.31時間 | 3.2~5.3時間 | 14~15時間 |
| 禁忌の基礎疾患 | 重度の肝機能障害、低血圧(<90/50mmHg)、管理されていない高血圧(>170/100mmHg)、脳梗塞・脳出血や心筋梗塞から6ヶ月以内、網膜色素変性症 | 重度の肝機能障害、血液透析が必要な腎障害、低血圧(<90/50mmHg)、管理されていない高血圧(>170/100mmHg)、脳梗塞・脳出血や心筋梗塞から6ヶ月以内、網膜色素変性症、不安定狭心症、先天性のQT延長 | 重度の肝機能障害、低血圧(<90/50mmHg)、管理されていない高血圧(>170/100mmHg)、脳梗塞・脳出血から6ヶ月以内、心筋梗塞から3ヶ月以内、不安定狭心症、網膜色素変性症 |
| 併用禁忌 | 硝酸薬、アミオダロン、リオシグアト | 硝酸薬、リオシグアト、CYP3A4阻害薬、クラスⅠA抗不整脈薬、クラスⅢ抗不整脈薬 | 硝酸薬、リオシグアト |
| 代謝酵素 | CYP3A4 | CYP3A4 | CYP3A4 |
| 高脂肪食の影響 | Tmax:1.8時間遅延 AUC:14%低下 | 特になし | 特になし |
| 国際登場年 | 1999年 | 2003年 | 2002年 |
| 妊娠中の安全性評価 | オーストラリア基準【B1】 | オーストラリア基準【B3】 | オーストラリア基準【B1】 |
| 授乳中の安全性評価 | MMM【L3】 | – | MMM【L3】 |
| 世界での販売状況 | 世界120ヵ国以上 | アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツなど | 世界100ヵ国以上 |
| 剤型の規格 | 錠(25mg,50mg)、ODフィルム(25mg,50mg) | 錠(5mg,10mg,20mg) | 錠(5mg,10mg,20mg) |
| 先発医薬品の製造販売元 | ヴィアトリス | バイエル | 日本新薬 |
| 同成分の別製剤 | レバチオ:肺動脈性高血圧症の薬 | – | アドシルカ:肺動脈性高血圧の薬 ザルティア:前立腺肥大の薬 |
| 同成分のOTC医薬品 | (販売されていない) | (販売されていない) | (販売されていない) |
+αの情報①:若いED患者は、心筋梗塞のリスクも高い
ED患者は、心筋梗塞や脳出血などを起こしやすいことが知られています9)。そのため、EDの症状を心筋梗塞などの動脈硬化や血管障害の”前兆”と捉える考え方があります。
実際、特に50歳以下の比較的若い世代のED患者では、心筋梗塞などを起こすリスクが50倍近く高いという報告もある10)ため、ED治療と併せて、血管にダメージを蓄積させるような糖尿病や高血圧といった基礎疾患の治療にも目を向ける必要があります。

9) Circ Cardiovasc Qual Outcomes.6(1):99-109,(2013) PMID:23300267
10) Am Heart J.164(1):21-8,(2012) PMID:22795278
+αの情報②:新型コロナの罹患は、EDのリスクになる
新型コロナウイルス感染症に罹患すると、EDと診断されるリスクが1.2~1.3倍に上昇することがわかっています11)。これは、ウイルスが全身の細い血管にダメージを与えることが主な要因とされています。
こうしたトラブルを避けるためには、感染・発症・重症化リスクを抑制するためのワクチン接種が重要になります。
11) Int J Impot Res.36(5):521-525,(2024) PMID:30460728
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。











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