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知っておくべきこと 薬学コラム

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安易に個人輸入で薬を買わない方が良い理由2つ

 何らかのやむを得ない事情により、主治医と相談の上、精査した海外の医薬品を購入するといったケースが無いわけではありません。しかし、個人の判断で医薬品を輸入して使用することは非常に危険です。絶対に止めるべきです。

 「個人輸入」をする理由の多くは、人に知られず購入したい、薬が安い、といったものです。

 確かに、発毛・育毛剤や、ED治療薬、睡眠薬など、医師・薬剤師と相談しづらいのはわかります。しかし、真に大切にしなけばならないのは、一時のプライドでしょうか、ちょっとした小金でしょうか、一生付き合う自分の身体でしょうか。そのことをもう一度、真剣に考え直してもらいたいと思います。 

理由①:万が一、副作用が起きても救済を受けられない

 薬で大きな副作用が起きたとき、その重症度によって年金を受給できる「医薬品副作用被害救済制度」という国の公的制度があります。

◆副作用によって、入院治療が必要になってしまった場合
医療費・・・・・・治療にかかった費用のうち、自己負担分の全額
医療手当・・・・入院や通院にかかる、治療費以外の諸費用として、月額33,200円または35,200円

◆副作用によって、日常生活に支障があるほどの障害が残った場合
18歳以上・・・・より重い1級で年額2,672,400円、2級で2,138,400円
18歳未満・・・・より重い1級で年額835,200円、 2級で668,400円

◆死亡した場合
生活維持者が死亡した場合・・・・・・・生活再建のため、原則10年間にわたって年額2,337,600円を支給
生活維持者以外が死亡した場合・・・一時金として7,012,800円
葬祭料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・葬祭の費用として206,000円

  金額・対象の引用)医薬品医療機器総合機構 Q&A

 この制度は、”薬を正しく使用していたにも関わらず、起きてしまった副作用”が対象です。
 医師から処方された薬、薬局で購入した薬、ネット通販で購入した薬などを、用法・用量を守って使用していた際には適用されます。

 しかし、「個人輸入」で海外の薬を使っていたような場合、”正しい使用”とは見なされず、制度の対象外となります。
 つまり、万が一大きな副作用が起きて入院したり、何らかの障害が残ったりしても、一切の補償を受けることができません1)。

 1) 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」

理由②:薬の品質が確かでない

 薬が100錠あるとき、その100錠は全て均一な品質である必要があります。こうした品質を保証するために、原料から製造工程、流通に至るまで、非常に厳しい基準で管理されています。

 ところが、安価な模造薬ではこうした管理はなく、薬の品質もバラバラです。

安価な模造品は品質がバラバラ
 その結果、昨日飲んだ錠剤には有効成分が100mg含まれていたのに、今日飲んだ錠剤には有効成分が80mgしか含まれていない、といった事態が起こります。

 すると、「あれ…いつものように効かないな、もう1錠飲んでみよう」ということになります。そうして次に飲んだ錠剤には有効成分が130mg含まれていたために中毒を起こす、といったことが起こります。

※いわゆる「危険ドラッグ」で暴走した人が、「いつもは問題なかったのに・・・」と決まって言うのも、上記のような品質のバラつきが原因の1つと言われています。

 「個人輸入」を利用する理由の1つに、”安い”というものがあります。安い方が嬉しいのは言うまでもありません。しかし、その”安さ”はどういったコストを削った結果で生まれてきたものか、それを考えたことはあるでしょうか。

 正規の医薬品では、上記のようなトラブルが起こらないよう、原料・工場・製品の全ての工程に、厳しい基準を設けて管理しています。この管理にも莫大なコストがかかっています。
 
 一方、「個人輸入」できる安い薬には、正規品でない薬も混じっています。こうした薬が安いのは、原料も工場も、薬そのものの品質に対しても、コストを削減しているからです。つまり、いい加減な原料・工場を使って、低品質な薬を作っているために、安いのです。

薬剤師としてのアドバイス:異様に安い食べ物を敬遠するのと同じ

 日本人は、食べ物に関してかなり神経質と言われています。

 同じ「カップ麺」であっても、日清のカップヌードル100円は買うのに、どこの国が作ったかわからない謎の20円カップ麺はあまり売れません。
 こうした選択は、同じ「カップ麺」であっても、原料や添加物・製造元などを信頼するかどうか、という基準によるもののはずです。

 薬も食べ物と同じように、むしろ食べ物よりも更に神経質な基準で選択するべきです。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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