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似た薬の違い 漢方薬

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「小青竜湯」と「麦門冬湯」、同じ咳に使う漢方薬の違いは?~湿った咳と乾いた咳への選び方

回答:湿った咳に適した「小青竜湯」、乾いた咳に適した「麦門冬湯」

 「小青竜湯」と「麦門冬湯」は、どちらも咳の症状に使うことがある漢方薬です。

 「小青竜湯」は、湿った咳に適した薬です。
 「麦門冬湯」は、乾いた咳に適した薬です。

 咳に効果的な薬は少ないため、症状に合わせて「小青竜湯」や「麦門冬湯」などの漢方薬を活用することがあります。

 

回答の根拠①:湿った咳に適した「小青竜湯」~副作用の少ない”咳止め”としての選択肢

 「小青竜湯」は、風邪や気管支炎・気管支喘息、アレルギーなどによる水様性の鼻水や咳を和らげる目的でよく使われる漢方薬です1)。実際、気管支炎などによる湿った咳に対して、一定の効果が確認されています2)。

 風邪の際に出る急性の咳、特に痰の絡む湿った咳に対しては、「コデイン」などの中枢性の鎮咳薬があまり効果的ではありません3)。そのため、「小青竜湯」のような漢方薬をうまく活用すると、より少ない副作用で、症状緩和の効果を期待することができます。

1) ツムラ小青竜湯エキス顆粒(医療用)添付文書
2) 臨床医薬.17(8):1189-21,(2001)

3) Cochrane Database Syst Rev.(11):CD001831,(2014) PMID:25420096

 

「小青竜湯」には「麻黄(マオウ)」が含まれることに注意

 「小青竜湯」には「麻黄(マオウ)」が含まれている1)こともあり、もともと体力が衰えている人では副作用が出やすく、あまり適していません。こういった虚弱体質の人の湿った咳には、「麻黄(マオウ)」を含まない「苓甘姜味辛夏仁湯」などが良い選択肢になります4)。

4) ツムラ苓甘姜味辛夏仁湯エキス顆粒(医療用)添付文書

 

回答の根拠②:乾いた咳に適した「麦門冬湯」~長引く咳に効果的な漢方薬

 「麦門冬湯」も咳によく用いられる漢方薬ですが、こちらは痰の切れにくい咳に適した薬です5)。特に、風邪のあとに残る長引く乾いた咳(感染後咳嗽)に対して非常に有効で、その効果は中枢性の鎮咳薬よりも優れる6)、という報告があるほどです。

 感染後咳嗽では咳が3週間以上続くことも多いですが、その間、ずっと鎮咳薬を使い続けるのは避けたいという場合にも、「麦門冬湯」は良い選択肢になります。

5) ツムラ麦門冬湯エキス顆粒(医療用)添付文書
6) J Ethnopharmacol.178:144-54,(2016) PMID:26666732

 

咳と喘鳴が強い場合は「麻杏甘石湯」、喉につまった感覚がある場合は「半夏厚朴湯」なども使う

 同じような乾いた咳であっても、喘鳴が強く、口渇や発汗もある場合には「麻杏甘石湯」が適しています。また、喉に何かが詰まったような咳の仕方をしていたり、メンタル的なものが影響していたりする場合には「半夏厚朴湯」などを選ぶこともあります。

薬剤師としてのアドバイス:漢方薬にも副作用は”ある”ことに注意

 漢方薬は、確かに医薬品全体で見れば副作用は”少なめ”です。しかし、漢方薬で副作用が起こらないわけではありません。

 実際、漢方薬全体でも肝機能障害や薬疹、腎障害、消化管障害など様々な副作用が報告されている7)ほか、「麻黄(マオウ)」による頻脈や不眠8)、「甘草(カンゾウ)」による偽アルドステロン症9)、「山梔子(サンシシ)」による突発性腸間膜静脈硬化症10)、あるいは「柴苓湯」や「小柴胡湯」などによる間質性肺炎11)など、特定の生薬成分による副作用リスクも少なくはありません。

 漢方薬でも、副作用は早期発見・早期対応が重要なため、”漢方薬には副作用がない”と油断した状態で使わないよう注意が必要です。

7) 日本東洋医学雑誌.67(2):184-90,(2016)
8) Yakugaku Zasshi.139(11):1417-1425,(2019) PMID:31685738
9) Front Nutr.8:719197,(2021) PMID:34604277
10) 医薬品情報学.16(1):16-22,(2014)

11) BMC Complement Med Ther.24(1):121,(2024) PMID:38486172

 

ポイントのまとめ

1. 「小青竜湯」は、水っぽい”湿った咳”に対して選択肢にできる漢方薬
2. 「麦門冬湯」は、感染後咳嗽などの”乾いた咳”に対して良い選択肢になる漢方薬
3. 漢方薬でも副作用は起こるため、注意して使う必要がある

 
 

薬のカタログスペックの比較

 添付文書、インタビューフォーム、その他資料の記載内容の比較

小青竜湯麦門冬湯
配合生薬半夏(ハンゲ)、乾姜(カンキョウ)、甘草(カンゾウ)、桂皮(ケイヒ)、五味子(ゴミシ)、細辛(サイシン)、芍薬(シャクヤク)、麻黄(マオウ)麦門冬(バクモンドウ)、粳米(コウベイ)、半夏(ハンゲ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、人参(ニンジン)
効能・効果気管支炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、風邪などによる水様の痰・鼻水、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、涙流痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支喘息
用法1日2~3回、食前または食間1日2~3回、食前または食間
適した体力中等度中等度もしくはそれ以下
適した症状水っぽい喘鳴・咳・鼻症状切れにくい痰、乾燥感のある激しい発作性の咳
原典傷寒論、金匱要略金匱要略
同成分のOTC医薬品「小青竜湯」として販売されている「麦門冬湯」として販売されている

 

 

+αの情報:スポーツ選手は「漢方薬」全般を避けることが多い

 たとえば「麻黄(マオウ)」の「エフェドリン類」、「細心(サイシン)」や「呉茱萸(ゴシュユ)」の「ヒゲナミン」など、漢方薬の中には明らかなドーピング禁止薬物が含まれるものがあります。

 しかし、これら以外のものに関しても、漢方薬は天然の植物や動物・鉱物などを原料としているため、厳密に”どんな成分が含まれているか”が全て明らかになっているわけではありません。そのため、「ドーピングの禁止薬物」が”含まれていない”という確約ができません12)。
 このことから、ドーピング違反に注意する必要があるスポーツ選手の場合には、そもそも漢方薬はすべて避けておいた方が無難、もし使う場合には細心の注意を払って扱う必要がある、という見解が主流です。

12) 公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構「よくある質問」

 

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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