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似た薬の違い 慢性腸疾患

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『リアルダ』と『アサコール』、新旧の潰瘍性大腸炎の薬の違いは?~薬の製剤工夫と服用回数・個数

回答:『リアルダ』は1日1回で良く、飲む錠剤も少なくて済む

 『リアルダ(一般名:メサラジン)』と『アサコール(一般名:メサラジン)』は、どちらも潰瘍性大腸炎の治療に使う「メサラジン」の薬です。

 『リアルダ』は、1日1回の服用で良く、また1日に飲む錠数も2~4錠と、『アサコール』よりも負担の少ない薬です。
リアルダとアサコール
 潰瘍性大腸炎の治療は、きちんと薬を飲み続けることができれば、多くの場合「寛解」に至ります。しかし、これまでの『アサコール』などの薬は、1日3回飲む必要があり、また1回に飲む薬の量も多かったため、非常に服薬の負担が大きいのが難点でした。

 『リアルダ』は、こうした負担を減らし、楽に治療を続けられる薬として期待されています。

回答の根拠①:『リアルダ』の服用回数と個数~錠剤の工夫

 『リアルダ』と『アサコール』はどちらも有効成分は「メサラジン」の薬で、共に大腸で薬が溶けるよう錠剤に工夫が施された「潰瘍性大腸炎」の薬です。

 特に『リアルダ』の錠剤には、この大腸で長い時間をかけて溶けるような工夫が施されています1)。
 そのため、『リアルダ』は1日1回で、『アサコール』を1日3回使った治療と同じ効果が得られるようになっています1)。
リアルダとアサコール~服用回数
 1) リアルダ錠 インタビューフォーム

 潰瘍性大腸炎の治療は、数日で終わるようなものではありません。そのため、治療期間中ずっと朝・昼・夕の1日3回で服用を続けることは、非常に大きな負担です。

 この大きな負担は治療を挫折してしまう要因となり、また飲み忘れなどで治療効果が落ちる原因にもなります。そのため、1日1回で済む『リアルダ』はこうした負担や飲み忘れを減らし、『アサコール』よりも多くの人の治療に貢献できることが期待されています。

服用個数も減らせる

 『リアルダ』は1錠に「メサラジン」が1,200mgと、『アサコール』の3倍量が含まれています1,2)。

 そのため、『リアルダ』は1日に飲む錠数が基本2錠(最大で4錠)と、6~9錠飲む必要があった『アサコール』よりも、少ない個数で済みます。
 『リアルダ』の方が錠剤はやや大きいですが、服用個数が少ないことで飲み間違いも減らすことができます。

※1錠に含まれる「メサラジン」の量
『リアルダ』・・・・1,200mg
『アサコール』・・・   400mg

 2) アサコール錠 添付文書

回答の根拠②:潰瘍性大腸炎は、きちんと服薬することで9割が寛解する

 潰瘍性大腸炎は、『リアルダ』や『アサコール』の服用をきちんと続けることで、9割近くが寛解を維持できますが、飲み忘れが多いと、この効果は4割程度にまで落ちてしまいます3)。
潰瘍性大腸炎の寛解率と服薬アドヒアランス
 3) Am J Med.114:39-43,(2003) PMID:12543288

 そのため「潰瘍性大腸炎」の薬は、より強力な効果を持つ薬よりも、より簡単に飲み続けられる薬という視点で、『リアルダ』が開発されています。

薬剤師としてのアドバイス:「飲みにくい」・「使いにくい」という印象は治療に影響する

 「臨床試験」は、医師や薬剤師の指導のもと、薬の使い方や飲む量・飲む時間などを厳密に守って行われます。つまり、薬を理想通りに正しく使った場合の結果が得られます。

 『リアルダ』(1日1回2錠)のように、使い方が簡単でわかりやすい薬は、「臨床試験」の結果とそれほど変わらない効果が期待できます。
 しかし、飲む回数や量が多い・使い方が難しい薬では、飲み忘れや使い方を間違うといったことが起こり、「臨床試験」で得られたほどの効果が得られない場合があります。
臨床試験と実際の現場での効果差3
 そのため薬は「臨床試験」で得られた効果の差だけでなく、服用回数や錠剤の個数、味や保管のしやすさなど、様々な面から自分に合っているかどうかを検討する必要があります。

 薬を使っていて「飲みにくい」・「使いにくい」と感じた場合は、その印象が治療効果に少なからず影響する可能性もあります。気になったことや困ったことは、遠慮せずに主治医・薬剤師に相談するようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 『リアルダ』と『アサコール』は、どちらも有効成分「メサラジン」の、潰瘍性大腸炎の薬
2. 『リアルダ』は、1日1回の服用で良く、また飲む錠数も少なくて済む
3. 服薬の負担が少ない『リアルダ』は、『アサコール』よりも高い効果が期待できる

添付文書・インタビューフォーム記載事項の比較

■有効成分
リアルダ:メサラジン
アサコール:メサラジン

■効能・効果
リアルダ:潰瘍性大腸炎(重症を除く)
アサコール:潰瘍性大腸炎(重症を除く)

■用法
リアルダ:1日1回
アサコール:1日3回

■用量
リアルダ:2,400~4,800mg
アサコール:2,400~3,600mg

■1錠に含まれる有効成分の量と、服用する錠数
リアルダ:1錠1,200mg → 1日2~4錠
アサコール:1錠400mg → 1日6~9錠

■錠剤の大きさ
リアルダ:長径20.7mm、短径9.7mm、厚さ7.6mm
アサコール:長径14.7mm、短径5.9mm、厚さ6.5mm

■取扱い上の注意
リアルダ:かまずに服用、粉砕も避ける
アサコール:かまずに服用、粉砕も行わない

■販売元
リアルダ:持田製薬
アサコール:協和発酵キリン・ゼリア新薬工業

+αの情報:潰瘍性大腸炎の治療効果は、大腸での「メサラジン」濃度で決まる

 潰瘍性大腸炎の治療効果は、大腸粘膜患部での「メサラジン」の濃度と相関します4)。そのため、何らかの方法で高い濃度の「メサラジン」を大腸まで届ける必要があります。

 4) Gut.47(3):410-4,(2000) PMID:10940280

 『リアルダ』や『アサコール』は、pHが高くなるとコーティングが溶けるように設計されています1,2)。
 胃や小腸では、胃酸があるためにpHは酸性に傾いています。そのため、胃や小腸では溶けずにそのまま通り過ぎ、pH7以上になる回腸~大腸に到達して初めてコーティングが溶け、薬が放出されます。
リアルダとアサコール~大腸へのDDS 
 『リアルダ』や『アサコール』はこうした錠剤の工夫によって、小腸から吸収されることなく、大腸で高い効果を発揮できるようになっています。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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