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薬剤師のありかた 子どもの薬

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発達障害の子どもを持つ親は、誰に頼れば良いのか?~薬剤師と心理士の対談企画 2


 世界を変えてきた偉人たちは、みな少なからず発達障害の傾向にあった、というエピソードには枚挙に暇がありません。
 うまく弱点をフォローし、長所を伸ばすことができれば、こうした偉人たちに匹敵する偉業を成し遂げる可能性すら秘めているとも言えます。

 しかし実際には、そのデコボコの能力そのものより、発達障害の子どもの”育てにくさ”から生じる、親の不安や育児放棄が大きな問題となっています。

 こうした親の不安を解消するにはどうすれば良いのか、をテーマに、前回の記事と同様、薬剤師と臨床心理士による対談を行いました。

「たらいまわし」にされたと訴える患者~関係性の重要性

■薬剤師:薬局に来られる親御さんで、「学校で相談したら病院に行け、病院で相談したら薬を飲め」と、”たらいまわし”にされた、と愚痴をこぼす方に出会ったことがあります。

■心理士:
確かに、親が教師と”関係性”を築けていない場合、”たらいまわし”と感じてしまうかもしれません。たとえそれが、色々と熟考した末に受診を勧めたのだとしても、です。

■薬剤師:
なるほど。前回のお話でもあったように、学校では教師と、病院では医師と、それぞれ”関係性”を築くことが必要ということですね。

■心理士:
はい。そのために、親御さんも言われるがままになるのではなく、もっと積極的にわからないことを質問したり、疑問や不安を相談したり・・・教師や医師、それに薬剤師やカウンセラーといった専門家に働きかけていく必要があるでしょう。特に学校では担任の先生とうまく関係が築けない場合があるかもしれません。そのようなときには話しやすい他の先生に声をかけるのも一つの方法です。いつも子どもと関わってくれる保健室の先生や親しみやすい教頭先生など、話をしやすい先生に声をかけることで担任の先生との間をうまく取り持ってくれたというケースもあります。

■薬剤師:
確かに、”関係性”は一方通行では構築できません。色々と質問や相談をしてみる、という働きかけで、頼る相手を見極めて欲しいですね。

信頼関係構築のためには、親からのアプローチも必要

■薬剤師:医師から処方された薬を、医師には「飲んでいる」と言っていても実は飲んでいない・・・といったケースに出会うこともあります。薬剤師にそれを話してもらえたら対応できるのですが、薬剤師にも黙って薬を溜めこんでいる、といったケースもありますね。

■心理士:確かに、薬剤師に言うとそこから医師に伝わって、医師に怒られるのではないか、と思ってしまうかもしれません。

■薬剤師:もちろん、状況によってはすぐに医師に伝えて対応しなければならないこともあります。が、薬局薬剤師の場合、医師の性格もある程度把握しているので、どうやって伝えたら怒られないのか、ということをアドバイスすることもできます。なので、本当は薬を飲みたくない、といったような本音も薬剤師に伝えてほしいと思います。

■心理士:なるほど。確かに「本当は薬を飲みたくない」ということを医師や薬剤師に伝えないままでは、最良の選択はできませんね。

■薬剤師:薬はどこでもらっても一緒だから、と、ほとんどの人は薬局や薬剤師を選ぶことをしていません。でも、実は薬飲んでない」といったややこしい相談もできる、“関係性”が築ける薬剤師を、厳しい目で選別してほしいと思います。

学校や塾で、発達障害かな?と思うことがあったら

■薬剤師:最近は啓蒙活動も盛んになり、学校や塾で「もしかしたら発達障害かもしれない」と気づくケースも増えてきました。これは良いことなのですが、気付いたからといって「病院へ行ってください」とストレートに言うわけにはいかないですよね。

■心理士:確かに、“関係性”がまだ築けていなければ、まさに先ほどの“たらいまわし”と感じられてしまう恐れがありますね。

■薬剤師:こういった場合、「発達障害」の兆候に気付いても、なかなか対応することは難しいのではないかと思います。

■心理士:そうですね、あまり子どもを否定するようなことを言うと、子どもを悪者にしているのではないか、と捉えられ、教師と親の”関係性”も崩れてしまいます。また、親自身が全く気付いていないケースや、薄々気づいていても知らないフリをしているといったケースも多々あり、対応は難しいと思います。

■薬剤師:そういった場合、具体的に何かできる行動はないでしょうか。

■心理士:例えば、教師自身がスクールカウンセラーなどの専門家に相談する、という手があります。我々カウンセラーの元に来てもらえると、一緒にそのお子さんや親御さんに対する具体的な対応を考えることができます。

■薬剤師:個別のケースに合わせて、上手な伝え方を一緒に考えてもらえる、ということですか。

■心理士:そうです。よくありがちなミスが、「できないこと」ばかりを親に伝えてしまい、親と教師の関係性が崩れてしまうことです。こうした場合、「〇〇が得意でいつも助かっています、でも△△は少し苦手なようです」といった風に「できること」も一緒に伝えることが必要です。経験豊富な教師であれば、こうした工夫もよくご存知だと思いますが、カウンセラーのような第三者と一緒に考えると良いと思います。

■薬剤師:なるほど。どう対応すれば良いかをカウンセラーと一緒に考える、というのは、実際に行動も起こしやすいですね。

■心理士:カウンセラーも“専門家”ですので、人間関係をややこしくさせてしまうことはありません。こう、”一発でバーン!”と解決するような策・・・は提示できないかもしれませんが、少なくとも苦労をわかってあげることはできます。一人で抱え込むよりも相談していただける方が、子どものメリットにもなるのではないかと思います。

会社などで、大人の「発達障害」が疑われるとき

■薬剤師:薬局にも、「本人にも言えない、周りに我慢しろとも言えない、かといって黙っていると会社から怒られる・・・」といった八方塞がりで滅入ってしまい、心労で不眠症になってしまった、という管理職の方が来られることがあります。大人の発達障害の場合、対応はより難しいようですね。

■心理士:はい、正直なところ、大人の場合は本人が「何とかしよう」と思っていない限り難しいと思います。けれど、基本的には子どもと一緒で、その人に合わせた対応をするのが良いでしょう。

■薬剤師:その人に合わせた対応・・・よく言われている、「指示は具体的に出す」といったようなものでしょうか。

■心理士:そうです。「明日の会議の準備をしておいて」ではなく、「この資料を△△人分コピーして」とか「〇〇時から会議室の予約をして」といったような指示です。

■薬剤師:なるほど。善悪や作業効率はさて起き、全員にとってその方が”楽”ですね。

■心理士:はい、まずはそれを第一歩にして考えて欲しいと思います。その際、うまくできるか不安だったらカウンセラーに相談してもらえれば、一緒に考えることもできますので、頼ってほしいと思います。そうすれば、会社にも「うまく対応できるよう、カウンセラーと相談しながら考えています」と、実際に行動している旨の報告もできますから

■薬剤師:なるほど。確かに、対応を相談していれば、事態を放置していることにはなりませんね。これは薬局でも相談を受けたときに具体的なアドバイスとしてできそうです。

■心理士:大人の場合は非常に対応も難しいので、不眠症など体調を崩すまで一人で抱え込まないで欲しいと思います。八方塞がりになってしまった場合は、会社に対して「何とかしようと実際に行動しているんだよ」という姿勢を示すためにも、カウンセラーに相談してもらえればと思います。

 ※対談は、2015年10月31日に行いました

 ⇒対談記事1:

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることがすべてのケースにあてはまるわけではありません。治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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★6月22日のフジテレビ「直撃LIVE グッディ!」に薬剤師としてコメントを寄せました。
★3月23日発売の「異世界薬局(コミック版)」に薬学監修として携わりました。
★12月28日のYahoo!ニュース動画「抗生物質が効かなくなる日」に監修として携わりました。

★PharmaTribuneにて連載中

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