『ザガーロ』と『プロペシア』、同じAGA治療薬の違いは?~治療効果と値段の比較
記事の内容
回答:効果が高い『ザガーロ』、値段が安い『プロペシア』
『ザガーロ(一般名:デュタステリド)』と『プロペシア(一般名:フィナステリド)』は、どちらも男性型脱毛症(AGA:androgenetic alopecia)の治療薬です。
『ザガーロ』は、AGA治療で最も効果の高い薬です。
『プロペシア』は、値段が安い薬で、経済的負担を少なく抑えられます。

AGAの治療は基本的に保険が効かず、全額が自己負担になります。そのため、効果だけでなく値段の差も重要な判断基準になります。
回答の根拠①:治療効果の高い「デュタステリド」~AGA治療で最も効果的な薬
AGA治療には「デュタステリド」や「フィナステリド」といった飲み薬の他にも、「ミノキシジル」の外用薬など色々な選択肢がありますが、現在承認されているAGA治療薬の中で最も高い効果を期待できるのが「デュタステリド」です1)。
実際、「デュタステリド」0.1mgと「フィナステリド」1mgでほぼ同等の効果が得られますが、「デュタステリド」は0.5mgまで増量することでより高い効果を得ることができます2)。

一方で、「デュタステリド」と「フィナステリド」で副作用の現れ方にはほとんど違いがない2,3)ため、効果を重視する場合は「デュタステリド」を選ぶのが一般的です。
1) J Cosmet Dermatol.24(10):e70483,(2025) PMID:41051009
2) J Am Acad Dermatol.70(3):489-498,(2014) PMID:24411083
3) Ann Dermatol.34(5):349-359,(2022) PMID:36198626
作用する酵素型の違い
「デュタステリド」と「フィナステリド」はどちらも、男性ホルモンの「テストステロン」を、脱毛の原因物質「ジヒドロテストステロン」に変換する「5α還元酵素」を阻害する薬です。
「デュタステリド」は「5α還元酵素」のⅠ型とⅡ型の両方を、「フィナステリド」は「5α還元酵素」のⅡ型を選択的に阻害します4,5)。治療効果の差は、この作用の違いによって生じると考えられています。

4) ザガーロカプセル インタビューフォーム
5) プロペシア錠 インタビューフォーム
回答の根拠②:値段の安い「フィナステリド」~全額が自己負担のAGA治療で大きくなる差
「フィナステリド」も、「デュタステリド」に次いで効果の高いAGA治療薬1)ですが、10年ほど先に開発された薬のため、値段はやや低めに設定されています。
AGA治療薬としての「デュタステリド」や「フィナステリド」は薬価未収載のため、保険診療にはなりません。そのため、治療にかかる費用は全額が自己負担になることから、こうした値段の差はそのまま経済的負担の大きさの違いに直結します。比較的長期に渡るAGA治療では、値段の面から「フィナステリド」を選ぶのも良い判断になります。
※AGA治療薬の値段の目安(医療機関が独自に設定するため、おおよその価格帯)
デュタステリド:(先発)月額6,000~10,000円程度、(後発)5,000~8,000円程度
フィナステリド:(先発)月額5,000~8,000円程度、(後発)3,000~6,000円程度
薬剤師としてのアドバイス:女性や子どもは、薬に触れないよう気を付ける
「デュタステリド」や「フィナステリド」を妊娠中の女性が服用すると、男胎児の生殖器の発育に悪影響を及ぼす恐れがあるため、基本的に女性への使用は”禁忌”に指定されています4,5)。
しかし、「デュタステリド」や「フィナステリド」は皮膚から吸収される性質がある4,5)ため、薬を服用しなくても、薬に触れるだけでもその影響を受けることがあります。
通常は、カプセルの殻や錠剤のコーティングがあるため問題ありませんが、カプセルや錠剤が破損している場合には、有効成分に直接触れてしまう可能性があります。女性や子どもと同居している場合は、うっかり薬に触れないよう、またカプセルや錠剤も潰したり割ったりしないように、注意して扱うようにしてください。

ポイントのまとめ
1. 『ザガーロ(デュタステリド)』は、AGA治療で最も高い効果を期待できる
2. 『プロペシア(フィナステリド)』は、値段が安いため、経済的負担を抑えて継続しやすい
3. これらの薬は皮膚からも吸収されるため、カプセルや錠剤が破損しないように注意する
添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較
添付文書、インタビューフォーム、その他資料の記載内容の比較
| デュタステリド | フィナステリド | |
| 先発医薬品 | ザガーロ | プロペシア |
| 適応症 | 男性における男性型脱毛症 | 男性における男性型脱毛症 |
| 作用メカニズム | 5α還元酵素1型/2型阻害薬 | 5α還元酵素2型阻害薬 |
| 用法用量 | 1回0.1~0.5mgを1日1回 | 1回0.2~1.0mgを1日1回 |
| 女性や子どもへの使用 | 禁忌 | 禁忌 |
| 剤型 | 軟カプセル剤 | 錠剤(フィルムコーティング) |
| 国際誕生年 | 2001年 | 1992年 |
| 妊娠中の安全性評価 | オーストラリア基準【X】 | オーストラリア基準【X】 |
| 授乳中の安全性評価 | – | – |
| 世界での販売状況 | 世界70ヵ国 | 世界90ヵ国 |
| 剤型の規格 | カプセル(0.1mg,0.5mg) | 錠(0.2mg,1mg) |
| 先発医薬品の製造販売元 | グラクソ・スミスクライン | オルガノン |
| 同じ有効成分の別の薬 | 『アボルブ』(前立腺肥大症の治療薬) | – |
| 同成分のOTC医薬品 | (販売されていない) | (販売されていない) |
+αの情報①:個人輸入した薬では、副作用が起きても補償されない
AGAの治療は、「個人輸入した薬」で行う人も少なくありません。
しかし、個人輸入で入手できる薬の多くは、日本のように厳格な製造・品質管理が行われておらず、安全でない添加物が用いられている、服用してもきちんと溶出しないといった製剤面の問題だけでなく、そもそも入っている薬の量や内容が違うという”偽物”である恐れすらあります。
さらに、もし大きな副作用が起きた場合でも、個人輸入した薬を使っていた場合は「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となり、一切の補償を受けることができません。
そのため、個人輸入した薬を使うことは全くお勧めしません。
+αの情報②:デュタステリドのジェネリック(後発)医薬品には2種類ある
「デュタステリド」には、男性の脱毛症に使う『ザガーロ』と前立腺肥大に使う『アボルブ』という2つの製剤があります。どちらも有効成分は同じですが、明確に別の薬として扱う必要があります。
また、このことから「デュタステリド」のジェネリック(後発)医薬品には、『ザガーロ』のジェネリック医薬品と『アボルブ』のジェネリック医薬品が存在します。混同しないように注意が必要です。
※適応症の異なるデュタステリド製剤
男性の脱毛症の薬:(先発)ザガーロ、(後発)デュタステリドZA
前立腺肥大症の薬:(先発)アボルブ、(後発)デュタステリドAV
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。











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