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解熱鎮痛薬・NSAIDs 薬の誤解

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『ロキソニン』は腹痛に効きますか?~腹痛の3つのパターンと、正しい薬の選び方

回答:腹痛の原因による

 腹痛の原因によって、『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』が効くかどうかが変わります。

 場合によっては『ロキソニン』が逆効果になり、腹痛がより酷くなることもあるため、腹痛の原因を正しく把握し、正しく薬を選ぶ必要があります。

詳しい回答:腹痛の3つのパターン

 日常的に感じる腹痛には、大きく分けて3つのパターンがあります。
ロキソニンと腹痛3つのパターン

①炎症・ケガ ⇒「ズキズキ」と痛む
②胃腸の動きがおかしくなっている ⇒「きゅー」と締め付けるように痛む
③胃粘膜の荒れ ⇒「キリキリ」と痛む

 それぞれの痛みによって、適切な薬は変わります。

①炎症・ケガ ⇒「ズキズキ」と痛む腹痛の対応

 炎症・ケガによる痛みには、『ロキソニン』などの解熱鎮痛薬が適しています。

 一般的に、鋭い痛み、ズキズキとするような痛みが該当します。

 ただし、虫垂炎(盲腸)などの病気の兆候である可能性もあるため、痛みが長く続くような場合には、一度病院を受診するようにしてください。

②胃腸の動きがおかしくなっている ⇒「きゅー」と締め付けるように痛む

 胃腸が痙攣を起こすと、内臓の位置が動いたり、内臓の内圧が変わったりして腹痛を感じることがあります。

 一般的に、お腹がゴロゴロと鳴ったり、お腹全体が締め付けられるように感じる痛が該当します。お腹が冷えて痛むような場合も、これに該当します。

 こうした痛みは、『ロキソニン』などの解熱鎮痛薬ではなかなか治りません。『ブスコパン(一般名:ブチルスコポラミン)』など、胃腸の痙攣を抑える薬の方が効果的です。

③胃粘膜の荒れ ⇒「キリキリ」と痛む

 食べ過ぎやストレス胃が荒れても、腹部の痛みとして感じることがあります。

 一般的に、特に空腹時、みぞおち付近が”キリキリ”と痛むものが該当します。

 こうした痛みには、『ガスター(一般名:ファモチジン)』などの胃酸を抑える胃薬が適しています。

 『ロキソニン』などの解熱鎮痛薬は、胃粘膜を荒らす副作用があります。そのため、こうした痛みに『ロキソニン』を使うと、かえって痛みが悪化する恐れがあります。

回答の根拠:痛みの分類と、『ロキソニン』の鎮痛効果

 そもそも、『ロキソニン』の効果・効能に「腹痛」はありません。副作用として「腹痛」の記載がある薬です1)。これは、胃粘膜を荒らす作用があるからです。

 1) ロキソニン錠 添付文書

 ”痛み”には種類があります。

①侵害受容性疼痛
・・・トゲが刺さった、転んで擦りむいた、頭をぶつけた等、外傷を受けた時に感じるもの。感覚神経を経由する「体性痛」や「内臓痛」が当てはまる。
②神経障害性疼痛・・・神経系の機能の異常で起こるもの。ジリジリと焼けるように持続する、電流が走るように感じるもの。
③心因性疼痛・・・原因が特定できないもの。

 『ロキソニン』は「非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)」に分類される解熱鎮痛薬ですが、①「侵害受容性」の痛みに対して効果を発揮する薬です。
 ②神経障害性疼痛や③心因性の痛みに対しては、十分な効果が得られません。
痛みの分類

 『ロキソニン』は非常に幅広い痛みに効果がありますが、どんな痛みにも効果があるわけではないため、痛みの原因によって正しく選択する必要があります。

+αの情報:COX阻害薬としての作用機序~痛みと鎮痛の原理

 『ロキソニン』は、薬理学的には「シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬」です1)。

 COXは「アラキドン酸」を「プロスタグランジン」に変換する酵素です。ケガをするとその場所でCOXがたくさん作られ、その結果「プロスタグランジン」がどんどん増えていきます。
 
 「プロスタグランジン」が増えると、発熱や炎症といった現象を引き起こします。また、痛みに対して敏感になる「ブラジキニン」という物質の作用も強めます。
プロスタグランジンとブラジキニン

 『ロキソニン』は、COXを阻害することで炎症や発熱の原因である「プロスタグランジン」の増加を防ぎ、痛みに敏感になる「ブラジキニン」の作用増強を抑制します。

 これが、『ロキソニン』の解熱鎮痛効果の正体です。

 このとき、「プロスタグランジン」は胃粘膜を保護する働きも併せ持っているため、『ロキソニン』を使うと胃が荒れやすくなります。

 ①侵害性受容体疼痛では、この「プロスタグランジン」が関わるメカニズムで痛みが生じているため、『ロキソニン』が効果的です。

 ②神経障害性疼痛では、脳に伝わる痛みの情報が混乱している、神経が異常に興奮している等の原因で痛みが生じているため、COXの働きを止めても痛みは和らぎません。『リリカ(一般名:プレガバリン)』など神経痛専用の痛み止めが必要です。

 ③の心因性の痛みでは、主な原因がはっきりとわからないため、偶然『ロキソニン』が効果を発揮することはあっても、確実に効果があるかどうかわかりません。

 ただし、痛みは①~③の原因が色々に混ざって複合的に生じることもあります。そういった場合には補助的な意味で使用することがあります。

薬剤師としてのアドバイス:万能の解熱鎮痛薬ではないことに注意

 『ロキソニン』や『ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)』などのNSAIDsは、日常で感じる様々な痛みに効果があるため、万能の鎮痛薬と思われがちです。

 しかし、先述のように腹痛の原因によっては効かなかったり逆効果になったりすることがあります。
 同様に、頭痛であっても片頭痛など特殊な頭痛には効果が不十分です。
 更に、インフルエンザの際に使用すると、「インフルエンザ脳症」を誘発する恐れがあります。

 『ロキソニン』などのNSAIDsは身近な解熱鎮痛薬ですが、正しく使用しなければ思わぬ副作用を招く恐れがあります。
 家にあるからといって、自己判断で安易に使わないようにしてください。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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