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糖尿病治療薬 似た薬の違い

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『ザファテック』と『マリゼブ』、同じ週1回のDPP-4阻害薬の違いは?~効果の比較と腎障害への投与

回答:大きな違いはないが、『マリゼブ』は重度の腎障害でも使える

 『ザファテック(一般名:トレラグリプチン)』と『マリゼブ(一般名:オマリグリプチン)』は、どちらも糖尿病に使う「DPP-4阻害薬」で、週1回の服用で良い薬です。

 『ザファテック』と『マリゼブ』の効果に大きな違いはなく、適応症や薬の値段、飲み忘れた時の対応も同じため、特に厳密な使い分けは必要ありません。
ザファテックとマリゼブ
 ただし、効き目が長続きする理由の違いから、『マリゼブ』は重度の腎障害のある人でも使えるという特徴があります。

回答の根拠①:『ザファテック』と『マリゼブ』の効果・適応症・値段

 『ザファテック』と『マリゼブ』の効果を直接比較した試験はありません。
 しかし臨床試験の段階では、『ザファテック』は『ネシーナ(一般名:アログリプチン)』、『マリゼブ』は『ジャヌビア(一般名:シタグリプチン)』と、それぞれ効き目に違いはないこと(非劣性)が確認されています1,2)。

 1) ザファテック錠 インタビューフォーム
 2) マリゼブ錠 インタビューフォーム

 対照薬として使われている『ネシーナ』と『ジャヌビア』の間には大きな違いはないことが既に報告されている3)ことから、『ザファテック』と『マリゼブ』にも特別な違いは生じないと考えられます。
ザファテックとマリゼブ~効果が同じ
 3) Clin Ther.34(6):1247-1258,(2012) PMID:22608780

 また、『ザファテック』と『マリゼブ』の適応症は「2型糖尿病」と同じで1,2)、薬の値段にも大きな違いはありません。そのため、基本的には特別な使い分けは必要ありません。

※薬価の比較 (2016改訂時)
ザファテック:50mg(559.20)、100mg(1045.10)
マリゼブ:12.5mg(543.30)、25mg(1015.30)

飲み忘れた時の対応も同じ

 『ザファテック』と『マリゼブ』は、飲み忘れた場合の対応も「飲み忘れに気付いた時点で決められた量を服用し、以降は元の予定通りに服用する」ことで同じです。

※毎週日曜日に服用していた場合の例
5日(日)に服用 → 12日(日)に忘れていた → 気づいた15日(水)に服用 → 19日(日)に服用

 「DPP-4阻害薬」は、単独では低血糖の副作用を起こしにくい薬ですが、2回分をまとめて飲まないように注意してください。

回答の根拠②:重度の腎障害でも使える『マリゼブ』

 腎臓から排泄される薬は、腎機能が衰えると薬の排泄量が減り、体内に蓄積するようになります。その結果、中毒症状(副作用)を起こすことがあります。
 そのため、腎障害がある場合は薬の量を減らしたり、その腎障害が重い場合は薬を使えなかったりといったことが起こります。

 『ザファテック』は、血液中から薬が消失しても薬の活性が続くように設計された薬です1)。そのため、腎障害で薬の排泄が遅れると、薬の血中濃度が上がり、必要以上に薬が効き過ぎてしまう恐れがあります。
 このことから、重度の腎障害・末期腎不全の場合は「禁忌」に指定され、使うことができません1)。

 一方で『マリゼブ』は、腎臓で一旦ろ過された後、大部分が再吸収され、血液中に戻ります2)。これによって薬は長く体内を循環し、効き目が1週間続くことになります。
マリゼブ~再吸収
 このように『マリゼブ』は、もともと体内に薬が残るように設計された薬です。そのため、重度の腎障害・末期腎不全の場合でも薬の量を調節しながら使うことができます。

※重度の腎障害・末期腎不全の場合の投与
ザファテック:禁忌
マリゼブ:12.5mg / 週を目安に使う

薬剤師としてのアドバイス:週1回の薬で、かえって飲み忘れが増えることもある

 薬を飲む回数や錠数は少ない方が負担も軽くなります。そのため、1日3回の薬よりも1日1回の薬、1日1回の薬よりも週1回の薬、といったように、飲む回数が少なくて済む薬がたくさん開発されています。

 しかし、毎日の薬が既に習慣になっている場合や、日によって飲む薬の内容が変わると混乱してしまうような場合には、週1回の薬が必ずしも良いとは限りません。かえって飲み忘れが増えてしまうこともあります。

 「1日1回の薬の方が飲み忘れは少なかった」ということは比較的よくあるため、自分にあった薬を主治医と相談しながら選ぶようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 『ザファテック』と『マリゼブ』は、効果も値段もほとんど同じ
2. 『マリゼブ』は、重度の腎障害・末期腎不全でも使える
3. 人によっては、週1回の薬でかえって飲み忘れが増えることもある

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆適応症
ザファテック:2型糖尿病
マリゼブ:2型糖尿病

◆用法
ザファテック:週1回
マリゼブ:週1回

◆非劣性を確認した試験での対照薬
ザファテック:ネシーナ(アログリプチン)
マリゼブ:ジャヌビア(シタグリプチン)

◆重度腎障害・末期腎不全の場合
ザファテック:禁忌
マリゼブ:用量を調節して投与可

◆剤型の種類
ザファテック:錠(50mg、100mg)
マリゼブ:錠(12.5mg、25mg)

◆製造販売元
ザファテック:武田薬品工業
マリゼブ:MSD

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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