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似た薬の違い ステロイド点鼻薬

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『ナゾネックス』と『リボスチン』、同じ点鼻薬の違いは?~アレルギー性鼻炎に対するステロイドと抗ヒスタミン薬の効果と併用

回答:効果・安全性に優れた『ナゾネックス』、突発的な鼻炎に便利な『リボスチン』

 『ナゾネックス(一般名:モメタゾン)』と『リボスチン(一般名:レボカバスチン)』は、どちらもアレルギー性鼻炎の治療に使う点鼻薬です。

 『ナゾネックス』は、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりの全てに効果的な「ステロイド」の点鼻薬です。
 『リボスチン』は、くしゃみ・鼻水に効果がある「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬です。

 花粉症などのアレルギー性鼻炎では、効果・安全性に優れた『ナゾネックス』など「ステロイド」の点鼻薬が第一選択薬に選ばれています。しかし、突発的なくしゃみ・鼻水の症状には、値段の安い『リボスチン』など「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬も良い選択肢になります。
 なお、場合によっては「ステロイド」と「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬を併用することもあります。

回答の根拠①:『ナゾネックス』の効果と安全性~第一選択薬に選ばれている理由

 アレルギー性鼻炎によるくしゃみ・鼻水・鼻詰まりの症状に対して、点鼻薬では「ステロイド」が「抗ヒスタミン薬」よりも効果的1)で、費用対効果の点でも優れていることが報告されています2)。

 1) Ann Allergy Asthma Immunol.89(5):479-84,(2002) PMID:12452206
 2) Ann Allergy Asthma Immunol.95(3):272-82,(2005) PMID:16200819

 『リボスチン』など「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬は、特に「鼻詰まり」の症状に対して効果があまり期待できないこと3)や、内服薬と同じように眠気を感じる恐れがあり、使用後の自動車運転が禁止されていること4)など、効果や安全性の面で「ステロイド」の点鼻薬に劣る部分があります。
 また、『ナゾネックス』は1日1回の噴霧で良い5)のに対し、『リボスチン』は1日4回(朝・昼・夕・寝る前)の噴霧が必要である4)ように、点鼻の手間もかかります。

 このように効果・安全性だけでなく、噴霧の手間という観点からも優れた「ステロイド」の点鼻薬は、通年性・季節性どちらのアレルギー性鼻炎に対しても、初期療法・軽症・中等症・重症全ての段階で第一選択薬に選ばれています6)。

 3) Nepal Med Coll J.9(1):17-21,(2007) PMID:17593672
 4) リボスチン点鼻液 添付文書
 5) ナゾネックス点鼻液 添付文書
 6) 鼻アレルギー診療ガイドライン -通年性鼻炎と花粉症- 2016年版

回答の根拠②:『リボスチン』の使いどころ~突発的な鼻炎に対する安価な選択肢

 『リボスチン』は、『ナゾネックス』などの「ステロイド」の点鼻薬と比べて、1本あたりの値段が安価です。そのため、「大掃除をしていたらホコリでくしゃみ・鼻水が出る」「ネコを飼っている友人の家を訪問したら鼻炎になった」といった、突発的・単発的な鼻炎に対しては便利な選択肢になります。

※1本あたりの薬価(2018改訂時)
『リボスチン』:700.80(112噴霧=1週間分)
『ナゾネックス』:1729.30(56噴霧=2週間分)

速効性はほとんど変わらない

 一般的に、「ステロイド」の点鼻薬は速効性に劣るとされていますが、現在主流の『ナゾネックス』や『アラミスト(一般名:フルチカゾン)』・『エリザス(一般名:デキサメタゾン)』といった新しい点鼻薬は、「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬と速効性でもほとんど差はありません7)。

 ただし、OTC医薬品として販売されている古いタイプの「ステロイド」の点鼻薬(例:『リノコート』など)は、「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬と比べて、使い始め5日間ほどの効果は劣るとされています8)。そのため、セルフメディケーションの場では速効性の観点からも、突発的な鼻炎症状に対して「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬が便利な選択肢になります。

 7) Allergy Asthma Proc.33(6):450-8,(2012) PMID:23127291
 8) Eur Arch Otorhinolaryngol.254(5):236-41,(1997) PMID:9195148

回答の根拠③:「ステロイド」と「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬を併用する効果

 「ステロイド」と「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬を併用することで、鼻炎に対する効果はより高まることが報告されています9)。そのため『ナゾネックス』と『リボスチン』も併用される場合があります。
 ただし、配合剤が販売されている海外と違い、日本では2種の点鼻薬を個々に使わなければならないため、噴霧の手間が大きく増えてしまうことに注意が必要です。

 9) J Investig Allergol Clin Immunol.23(7):495-503,(2013) PMID:24654314

薬剤師としてのアドバイス:点鼻薬は目的によって明確に使い分ける

 鼻炎の症状に使われる「点鼻薬」には「ステロイド」「抗ヒスタミン薬」「血管収縮薬」の3種があり、それぞれ目的によって明確に使い分ける必要があります。「点鼻薬」としか認識していないと、効果を期待できない使い方や間違った使い方をして、思わぬ副作用を起こしてしまう恐れもあるため、注意が必要です。

・「ステロイド」の点鼻薬
「くしゃみ」「鼻水」「鼻詰まり」の症状に対して最も効果的で、季節性・通年性のアレルギー性鼻炎の第一選択薬。
症状がひどい時だけではなく、たとえば花粉症では花粉が飛んでいる期間は使い続けることで、発症・悪化も防ぐことができる。
→適した状況:花粉症やダニ・ハウスダストなどでアレルギーを長期コントロールする必要がある場合

・「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬
「くしゃみ」と「鼻水」の症状に効果がある。「鼻詰まり」にはあまり効かない。
「ステロイド」に比べると効果は劣るが、1本あたりの値段が安いため、突発的・単発的な鼻炎の症状緩和には便利。
→適した状況:大掃除や旅行、ペットを飼っている友人宅を訪問した際の突発的な鼻炎の症状

・「血管収縮薬」の点鼻薬
「鼻詰まり」を一時的に解消するための点鼻薬。「くしゃみ」や「鼻水」には効果がない。
使用すると数分で効果が現れるが、数時間程度で効き目は切れてしまう。使い過ぎは「薬剤性鼻炎(後述)」の原因にもなる。
→適した状況:大事なプレゼンやスピーチの前、飛行機に乗る前、美味しいものを食べに行く前の鼻詰まり解消

 

ポイントのまとめ

1. 『ナゾネックス』など「ステロイド」の点鼻薬は、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりに効果的な、第一選択薬
2. 『リボスチン』など「抗ヒスタミン薬」の点鼻薬は、値段が安いので突発的な鼻炎には便利な選択肢
3. 点鼻薬は「ステロイド」・「抗ヒスタミン薬」・「血管収縮薬」を明確に使い分ける

 

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆有効成分と薬効分類
ナゾネックス:モメタゾン フランカルボン酸エステル(ステロイド)
リボスチン:レボカバスチン(抗ヒスタミン薬)

◆同系統の商品
ナゾネックス:アラミスト、エリザス
リボスチン:ザジテン

◆適応症
ナゾネックス:アレルギー性鼻炎
リボスチン:アレルギー性鼻炎

◆1日の噴霧回数
ナゾネックス:1日1回、各鼻腔に2回ずつ
リボスチン:1日4回(朝・昼・夕・寝る前)、各鼻腔に2回ずつ

◆眠気の副作用
ナゾネックス:なし
リボスチン:あり(使用後の自動車運転は禁止)

◆アレルギー性鼻炎に対するガイドラインでの推奨
ナゾネックス:軽症・中等症・重症全ての段階の第一選択薬 (※季節性では初期療法でも)
リボスチン:推奨なし

◆点鼻液の容量と噴霧回数・使用できる期間
ナゾネックス:点鼻液(56噴霧[成人で2週間分]、112噴霧[成人で4週間分])
リボスチン:点鼻液(112噴霧[成人で1週間分])

◆文献請求先
ナゾネックス:MSD
リボスチン:日本新薬

+αの情報①:初期療法や妊娠中にも「ステロイド」点鼻薬は使われる

 花粉症など季節性のアレルギー性鼻炎では、花粉が飛散し始めたときから予防的に治療を始める「初期療法」を行う場合があります。
 今の日本では『ザイザル(一般名:レボセチリジン)』や『アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)』といった内服の「抗ヒスタミン薬」を使うことが多いですが、12歳以上の場合はこれらの内服薬を使わずに、『ナゾネックス』などの「ステロイド」点鼻薬単独で行うことが強く推奨されています10)。

 また、妊娠中の患者を治療する際も、これら内服の「抗ヒスタミン薬」より、鼻詰まりにも効果的でなおかつ全身移行の少ない「ステロイド」点鼻薬を優先すべき11)という見解があります。

 10) Ann Intern Med.167(12):876-881,(2017) PMID:29181536
 11) Drug Saf.28(8):707-19,(2005) PMID:16048356

+αの情報②:「血管収縮剤」の点鼻薬の使い過ぎに注意

  鼻詰まりの症状に最も速く効くのは、「血管収縮剤」の点鼻薬です。噴霧して数分で鼻通りが良くなるため人気も高く、OTCでも「血管収縮剤」の配合された点鼻薬が数多く販売されています。
 しかし、「血管収縮剤」の点鼻薬の使い過ぎは、鼻粘膜の肥厚・腫脹を起こし、アレルギーでもないのに鼻水・鼻詰まりの症状が出る「薬剤性鼻炎」の原因になります。そのため、ガイドラインでも重症例に対して1~2週間を限度で使うことが注意喚起されています6)。

~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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