『リーバクト』と『アミノレバン』、同じアミノ酸製剤の違いは?~BCAA製剤のカロリーと使い分け
記事の内容
回答:アミノ酸だけの『リーバクト』、栄養補給も兼ねた『アミノレバン』
『リーバクト』と『アミノレバン』は、どちらも肝不全の時のアミノ酸バランスを整える、「分岐鎖アミノ酸(BCAA:Branched-Cain Amino Acids)」の薬です。
『リーバクト』は、「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」だけの薬です。
『アミノレバン』には、「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」に加えて五大栄養素も含まれているため、栄養補給も兼ねて使います。

そのため、十分に食事を摂れているかどうか、使う人の栄養状態によって使い分けます。
回答の根拠①:「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」を補給する意義
アミノ酸は大きく、「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」と「芳香族アミノ酸(AAA)」に分類されます。
どちらのアミノ酸も体内でエネルギー源として利用されますが、肝臓は両方のアミノ酸を使えるのに対し、筋肉は「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」しか使うことができません。
そのため肝臓の機能が低下すると、筋肉でひたすら「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」ばかりが消費され、「芳香族アミノ酸(AAA)」が余って過剰になってきます。

こうして「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」と「芳香族アミノ酸(AAA)」のバランス(Fischer比)が崩れると、人体に様々な悪影響を及ぼすことになります。
『リーバクト』や『アミノレバン』は、体内に「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」を補給してアミノ酸バランスを整える薬ですが、実際に肝性脳症1)を改善する効果が確認されているほか、生命予後の改善効果、腹水や虚弱(フレイル)への効果も示唆されています2,3)。
1) Cochrane Database Syst Rev . 2017 May 18;5(5):CD001939. PMID:28518283
2) Nutrients.12(5):1429,(2020) PMID:32429077
3) BMC Gastroenterol.23(1):154,(2023) PMID:37189033
回答の根拠②:「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」だけで、低カロリーな『リーバクト』
『リーバクト』に配合されているのは、「L-バリン」・「L-ロイシン」・「L-イソロイシン」という3種の「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」だけのため、顆粒1包で約16kcalと非常に低カロリーです4)。

そのため『リーバクト』は、食事を十分に摂れている(1日あたりタンパク質40g、1,000kcal以上の熱量)にもかかわらず、低アルブミン血症を起こしているような状態4)に対して使われます。
4) リーバクト配合顆粒 インタビューフォーム
回答の根拠③:五大栄養素も含む『アミノレバン』~含まれる成分の目的
『アミノレバン』には、『リーバクト』と同じ「分岐鎖アミノ酸」に加え、五大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物(糖質)・ビタミン・微量元素)も豊富に配合され、熱量も1包約213kcalと高カロリーです5)。
そのため、食事では十分な量のタンパク質や栄養素を摂取できない場合に、栄養補給も兼ねて使われます6)。

※『アミノレバン』に含まれるもの 5)
1.分岐鎖アミノ酸(BCAA):L-バリン、L-ロイシン、L-イソロイシン
2.その他のアミノ酸:L-トレオニン、L-アルギニン、L-トリプトファン、L-リシン、L-ヒスチジン
3.タンパク質:ゼラチン加水分解物
4.脂質:コメ油
5.糖質:デキストリン
6.ビタミン:レチノール、エルゴカルシフェロール、ビスベンチアミン、リボフラビン、ピリドキシン、シアノコバラミン、葉酸、L-アスコルビン酸、トコフェロール、フィトナジオン、パントテン酸、ニコチン酸アミド、ビオチン
7.微量元素:硫酸Mg水和物、グリセロリン酸Ca、リン酸二水素Na、クエン酸第一鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化カリウム、硫酸マンガン、塩化カリウム
8.肝臓を守る成分:重酒石酸コリン
5) アミノレバンEN配合散 インタビューフォーム
6) 日本肝臓学会 「肝硬変診療ガイドライン-追補(2020)」
『アミノレバン』はどういった時に必要なのか?~肝性脳症の悪循環
肝臓の機能が衰えると、本来は肝臓で解毒される「アンモニア」が血液中に増え、「肝性脳症(意識障害・異常行動・はばたき振戦といった精神症状)」を起こすことがあります。この「肝性脳症」の症状を改善するためには、タンパク質の量を制限した食事が必要になります。
しかし、こうした食事制限を行うと”低栄養状態”に陥ってしまう人が少なくありません。…かといって、食事量を増やすとタンパク質の量も増えて、体内で「アンモニア」が増加して「肝性脳症」のリスクが高まってしまいます。
このように、タンパク質の量を増やせば「肝性脳症」、減らせば「低栄養」と、悪循環を繰り返すことになります。
『アミノレバン』は1日量(3包)でタンパク質40.5g、熱量630kcalを摂取できるため、タンパク質の量を抑えたまま栄養素を補給でき、こうした悪循環を止めることができるようになっています5)。
薬剤師としてのアドバイス:夜間・早朝のエネルギー不足に注意
肝臓が弱ると、肝臓にエネルギーを溜めておくことができなくなります。そのため、夕食から翌日の朝食までの時間が空き過ぎると、夜間や早朝にエネルギー不足(飢餓状態)を起こす恐れがあります。
こうした夜間の飢餓状態を防ぐには、1日の総摂取カロリーのうち約200kcalほどを”寝る前の夜食”に充てるという方法が効果的です6,7)。寝ている間に足がつる(こむらがえり)、朝起きた時から疲れている、といった症状がある場合には、一度主治医と相談してみることをお勧めします。

ただし、分岐鎖アミノ酸(BCAA)を含まない夜食ではあまり意味がないこと、食後血糖値が高い人では高血糖を助長する恐れがあること8)には注意が必要です。
7) J Clin Med.9(4):1013,(2020) PMID:32260139
8) Hepatol Res.37(8):608-14,(2007) PMID:17517075
ポイントのまとめ
1. 『リーバクト』と『アミノレバン』は、「分岐アミノ酸」を補充して体内のアミノ酸バランスを整える(肝性脳症などの症状を減らす)
2. 『リーバクト』は、十分な食事ができている人向けの「分岐鎖アミノ酸」だけの薬
3. 『アミノレバン』は、「分岐鎖アミノ酸」だけでなく、タンパク質の量を制限しながら種々の栄養補給もできる
薬のカタログスペックの比較
添付文書、インタビューフォーム、その他資料の記載内容の比較
| リーバクト | アミノレバン | |
| 適応症 | 食事摂取量が十分にもかかわらず、低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善 | 肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善 |
| 摂取できる熱量 (1日量=3回分) | 48kcal | 639kcal |
| 摂取できるBCAA (1日量=3回分) | L-バリン:3,432mg L-ロイシン:5,712mg L-イソロイシン:2,856mg | L-バリン:4,806mg L-ロイシン:6,111mg L-イソロイシン:5,768mg |
| BCAA以外の配合成分 | (なし) | その他のアミノ酸、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、微量元素 |
| 1包の質量 | 4.15g | 50g |
| 投与禁忌 | 先天性分岐鎖アミノ酸代謝異常(メープルシロップ尿症) | 牛乳アレルギー (カゼインを含む) |
| 世界での販売状況 | 東南アジアを中心に10ヵ国 | 香港 |
| 剤型の規格 | 配合顆粒、配合経口ゼリー | 皮下注(0.75mg、1.5mg) |
| 先発医薬品の製造販売元 | EAファーマ | 大塚製薬 |
| 同成分のOTC医薬品 | (販売されていない) | (販売されていない) |
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。











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