『エディロール』と『アルファロール』、同じビタミンD3製剤の違いは?~骨への効果と高Ca血症の副作用、値段の差
記事の内容
回答:効果の高い『エディロール』、副作用が少なめで安価な『アルファロール』
『エディロール(一般名:エルデカルシトール)』と『アルファロール(一般名:アルファカルシドール)』は、どちらも骨粗鬆症の治療に使う「ビタミンD3」の薬です。
『エディロール』は、骨密度の改善や骨折予防の効果が高い薬です。
『アルファロール』は、高Ca血症の副作用が少なめで、値段も安い薬です。

そのため、基本的には『エディロール』が優先的に使われますが、副作用や経済的な観点から『アルファロール』が選ばれることもあります。
回答の根拠①:高い効果が確認されている「エルデカルシトール」~骨密度改善と骨折予防の効果
「エルデカルシトール」は、「アルファカルシドール」よりも骨密度改善や骨折予防の効果は高いことが確認されています1,2)。これには、「エルデカルシトール」が腸管からのCa吸収促進だけでなく、骨代謝の改善作用も併せもっていること等が関係していると考えられています3)。

このことから、ガイドラインでも「エルデカルシトール」の方が推奨度も高く設定されています4)。
※ガイドラインでの評価とエビデンスの強さ
骨密度の改善:エルデカルシトール【推奨:A】、アルファカルシドール【提案:C】
骨折の予防 :エルデカルシトール【推奨:A】、アルファカルシドール【提案:C】
1) Arch Osteoporos.17(1):74,(2022) PMID:35513519
2) Front Endocrinol (Lausanne).13:854439,(2022) PMID:35518938
3) エディロールカプセル インタビューフォーム
4) 日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」
回答の根拠②:高Ca血症のリスクが低めで安価な「アルファカルシドール」~腎機能が低下した患者での安全性
効果の面ではやや劣る「アルファカルシドール」ですが、「エルデカルシトール」よりも血清Ca値は上昇しにくい2,5,6)傾向があります。そのため高Ca血症のリスクを低く抑えたい場合の選択肢になります。

また、「アルファカルシドール」は、「エルデカルシトール」よりも30年以上前から使われている「ビタミンD3」製剤で、より安価に使えるというメリットもあります。
※薬価の比較(2025改訂時)
エルデカルシトール :0.5μg(28.40)、0.75μg(41.00)
アルファカルシドール:0.25μg(6.70)、0.5μg(6.90)、1μg(10.50)
5) Bone.49(4):605-12,(2011) PMID:21784190
6) Yakugaku Zasshi.145(4):351-357,(2025) PMID:39909453
「アルファカルシドール」は腎機能が低下した人への使用実績も豊富
そもそも「ビタミンD3」製剤は、急性腎障害の原因にもなり得る薬3,7,8)ですが、「アルファカルシドール」は腎不全に伴うビタミンD代謝異常の治療にも使うことができる8)など、腎機能障害があっても比較的安全に使えることがわかっています9)。
こうした使用実績が豊富なため、特に腎機能が低下した人に対しては「アルファカルシドール」が選ばれることがあります。
7) Sci Rep.14(1):21356,(2024) PMID:39266636
8) アルファロールカプセル インタビューフォーム
9) BMJ.310(6976):358-63,(1995) PMID:7677827
薬剤師としてのアドバイス:サプリメントを使う場合は、カルシウムの”過剰”に注意する
小魚や乳製品など「カルシウム」が豊富な食材を積極的に取り入れることは、骨粗鬆症の予防において非常に重要です。こうした食事だけで摂取することが難しい場合にはサプリメントなどを活用することも選択肢になりますが、サプリメントでは”過剰摂取”も起こりやすいことに注意が必要です。
特に「エルデカルシトール」や「アルファカルシドール」といった「ビタミンD3」製剤を使っている場合には、カルシウムが過剰になる高Ca血症を起こしやすいため、サプリメントを活用しようと思った際には事前に医師・薬剤師に相談することをお勧めします。
ポイントのまとめ
1. 『エディロール(エルデカルシトール)』は、骨密度の改善・骨折予防の効果が高い
2. 『アルファロール(アルファカルシドール)』は、高Ca血症のリスクが低めで、値段も安い
3. カルシウムの摂取は大切だが、「ビタミンD3」製剤を使っている場合は高Ca血症に注意が必要
薬のカタログスペックの比較
添付文書、インタビューフォーム、その他資料の記載内容の比較
| エルデカルシトール | アルファカルシドール | |
| 先発医薬品名 | エディロール | アルファロール |
| 適応症 | 骨粗鬆症 | 骨粗鬆症、慢性腎不全・副甲状腺機能低下症・ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症におけるビタミンD代謝異常 |
| 用法 | 1日1回 | 1日1回 |
| ガイドラインでの「表現」 | 骨密度の改善:推奨 骨折予防:推奨 | 骨密度の改善:推奨 骨折予防:推奨 |
| ガイドラインでの「エビデンスの強さ」 | 骨密度の改善:A 骨折予防:A | 骨密度の改善:C 骨折予防:C |
| 国際登場年 | 2011年 | 1980年 |
| 妊娠中の投与 | 禁忌 | (制限なし) |
| 世界での販売状況 | 日本、中国 | 日本、中国 |
| 剤型の規格 | カプセル(0.5μg,0.75μg)、錠(0.5μg,0.75μg) | カプセル(0.25μg,0.5μg,1μg,3μg)、散(1μg/g)、内用液(0.5μg) |
| 先発医薬品の製造販売元 | 中外製薬 | 中外製薬 |
| 同成分のOTC医薬品 | (販売されていない) | (販売されていない) |
+αの情報①:ビタミンD製剤が、欧米では骨粗鬆症の治療に使われていない理由
1980年代には欧米でも「ビタミンD3」製剤の臨床試験が行われましたが、当時欧米では骨粗鬆症に「カルシウム」を積極的に投与する治療が広く行われていたことから高Ca血症が多発してしまい、薬として承認されませんでした10)。
骨粗鬆症の治療に関して、「ビタミンD3」製剤が欧米のガイドラインや論文報告にはあまり登場しないのにはこういった事情があります。
10) ビタミン.96(4):138-139,(2022)
+αの情報②:ビタミンDの転倒予防効果は?
「ビタミンD3」製剤では、高齢者の”転倒”を防ぐ効果が多く報告されてきました。しかし、近年は否定的な報告11)も増え、特にビタミンDが不足していない場合の単独投与ではあまり効果は期待できない12)とされているなど、議論が分かれています。
11) Cochrane Database Syst Rev.8(8):CD016064,(2025). PMID:40832852
12) Clin Nutr.40(11):5531-5537,(2021) PMID:34656949
+αの情報③:「アルファカルシドール」を服用するタイミング
「アルファカルシドール」の用法は1日1回で、特にタイミングの指定はありません。ただ、慢性腎不全や副甲状腺機能低下に用いる場合、朝1回(8:00)よりも夕1回(20:00)で服用した方が副作用を抑えつつ、より高い治療効果を得られる、という報告があります11)。
11) Br J Clin Pharmacol.55(6):531-537,(2003) PMID:12814446
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。











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